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温泉の楽しみの極致は野湯  



日本にはあちこちに、とくに山岳地帯に、特徴のある温泉がある。ここでは野湯に分類されるような温泉を取り上げる。温泉旅館にある、取ってつけたような露天風呂はいくら立派でも好きになれない。自然界にある露天風呂のベスト5を滝、湖、山、川、海から選んだ。これ以外にも、夏油温泉、蓮華温泉など省くのが惜しいようなものもあるが、これらは露天風呂であっても本当の意味での野湯とは言わないのかもしれない。


 

カムイワッカの湯滝
(知床半島、2001. 09. 01


知床大橋までドライブしたのち、少し引き返して、カムイワッカ湯の滝を目指す。いくつも連なる滝壺が温泉になっている珍しい天然風呂で、上に行くほど温度も高くなる。かなり暗くなりはじめ、大勢いた浴客も全員下って、われわれ2人が最後となる。帰りが心配になりゆっくりできなかったのはいかにも残念だったが、他で見られない温泉に入ることができて満足する。2005年に世界遺産に登録されたのちは、危険防止のため温泉というには温度の低いごく下の部分にしか入れなくなったというので上の滝まで行けたのはよかた。下りはじめると暗くなり、懐中電灯を使う。足を滑べらせ、あちこちを打撲したが大したことなかった。その夜は岩尾別温泉に泊まり、翌日羅臼岳に登った。


池の湯
(屈斜路湖、1999. 06. 20

斜里岳に登ったあと、摩周湖の霧を体験し(やはり大したものだった)、硫黄山でイゾツツジの群落を眺め、三香温泉に向かった。その途中にある池の湯温泉が面白そうだったので立ち寄った。池の湯温泉は標識もなく何度も行き来してやっと見つけたがそれだけの値打ちがあった。屈斜路湖に直結していて開放感が抜群。藻が発生しやすい泉質で緑色をしている。湯船に入ったとたん藻に覆われた岩に滑って突き指する。あとで二組の若い夫婦が入ってきたが、広い闊達な感じなのでお互いに意識することもない雰囲気。



カモシカ温泉跡
(宮城蔵王、1990. 08. 15

賽の河原からかもしか温泉を経由して名号峰に登るつもりで女房殿と出掛けた。驚いたことに、20年前に泊まったかもしか温泉は消えてしまっていた(雪崩のためという)。そこから名号峰の方へ登ろうとしたが、薮がひどくほとんど廃道のようになっていた。やむを得ずロバの耳に進路を変更する。途中の斜面に墳気口があり、立ち寄ってみた。大きさといい温度といい、ちょうどよい湯だまりがあったので二人で入る。最高の気分だった。登山道を2人連れのハイカーが通ったが、かなり離れていたので気がつかなかった。まさに秘境のプライベート露天風呂だった。



切明温泉
(秋山郷、2014. 07. 13

津南から信濃川の支流である中津川に沿って車を走らせ日本一の豪雪地帯でもある秋山郷に入る。いくつかの集落がそれぞれに魅力を演出していて好感が持てる。その一つの切明温泉に宿泊。その近くの川原でマイ温泉を楽しめると聞いたからだ。旅館のすぐ下の川原にスコップ片手に下りて行くと自分だけの温泉を掘って入ることができるのだが、下りて行くとすでにいくつものプールができていて、わざわざ掘ることもなかった。特段の特徴のある泉質ではないが、なんといっても大自然の中の川でゆったりする気分は最高だった。


平内海中温泉
(屋久島、2005. 04. 21


宮之浦岳と縄文杉を巡った翌日に島内をレンタカーで回った。大川の滝、千尋の滝、猿川のガジュマルもよかったが、干潮時に2時間だけしか入ることができない海中温泉も珍しかった。きれいに区切られた小さな湯船が3つか4つある。更衣所もない混浴で、近隣の人が日常的に使っておられるというのがよい。一番潮の引いている時に行ったので、海は少し先に見えていた。もう少し海面が高い方が海中温泉という名にふさわしく、趣きが深かったかもしれない。



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