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2012. 03. 26
- 28  ジュルミチ谷・北谷尻谷・銚子ヶ口 



昨年は、4月に井戸ヶ池・阿弥陀ヶ峰、11月に主脈縦走をしたが、奥座敷は2010年の4、5月以来のことになる。比較的易しそう沢登りを、ゆったりとした時間をとって計画する。

同行: 単独


2012. 03. 26 杠葉尾から白滝谷出合へ

コースタイ

1107 杠葉尾BS、1133 山道へ、1201 林道へ、1212-42 瀬戸峠入口、1323 瀬戸峠、1335-39 林道、1357-1402 神崎川、1425 ジュルミチ谷出合、1444 白滝谷出合

初日は杠葉尾BSバスを降り、風越谷へ向かう。ここでバスを降りるのは初めてでこれまではいつも杠葉尾口BSを使っていた。かなり時間の節約になる。左手に神崎川の美渓を見下ろしながら林道を歩いて瀬戸峠へ向かう。どこかに山道を使って近道ができると書いてあったので注意して歩く。はたして風越谷に着く少し手前に右手に登る道があった。とくになんの案内もなかったが、これに違いないと足を進める。半時間ほどすると、小さな祠があり、そのすぐ後で沢を渡るようになっていた。少し沢沿いに歩いてから左手へよじ登ると果たして林道に飛び出した。駐車場のような広場の所だった。帰りに使おうとしても見つからないかもしれない。少し歩きにくい所もあったので、時間的に節約できたかどうかは分からない。上の方へ少し登ると以前に見た峠への入口に着いた。入口の案内標識には雪が被っており、字は読めない。前日に降ったものだろう。舗装道路の上で駅で買った弁当を食べる。少しだけ日が射すこともあった。

登りはじめはとても急勾配。しばらくして振り返ると真下に道路が見えていた。皆さんが、林道開通のためそのうち廃道になるのではと書いておられるが、問題ない。沢に入っていくとわかりにくいとも書いてあったが、そんなこともない。ただ、上から下りてくるときに沢から離れるタイミングが難しいかもしれない。ちょっとした広場のようになっている所で左手の林の中の道に下りていけばよい。瀬戸峠にはなにかわけの分からないものが立っていたが、瀬戸峠という表示はない。どんどんと南東に向かって下っていくと林道に出た。その直前で、前の間違いの理由が判明した。林道から沢に入る際に、すぐ正面に見える沢に入ってしまったのだ。それを横切り少し戻るような感じで右側に平行して下りてきている沢を登らなければならなかった。いずれにせよ、瀬戸峠の少し南で尾根に出て、風越山の方へ登ったという理解は間違いではなかった。

林道からは階段を下りるようになっているが、途中で右の方へずれていかないといけない。階段そのものは続いているので大変紛らわしい。河原に出るまでは記憶にあるよりは少し長く感じた。そして懐かしいエメラルドグリーンの水と真っ白の大きな花崗岩の取り合わせが絶妙の河原に出た。白滝谷の出合で右岸にテントを張ることになるのかなと思いながら歩く。翌日はまた左岸からジュルミチ谷に行く予定なので、できれば左岸でテントを張れないかと物色しながらゆっくりと歩く。なんとかなりそうな所は川まで少し遠いとか、あまり満足できるところがないまま、白滝谷の出合まできた。やはり膝くらいまで濡らさないと渡れそうにない。試しに30秒だけ手をつけてみたが、とくに凍えるほどの冷たさではなかった。しかし念のため左岸で探す。よい所は川面のすぐそばだったり、少し高い所は狭かったりする。もう少しと下流側に移動すると、すばらしい砂地が見つかった。水にも近く、右岸より快適そうだ。徒渉することなく最適の砂地を見つけられたのでホッとする。翌日に冷たい水の中を膝まで濡らしてこちらに戻る必要がなくなった。米を研いだあと、コーヒーを淹れ、テントを設営する。暖をとり、ゴミを処理するためのたき火を始める。火の面倒を見ながら、ご飯を早目に炊いてしまう。そのあと、バーナーをおかず用に使う。鍋物の一部を作りながら、それを肴に熱燗の酒をのむ。最高に幸せなひとときだ。18時で0℃とかなりの冷え込みで、夜半には小雪が舞っていた。この季節としては異例のことだろう。




白滝谷出合



2012. 03. 27 ジュルミチ谷を経て北谷尻谷へ

コースタイ

0740 白滝谷出合、0755 ジュルミチ谷出合、0825 大滝、0843 大滝の滝口、0916 ゴルジュ風、1023-36 740bの二股、1045-53 次の二股と思い左へ入る、1115 尾根へでて南へ、1150 別の尾根に乗り南南西へ、1156-1246 P903、1255 ジュルミチ乗越、1310-1403 北谷尻谷、1433-45 コリカリ場、1514 北谷尻谷のテント場

ゆっくりでよいので、自然の目覚めにまかせる。5:10に目が覚めた。−2℃程度。最初はここにテントを置いたままにして、ジュルミチから北谷尻、コリカキ場、お金明神、ヒロ沢を巡ってくる計画を立てたが、その翌日に北谷尻谷を遡るのにまた似たようなコースを歩くことになるので、計画を変更し、荷物を担いで北谷尻谷へ移ることにした。ジュルミチ谷を歩くのに大きな荷物はどうかなとは思ったが、さほど難しい沢でもなさそうなので、時間的にゆっくりできる方を採用する。

ジュルミチ谷はうわさ通り、大した見どころのない谷で、8mの大滝も平凡。これは岩がもろくて誰も登らないというので、もちろん当方も巻く。少し戻って右側へはい上がると簡単に滝口に行ける。ちょっとしたゴルジュもあるが、六甲の赤子谷の方が深い感じがするくらいの程度。




ジュルミチ大滝


740bの二股で左俣に入ったのはよいが、そのあとですぐに支沢に迷い込んだらしく、わけの分からないままシャクナゲ、スギなどの木に捕まりながらのよじ登りが続く。シャクナゲは持つにはしっかりしていてよいのだが、ザックがひっかかって動きがとれなくなるのが欠点。ここのは背が低く、利点だけが目立った。枝には雪が被っているので手が冷たくて仕方がない。やがてたどり着いた尾根は、東西ではなく南北に伸びている。どちらにせよ南を目指さねばならない。1時間ほどしてやっとピークに達する。テープも巻いてあり、メインルートでないにしても誰かは来ている。ジュルミチ乗越が東側にあるのか西側にあるのかが分からないので困る。祈るような気持ちでGPSを空に向けるとやがて電波をキャッチした。思わず「やったー」と声が出る。P903だった。ゆっくりと休んで食事とする。その後西に向かって下る。かなり雪が残っており、これは新しいものでなく残雪がこれだけ残っているのだと初めて分かった。乗越についてすぐに南に下る。同じ程度の勾配だが、こちらには雪はほとんどないのが面白い。

予定していた北谷尻谷の広々とした台地に無事に下り立つ。今は枯れ木ばかりだが、それでも美しい二次林の疎林の中にたたずむと夢の世界にいるようだ。これが新緑、紅葉と時となるとその美しさは何倍にもなるのだろう。ここにテントを張ることにしていたので、荷物をおろし、コーヒーを飲んでから、垢離掻場(コリカキ場)まで沢を下る。そこから下谷尻谷の下流側を覗いてみたが、水に濡れないと先に進めそうにない所がすぐに出てきたので、またの機会にとっておくことにして引き返す。そのあと少し上流に進み、お金明神に行く道をチェックしておく。以前に下ってきたときは問題なくコリカキ場に着いたが、逆方向でも問題なく道が分かることを確認しておきたかった。




北谷尻谷



ゆっくりと北谷尻谷を遡っていく。ふと、今どこを歩いているのだろうと分からなくなり、「ああここにいるのだ」と気がつくようなこともあった。この日も散歩の前に集めておいた枯れ枝を使ってたき火をしようとしたが、不思議なことに全く火が着かなかった。かなりの紙をタネ火に使ったのに、小枝さえ全く燃えない。大して濡れているのでもないし、とくに油気のない枝とも思えなかったので理由がわからない。夕食の前にカニ缶とタマネギのサラダのようなものを作り、それをつまみにウィスキーを飲むが、あまり頂けない味だった。今夜の食事は、前日に炊いておいたご飯とレトルトカレーを一緒に湯煎して温め、生卵をかけたもの。こちらは問題ない。この夜は満天の星空になっていた。




テントサイト



2012. 03. 28 北谷尻谷から、大岳、銚子ヶ口を経て杠葉尾へ

コースタイム

0740 テント場、0803 銚子ヶ口分岐、0841-0909 860b二股、0924 二股(右は北西、左は南西)、0945-55 南南西の沢に入る、1052-58 尾根に登り着き北西へ登る、1114-22 大岳(水舟の峰)、1124 縦走路の200bPost、1134 西峰、1154 中峰、1208 三角点、1210-1300 東峰、1455 北尾根登山口、1512 杠葉尾口BS

この日の朝は−1℃。予報では午前はよいが、午後から急に悪くなるところがあるという。この日もテキパキではなく、ゆったりと朝の仕事をかたづける。北谷尻谷の遡行は広々とした台地を歩くことから始まる。残雪が多いところもでてくる。やさしい道で、テープも少しある。かなりの人がここから銚子ヶ口へ登るのだろうか。少し行くと沢の中を主に歩くようになる。東峰への分岐を過ぎ、その次の沢のところでアナグマらしき小動物が下の沢を横切った。夜行性の動物らしいが、姿から考えると多分アナグマだろう。姿を消したところを覗くと、住処としてちょうどよい穴があいていた。そのすぐ後の860mの二股(1:2)でGPS電池切れになってしまった。ここは問題なく同定できたが、この電池切れのためその後のミスを防げなかったのは残念。




陰鬱な感じの北谷尻谷上流



ちょっとした滝があり、その上で川に積もった枯葉を踏み抜き、靴の中に水が入る。その後二股になり、そこを最終的な三股の分岐と間違ってしまう失敗をしてしまう。二股の右手に沢とも言えないような凹みがあったので三股と思ってしまった。南西から来る左手の沢には多量の水があり、西から来る右手の沢には雪がベッタリとついて、その下を覗いても水はほとんどなかった。つまり、この時点で左手が進むべき本沢と気がつかなければならなかった。さらに、目標の三股は北西、西南西、南から流れ込んで来ていることを知っていたのでおかしいと思わなければならなかった。それはもう少しだけ先にあったのだ。未熟としか言いようがない。そして左俣は歩きやすそうなのに、右手の雪の詰まった沢はいかにも急峻だったので、そちらを避けたいという心理が自然に働いてもよかったのに、それも働かなかった。ともあれ、そちらに突入してしまう。何とか雪渓はクリヤーしたが、その後の岩場では大変苦労した。岩はちょっと持っただけですぐはがれてくる、逆層のうえ濡れていて滑りやすい、おまけに木の枝や木の根などは皆無。すぐ上に氷の滝があったので、近くまで行きたかったがそれどころではない。へばりつくようにしながら、カタツムリの歩みで左手の木が生えている尾根に移る努力をする。一度ズルッと足が滑り、「これでわが命も終わりか」とさえ思った。一歩滑っただけで何かに足がひっかかったので、安堵する。折しも空模様が悪化に向かい、谷の様相は陰鬱そのものになってきた。予報によると午前は晴れるが、午後からはかなり急激な変化があるかもしれないので要注意だった。このようなところで突然の大雨に見舞われるとそのまま流されてしまいそうだ。やっと岩場から脱出し、危険度は減ったが、楽になったというほどではなく、苦難は続く。鈴鹿ではこのようなことは珍しくないが、いつもはテントを置いて、軽装で歩くことが多い。今回は重荷を背負ったままなので大変だった。1時間程度の悪戦苦闘を強いられたのちやっと尾根に出た。どこかは分からない。南側にピークが見えるがなにが見えているかはわからない。とりあえず北西に進む。やがてピークに着き、三角点などもある。これは大岳であると、あとで確定する。しばらく進むと200bPostがあらわれ、大峠と西峰の間にいることが分かった。大峠の北側に上がってしまったのだ。西峰の手前で主稜線の山々が見えるようになる。あとは何度か歩いているのでもう安心だ。東峰まで行って休憩する。雨がパラパラ降ってきたが、バーナーを取り出し、昼飯用のスープを作る。



銚子ヶ口三角点峰




銚子ヶ口東峰から釈迦ヶ岳


時間があり余れば風越山を経由することも考えていたが、そんな余裕はない。最後でルートを間違ったこともあるが、参考にしたネットの記事の人の速度とちがいすぎ、所要時間を過小評価していたのだ。そういうこともあるかと余裕をみた行程にしておいたのは正解だった。北尾根を下る。雪の上の足跡は全部モノレールに向かい、北尾根を歩いている人はいない。前回歩いた通りの道を下っていくが、途中で見覚えのない道となる。かなり沢の左岸を下って右岸に移ったがそのようなことも前の時はなかったと思うし、延々と尾根の東側をトラバースする道もあまり記憶がない。下山口は前と同じだった。来るときは杠葉尾BSまで乗り、かなり登山口に近いことを知ったが、時間もあるので近くの酒屋まで足を延ばすことも考えて杠葉尾口BSまで歩いた。どうしてもビールを飲みたいという天候でもないし、色々と整理しているとバスの時間になったので、酒屋行きはなくなった。




杠葉尾から不老堂を見上げる



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