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2014. 07. 13 - 14
 苗場山




以前から色々な時期の色々なコースで狙っていたが、泊まりがけでの単独山行をやめてしまったので、佐武流山、白砂山への縦走などはあり得ないこととなった。女房殿と山頂のヒュッテに泊まってのんびりと花を見ることにした。梅雨時に来ていた超大型の台風の動きを見ながら予約をした。たいした雨にも降られず、盛りの花も堪能したが、すばらしいと評判の展望には全く恵まれなかった。


同行: 女房殿


 

2014. 07. 13 小赤沢3合目から苗場山へ  

コースタイム

0908 三合目駐車場、0952-1001 四合目水場、1043 五合目、1102-09 休憩、1127 雪渓、1130 水場、1204-09 休憩、1250-1300 休憩、1302 八合目、1316 坪場、1325-1427 昼食休憩、1533 山頂ヒュッテ(頂上2145b往復)、1630-1730 赤湯方面下山口(2068b)まで散策

前日の朝に家を出て、津南経由で秋山郷に入る。往きは志賀高原経由、帰りは津南経由と計画して、切明温泉に宿をとったが、台風などの影響で志賀高原のルートの一部が不通になったとのことで往きも津南経由とする。「とねんぼ」という総合センターや保存民家を見学したあと切明温泉に向かう。早く着いたので、有名な川原の温泉につかる。山は蔵王の丸山沢の噴気口、海は屋久島の平内海中温泉、湖は屈斜路湖の池の湯と手つかずの自然の温泉に入ったが、川は夏油温泉の洞窟温泉などは印象深いが、やや人手の入った感じがあった。ここのは全くの天然温泉だった。




川のあちこちで適温の湯のプールができている



朝も普通の時間にゆっくりと食事をして、「のよさの里」経由で車を走らせる。途中の天池はとても雰囲気のよい池で、後には鳥甲山が望めた。三合目まで上がる。20台以上の車が先着していた。登山届けを出して、歩き始める。そこから3〜3.5時間で頂上とあったが、とてもそんなものではなかった。天気が悪かったのでなんとかなったが、これでカンカン照りの登りならとても女房殿はもたなかったに違いない。日曜日とあってかなりのグループとすれ違ったが、これだけスローペースなのに誰も抜いて行く人はいなかった。最後の出発だったのだろうか。





雨池の先に鳥甲山

天気も悪いので道ばたの花だけが楽しみとなる。ズダヤクシュ、エンレイソウ、クルマバツクバネソウ、コイワカガミ、ゴゼンタチバナ、ニガナの他、クロベのような大きな樹が枝を大きく伸ばし、根を張っている。ヒノキやブナの大木も目につく。ひと登りで四合目につく。雨が少し降ってきたので、女房殿はズボンの上から雨具を着けたが、こちらはもうしばらくなにもなしで歩くことにする。右手の水場で昼食やコーヒー用の水を2Lほど汲んでおく。少し異物が混じっているものの透明なきれいな水だった。味はそれほどのものではない。下山時にもう一度立ち寄ったときはかなり色付いていた。土砂の色ではなく有機物のような色で、味も悪く飲む気にはなれなかった。

四合目から五合目までの道はぬかるんでおり、丸太をスライスしたもので歩きやすくなるように配慮されている。オオバミゾホオズキ、マイヅルソウ、アカモノなどが新たに出てくる。ここでもゴゼンタチバナが多い。五合目は素通りする。悪評高いブヨが多くなってきたので、持ってきた防虫ネットを女房殿に渡し、こちらな防虫液を顔などに塗る。あまり効果がない。そのうち女房殿はネットが煩わしくなり、はずすようになったが、それほど襲われないというので、貸してもらう。こちらはかなり助かったような気がする。結局のところ、トータルでは女房殿より被害が多かっただろう。シャツの色、血液型などが関係するとのはなしもあるが、怪しいものだ。帰宅後もかなり後遺症が残った

ヒロハユキザサ、ギンリョウソウ、ムラサキヤシオ、枯れたショウジョウバカマを見ながら、1時間ほど歩いて、オオシラビソの大木の下で小休憩する。やや開けた所だった。そのあと左手に小さな雪渓があり、さらに樋を伝って流れおちる水場があった。ここのもさほどよい味ではない。この辺りにオオバミゾホオズキがかなり沢山見られた。かなり急になり、鎖やロープが出てくる。長いロープの所はかなり足場が滑りやすく、ドロドロになったロープの世話になる。乾いておればどうということはない。先ほどの休憩から55分で、一休みしてカロリー補給をする。意外に時間を取ったので、このままでは、雨次第では昼食をとりそびれる可能性があるかもしれないと心配になったからだ。少し雨も小降りになったのでよかったが、それでも昼食を本格的にする気にはなれなかった。この地点から八合目まではわずか2分だった。




八合目近くのヤシオツツジ


八合目からさらにわずかの登りで山頂の広々とした平原部にやっと飛び出した。標高2000b。数々の池塘のまわりに咲くチングルマ、イワイチョウ、ワタスゲといった湿原植物が迎えてくれる。雨はほぼやみ、ごく近くのP2036bは見えるが、そのすぐ先にあるはずの鳥甲山は見えない。その左手遠くに焼額山(2010b)がうっすらと見えていた。高山植物の宝庫という苗場山のイメージからは少し物足りないものを感じる。これなら蔵王の御田の神の方が、種類や数も多いくらいだ。木道を新しくするらしく準備が進んでいた新しい木道は横に溝が切ってあるもので、滑りにくくなっている。こんなものも年々進化するらしい。風が強いので、積み上げられている資材の陰に入って、昼食の準備を始める。ラーメンにソーセージや野菜を入れたものを考えていたが、肝心のラーメンを忘れてきていた。探しながら考えてみてもザックに入れた覚えが全くなかった。具材だけはあったので、それをスープに入れ、非常食用にもってきたクッキーやカロリーメイトと一緒に昼食とする。結構充足感があった。食後にコーヒーとハーブティーを飲む。




坪場での木道工事。正面に2036b峰




どこかが山頂かは分からないが山頂を目指す


しばらく平地を行くと、林の中に入る。いかにも火山らしい岩がゴロゴロしていて、女房殿は大変歩きにくそうだった。ベニサラサドウダン、ウラジロナナカマド、ミツバオウレンといった別の種類の花を見ることができた。しばらくしてそこをぬけると再び大湿原に出て、赤倉山への分岐となる。佐武流山、白砂山を経て野反湖へと続く道の入口で、標高2060b。ここはまことに気宇広大になる場所で、さすがに苗場山という感激を味わえる。ヒメシャクナゲ、ツマトリソウ、それにワタスゲがますます多い。天照皇大神をはじめ10コほどのかわいらしい石碑を見て、数十bほどの残雪を越える。そして役行者の像のすぐうしろが山頂ヒュッテだ。




数々の池塘




雨で小さくなったワタスゲの実




この時はこの程度の残雪




山頂での証拠写真

まず手続きをして、寝る場所を教えてもらってから、玄関の外で待っている女房殿に山頂までは1分らしいと言うと、それなら一緒に行くという。2145bの頂上の標識のそばにミヤマカラシナが咲いていた。広い場所があり、ヘリポートかと思ったが、取り壊された遊仙閣の跡地だった。小屋に戻り、寝場所の整理を終えてから、表のテラスでコーヒーを淹れて飲むが、風もあってゆっくりとする気分になれなかった。

シャツを2枚にして一人で散策に出る。普段なら喜んで一緒に行くはずの女房殿はかなり疲れており、とても出かける気にはならなかったようだ。宿の人にいくつかの案を聞き、1時間ほどの散歩になるという赤湯への道を選ぶ。ケルンのそばを抜け、小さい雪渓を下って行く。しばらくはササの道を通るので、これなら来ることもなかったかと思ったが、そこを過ぎるとまた広大な湿原が広がっていた。なんの展望もないが、十分楽しめる道だった。かなり大きな池もあった。言われたとおり30分で末端についた。地図が書かれた営林署の看板と苗場山頂台地(9合半)という標識があった。そこから赤湯への道は急な下りとなっている。小赤沢の道もそうだが、山頂台地の周辺はいずれも崖状になっていることを実感する。地形図を見ると本当にそのことがよく分かる。赤湯方面を見下ろすためわずか進むと、地質が急変したらしく、シラネニンジンが出現した。展望はなかったのですぐに引き返したが、おそらく数分も下ればまた別の花もあったことだろう。同じ道を戻る。誰にも会わない霧の中の優雅な時間だった。




ケルンと山頂ヒュッテ




この日見た一番大きな池


小屋に戻り、案内にしたがって見晴台に行ってみた。この日はじめて猿面峰(1832b)を見ることができた。そしてその左に激しく動くガスの切れ間からやや遠い山が見えた。帰宅後に調べるとおそらく高倉山(1326b)が見えていたのだろう。翌日もなにも見えなかったので、今回山頂付近から見た山は焼額山とこれだけということになる。




見晴台から西北西から北北西方向
左下に松の峰(1219b)、正面奥に高倉山(1326b)、
右下に猿面峰(1832b)、その奥は黒倉山の西尾根


ほぼ満室らしいが、夕食も寝床もゆったりとしており、なんの不満もなかった。大きな声でしゃべっていた女性軍も20:30頃には静かになった。滅多にないことだが、3時間ほどして目が覚めたあと、かなり寝付くことができなかった。翌日下山して、家まで8時間程度の運転をしないといけないので、若干焦ってしまったが、結果的にはなんとかなった。



2014. 07. 14 苗場山から小赤沢へ

コースタイム

0715 ヒュッテ、0802 岩ゴロの林から出る、0826 八合目、0920 六合目、0940-45 休憩、1017 五合目、1055-1110 四合目、1145 三合目登山口

3グループに別れた朝食も最後の06:30組にしたので、これもゆったりとしていた。天候はよくないので、もう一度見晴台に行く気も起こらず、上下の雨具を着けて出発する。雨は前日よりましだが、視界は全くきかなかった。前日大変だったところはこの日も大変で、女房殿苦手のゴロゴロ道に苦労していたがなんとかかんとか歩いてくれた。ミヤマシグレのほか、2、3の名前の分からない花を見たが、それ以上の発見はなかった。




森の中のぐずついた道の下り


下山後、小赤沢の楽養館という鉄分の多い温泉に立ち寄る。男女とも誰もおらず、ゆったりと汗を流したあと、そこの食堂でソバと山菜を食べる。楽しみにしていたソバはもう一つだった。津南から豊田飯山ICまでの国道の運転を女房殿がやってくれたので、少しウトウトできた。往路では駒ヶ岳SAで昼食をとったが、復路では小黒川PAで休憩した。こちらの方が眺めがよく、南アは鋸岳、甲斐駒が正面に見える。白根三山は雲に隠れていたが、晴れておればなかなかのものだったろう。中ア側も少し見えた。



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