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2014. 8. 16 山伏
 



孫達と蔵王に行った帰りに、すこしだけ登山を考える。日帰りが可能な山伏とする。前日に静岡まで戻り、レンタカーをして梅ヶ島温泉へ向かう。梅ヶ島温泉はどこもお盆のかき入れ時で満杯だったので、登山口駐車場にテントを張ることにした。車は一台も泊まっていなかった。


同行: 単独

 

コースタイム

0555 山伏登山口、0632 ワサビ田跡、0644 大岩、0730-45 蓬峠、0905 山伏小屋・百畳峠・牛首峠分岐、0915-42 山伏(2014)、1029 P1914三角点、1042 大平沢の頭(1923)、1102-15 新窪乗越(1850)、1212 扇の要、1231 登山口、1232 幸田文記念碑公園、1235 ゲート、1317-22 林道T字路、1344 山伏登山口

夜中にテントをたたくかなりの雨音がしていたが、朝になると小降りになっており、テントと車を行き来するのに困ることはなかった。朝食は車のシートに座ってとることができるので助かる。川に近い駐車場の広場の縁にはかなりの亀裂が入っていたので、念のため少し山側に移動させてから出発する。

駐車場からすぐに西日影沢を渡るが、かなりの水量でなかなか迫力がある。登山口はその先にある。登り始めるとすぐに対岸に一筋の細い滝が架かっていた。おそらくは水の少ないときは見ることはできないと思うほど繊細なものだった。新しくつけられたと思われるしっかりした木の橋を渡ったり、大きな岩を見上げたりしていると、ワサビ田の跡に出る。石垣が積まれ、20ほどの小さな棚田となっているが、中は雑草が生えているだけ。やがて大岩に着く。標識があり、左奥に見えている小屋がワサビ小屋と知る。次に渡った木の橋の上に大きなヒキガエルがジッとしていた。大岩から15分ほどして見事な景観を見せてくれた西日影沢を外れ、北東方向へと進むようになる。後から4人組が追いついて来たので、道を譲る。年を感じる瞬間だ。屈曲点から30分で蓬峠につく。雨に濡れているがいくつかのベンチがあり、広々として気持ちがよい。




西日影沢の美観



その後もガスにけむる樹々の間をぬい、ヌタ場のような水たまりをさけ、シモツケソウなどを見ていると、山伏小屋・百畳峠・牛首峠方面への分岐に出る。だんだんと空の面積が広がってくると頂上は近い。頂上手前に、鹿からヤナギランの群落を守るための柵がある。ちょうどよい季節のはずだが、花が咲いている気配はないようだった。先ほどのグループが柵のまわりを歩いていたので、少しはあるのかもしれない。富士山や南アルプスが見えるという頂上も、この日は少し離れた木々がボンヤリとガスの中に浮かぶ程度だった。あとからやってきた単独の男性と中食をとりながら色々と話をする。あとで地図を調べると、この山頂からの水は、安倍川、大井川、富士川に流れ込むので、かなり大きなスケールと言える。






蓬峠から山頂への尾根道





山伏山頂 (標高は2014mで今年の年号と同じ)


同じ道を下って、温泉に入りゆっくりするのもよかったが、折角なので大谷崩れの道へ廻ることにする。新窪乗越までは気分のよい稜線散歩。ガスのなかの林の景色はいつも心がなごむ。ミヤマホツツジや白い花をつけた木(タンナサワフタギか)が目にとまる。広場のような所が何カ所かあり、水さえあれば絶好のテント場になりそうだ。薄日が射すこともあったが、左手の樹間から見えるはずの南アはおろか、手前の山も全く顔を出さない。いくつかの小ピークを越えて下っていくと、下に新窪乗越が見えた。降り立った乗越はなかなか気分のよい所だった。トリカブトのそばで一休みする。時間は早いし、80分で大谷嶺を往復できるのだが、できればレンタカーを約束の時間に返却したいので、そのまま下山する。






稜線の樹木





新窪乗越

大谷崩の光景もガスに包まれて、全容を見たことにはならないが、それでもまあまあの感触がつかめた。ガレている本谷の右岸を下っていく。道が分からなくなることはないが、やはりゴロゴロとした岩を踏み越えていくことにはちがいない。ガレの大きさに圧倒されるというようなことはない。この道を選んでよかったのは山伏への登りと違って多くの花を見ることができた点だろう。シモツケソウ、サワヒヨドリ、ヤマハハコ、ミヤママンネングサ、オンタデ、ミヤマナデシコ、ホタルブクロなどなどがガレ場に咲き誇っている。





ガスに煙る大谷崩れ



やがて大きなダムの横に「ここは扇の要」という標識が出てきた。しばらくは分かりやすい道が続いたが、やがて広いガレ場に出た所で分からなくなる。少し川の方にケルンのようなものが見えたので近づいてみたが、見間違いだった。引き返してウロウロしていると道が見つかった。大谷崩れの説明板、登山口、幸田文の文学碑、駐車場になっているゲートが次々とあらわれる。幸田文が衝撃を受けたというような景観をみることができなかったのは残念だが、あちこちのレポートに出ている写真を見てもそれほど衝撃的な写真は出てない。感受性の違いか。やがて大きなダムの横に「ここは扇の要」という標識が出てきた。しばらくは分かりやすい道が続いたが、やがて広いガレ場に出た所で分からなくなる。少し川の方にケルンのようなものが見えたので近づいてみたが、見間違いだった。引き返してウロウロしていると踏み跡が見つかった。大谷崩れの説明板、登山口、幸田文の文学碑、駐車場になっているゲートが次々とあらわれる。あちこちのレポートに出ている写真を見ても、幸田文が衝撃を受けたというようなものはない。感受性の違いだろう。最近でも、山犬段のホーキ薙(2010.5)、七面山のナナイタガレ(2013.2)、東六甲の座頭谷(2014.5)、大山南壁三の沢(2014.6)などを近くで見ているが、やはりそれらよりは大規模であることは間違いない。

舗装道路に出たあとは延々と下るだけ。晴れていると見どころもあるようだが、この日は川の流れとそこに落ち込む崖崩れのあとを見るくらいだ。途中で大谷川にかかる橋を渡り、蓬沢にかかる橋を渡るので、どのあたりを歩いているかがよく分かる。別荘地を通り過ぎると、西日影沢へのT字路となる。乗越から2時間歩いたので、腰を下ろして小休憩する。近くの住人の老人がやってきて、少し話をする。山伏登山口までもう一息だ。また、雨が強くなってきたが、もう困ることはない。無理すれば温泉に入ることもできたが、それよりはゆったりと安全運転をする方を選ぶ。途中で、雨が上がり日も射してきた時に広場があったので、車を停め、テントを乾かすなどして荷物の整理をしておく。車を返し、弁当とビールを購入すると、1時間に1本しかない「ひかり」に乗るのにちょうどよい時間となった。お盆ラッシュ時だが、反対方向なので自由席で問題ない。




蓬沢にかかる多くの堰堤





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