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恐ろしい目にあった登山
命の心配をしたわけではないが、かなり怖い思いをした登山もいくつかある。
阿弥陀ヶ岳東稜 (八ヶ岳、1970. 04. 01) |
茅野から美濃戸口までバスに乗る。その後、北沢に沿った気持ちのよい道を赤岳鉱泉まで入る。宿泊を頼んだあと、天候がよかったのでそのまま中山乗越から行者小屋、地蔵尾根を経て、赤岳石室、赤岳へ登る。雪も少なくむしろ楽だった。頂上からは、中岳を経て阿弥陀岳へ進む。途中が一部ナイフリッジになっていた。このような場面は初めてなので少し緊張する。そのあとは大して問題もなく阿弥陀岳に達することができた。下山は中岳とのコルまで戻り。行者小屋を経て赤岳鉱泉に戻る。 |
宝剣岳北稜 (中央アルプス、1972. 04. 02) |
二つ玉低気圧が去った後の中央アルプス千畳敷にロープウェイで入る。翌朝早く日の出を拝んで出発。浄土乗越を経て木曾駒ヶ岳に登った後、宝剣岳へ向かう。稜線のナイフリッジは誰も歩いた形跡がない。雪庇が発達している上に両側がすっぱり落ちており、かなり緊張する。阿弥陀岳の時と同じような経験となったが、リッジの狭さはあの時以上だった。たどり着いた宝剣岳の頂上からは、鋸、甲斐駒から赤石、聖、上河内にいたる南アルプスがすばらしくよく見えただけでなく、空木岳、南駒ヶ岳などの中央アルプスの核心部がどっしりと構えているのを見て感激した。 |
頂上で雷の波状攻撃 (能郷白山、2010. 09. 23) |
淡墨桜で有名な根尾の集落を過ぎ、車止めの所から能郷白山に向けて歩きはじめる。雨が降りそうだったので、登山口よりうんと手前だったが、テントを張る。案の定、すぐに降りはじめ、夜中も雨の音や雷の音が聞こえた。翌日も前山の手前から本降りとなり、そのあと車に戻るまで一度も休まずに歩き続けた。それはよいのだが、誰もいないだだっ広い頂上付近での雷は怖かった。ドドーンという火山のような音、ゴロゴロという定番の音、バリバリバリッーという機銃掃射のような音などのオンパレードだ。写真を撮っただけで、早々に下山する。 |
梶岡山の痩せ尾根を登り終えて (丹上山系、2019. 12. 25) |
裏六甲の丹上山系の中にある梶岡山という459bの小ピークに北側の尾根から登った。不明瞭だった取付き点をなんとか見つけて尾根に取付いたが、いきなり急登がはじまった。痩せた尾根にある岩は脆くてすぐにはがれ、比較的太い松も今にも折れそうで、頼りになるものがない。高所恐怖症ではないが、左右の下を見下ろす余裕はなく、ひたすら足元を見つめながら歩いた。時間にしたら10分ちょっとだったが、本当に緊張の連続で、小一時間ヒヤヒヤした思いだった。とても写真を撮る余裕はなかった。事前に情報がほとんど得られなかったのも登る人がいないためだったらしい。 |
Ben Lediでの天候の急変 (Scotland、1991. 09. 21) |
ScotlandのTrosacchsにあるBen Lediに登った。879bの標高なので、半ズボン、ズック靴、折りたたみ傘といったいでたちだった。林の道を通り抜けた牧場地帯には羊が沢山いる。岩場を巻いて左左と登るにつれ、天候が晴れたり曇ったりと忙しい。稜線づたいに登っていくと急に天候が悪化し、冷たい雨に打たれるようになる。そのうち足がしびれるようになり、命の危険さえ感じ、引き返す。ガイドブックにかなりの警告がでていたのを思い出す。牧場のあたりまで下りてくると来るともう晴れ間さえ見える。スコットランドの山を味わったという満足感に浸る。 |