2013. 04. 15 - 16 南比良縦走
やや腰の調子が気になったが、海外旅行も控えており、4月にテント山行をするとすれば最後のチャンスなので1泊だけで比良に行く。ちょうど2日間だけ晴天が予想できたので、その点で気楽だった。
同行: 単独
2013. 04. 15 坊村から武奈ヶ岳を経て八雲ヶ原へ |
コースタイム
0945 坊村BS、1137-1200 御殿山、1204 ワサビ峠、1237-51 武奈ヶ岳、1346 スキー場上部、1400-40 八雲ヶ原、1452 比良ロッジ跡、1506 次郎坊山、1513 カラ岳、1529-38 釈迦岳、1618-23 北比良峠、1635 八雲ヶ原
湖西線の堅田でバスに乗り、峠を越えて鯖街道へと入っていく。出町柳からのバスはほとんどなくなっており、乗り換えも多い。こちらは一度乗り換えるだけで、登山口につける。週日だったが、他に中年単独女性、3人組の若者が乗り合わせており、いつもと比べるとにぎやかだ。明王院の境内から出発するが、さすがに鯖街道沿いのものだけあって立派だ。500mほどの登りが続き、一瞬平坦な所に出るが、また登りとなる。振り返ると平坦地で3人組が休んでいる。たしかに休むにはよい所だった。タムシバなども少しだけだが咲いている。新緑にはまだ間がありそうだ。先行していた女性の姿が見えるようになったが、なかなか近づかない。そのうち尾根の方へあがって行くのが見えたが、本道は右手にあるようなので別れていく。
登りついた所で突然視界が開ける。西側だけだが、一度に開放された気持ちになる。すぐに尾根の方から女性があがってきた。道はしっかりしていたとのこと。すぐに御殿山と思ったので、ザックも下ろさず前進する。15分ほどで御殿山に着く。正面に武奈ヶ岳の二つの峰がスックと聳えているが、あとで考えると頂上は見えていないようだ。。南側には、打見山、蓬莱山の建物群が見えている。5-6人のグループが眺め終わって武奈ヶ岳に向かうところだった。こちらは、ちょうどよい時間なので昼食とする。すぐに着いた女性も弁当を広げる。3人組も登ってきたが、こちらは「頂上で食べる」とすぐに下りていった。
御殿山から武奈ヶ岳方面(頂上は見えていない?) |
御殿山から烏谷山・打見山・蓬莱山 |
下っていくとワサビ峠。そこを右折すると中峠へ出る。こちらは直進して、西南稜を登る。10分ほど登ると1120m+の小ピークになり、ここも眺めがよい。シャクシコバノ頭(1121m)の左に顔を出しているのは堂満岳で、右には烏谷山、打見山、蓬莱山が続いている。武奈ヶ岳も近づいてきた。残雪があちこちに残っているが予想より少ない。八雲ヶ原への分岐を過ぎてすぐに頂上となる。広い山頂で360°の見晴らしが得られる。春霞か黄砂か分からないが、透明度はそれほどよくない。琵琶湖がかすかに見える程度なので、見えるはずの日本海や白山はとても無理だ。10数人の人が風下で昼食をしている。こちらは食事が終わっているので、一通り展望を楽しんだあと、下山にかかる。
武奈ヶ岳の頂上が近づく |
武奈ヶ岳頂上 |
武奈ヶ岳から釈迦ヶ岳 (詳細な展望は「展望」のボタンをクリックしてください)
さきほどの分岐点を左にとる。急斜面での転倒を恐れて慎重に歩いていると、後から先ほどの女性が追いついてきた。先に行ってもらうと、あっという間に見えなくなった。次の分岐も左に行く。右はコヤマノ岳、中峠方面だ。残雪も少し増え、ぬかるんだ道が続く。やがて沢に入っていく。ここの水は美味しかった。さらに下っていくと道が見えなくなる。そのまま下りても大丈夫とは思ったが、右上に空が広がっていたのでそちらによじ登ることにする。10分ほどで尾根に飛び出す。スキー場の上部のようで、幅広い道が走っていた。前方に釈迦岳が見えている。それをどんどん下ると八雲ヶ原のはずれに出た。左手からハイカーがあらわれたが、それが正しい道だったのだろう。八雲ヶ原は1962年の3月末以来なので、50年ぶりだ。そのときはもっと雪に覆われていたので、少し印象が違う。すでにテントが一つだけ張られている。池の中にはイモリが沢山いる。池のそばに大きな岩がいくつかあったので、その近くをテントサイトときめる。調理や食事に好都合。テントを張り、コーヒーを飲み終わっても14:40だった。通りがかった人にマップを見せて貰うと釈迦岳まで十分行けるコースタイムだった。
ウェストポーチにごく僅かの食料、水、カメラを入れ、念のため雨具上を腰に巻き付けて出発する。スキー場のゲレンデだったのだろう、広い斜面を登っていく。2006年の1月に来たときにはいくつもあったロッジなどの場所は更地になっており、あらたに木の苗が植えられて復旧作業が進んでいるようだった。崩壊が進む建物をそのままにせず、このように撤去してくれるのは好ましい。カラ岳への入口にある標識は見覚えがあった。1月には深雪でとても往復できそうになかったので断念したが、今回はなんの問題もない。次郎坊山、無線中継所のあるカラ岳を過ぎると、正面にヤケオ山を従えた釈迦岳が大きい。カラ岳の施設は関電の無線中継所。福井の原発でなにかがあったときに必須となる施設なのだろう。バイカオウレンがそちこちに咲いている。
八雲ヶ原の二つのテント
北比良峠から琵琶湖(沖島や近江舞子の内湖が見えている)
釈迦岳の山頂付近は開けていて鈴鹿を思わせるとても気分がよい所だった。水がないのが難点だが、テントを張りたくなる。実際誰かが焚き火をしたあとが残っていた。展望のない山頂であるが、少し北東方面に足を進めるとヤケオ山などが望まれた。帰りにカラ岳の中継所の裏に回り込むと武奈ヶ岳方面も見渡せた。そして下り道の前方に堂満岳も。ロッジ跡からそのまま下らず、ロープウェイの駅跡に立ち寄ってみた。ここも様変わりしており、大きなケルンやら看板やらが乱立していた。見下ろす景色には変わりはなく、近江舞子の内湖や対岸に近い沖島が見え、その先の長命寺山。鶴翼山あたりまではなんとか見えていた。一頭のシカが、少し先を駆け抜けて行った。
そこから直接八雲ヶ原に下りる遊歩道があったので、それを使う。原に下りる手前できれいな水流にそって歩くようになる。原に出る手前で水を汲めば都合がよさそうだ。こんな清流にもイモリが沢山いたのには少し驚いた。ミズバショウの可愛らしいのが一株だけ咲いていた。ホンのすこしだけ霧雨のようなものが落ちてきたが、夕食は岩の上で取ることができた。この日は、家で米研ぎを済ませてきたが、うまく炊くことができた。ハムエッグを酒の肴にし、レトルトの中華飯とお茶漬けで終わる。夕方は9℃だったが、夜半には室内で3℃まで下がっていた。大した低温ではないが、体が春になじんできていたこともあり、かなり寒い思いをした。朝は内外とも5℃。
2013. 04. 16 八雲ヶ原から烏谷山・蓬莱山・権現山を経て栗原へ |
コースタイム
0656 八雲ヶ原、0735-37 金糞峠、0750 堂満岳分岐、0822-24 南比良峠、0845 荒川峠、0923-35 烏谷山、0953 葛川越、1022 比良岳、1103 木戸峠、1128 クロトノハゲ、1151-1243 打見山、1305 蓬莱山、1333-46 小女郎峠(小女郎ヶ池往復)、1407-33 ホッケ山、1456 権現山、1523 霊仙山分岐、1557 車道(登山口?)、1609 霊仙山登山口への分岐、1645 栗原BS
この日はいくつものエスケープルートがあるので、気楽に出発する。八雲ヶ原から流れ始める奥の深谷に沿って緩やかな下り道。歩くにつれてだんだんと水量が増えていく。当たり前の話だが、見飽きない。途中に掘っ立て小屋がいくつか建っていたが、なにに使われているのだろうか。小さな石の地蔵さんや観音さんがいくつもある。かつては比良が宗教登山の山であったことを物語っている。金糞峠のすぐ下の所がテントサイトとして使われるらしいので、釈迦岳に行かないならここまで足を延ばしておくことも考えていた。広々した平地で絶好の場所だった。本流の水は使いたくないが、いくつか支流もあったので、水にも苦労しない。中峠への丸木橋を確認して、金糞峠へ登る。バイカオウレン、イワウチワの蕾があり、早春の気分をかもし出している。
金糞峠には比良から登ってきた男性が一人休んでおり、入れ替わりに下っていった。これから縦走がはじまる。これまでとかなり雰囲気がちがってくる。尾根歩きになり、左手に琵琶湖を見ることが増えたことや植生の変化もあるのだろう。イワウチワも咲き始めたものに出合う。それにしても右も左も急峻な崖が多く、下から見たときのゆったりとした印象とかなり違う。堂満岳には寄らず巻道を行く。南比良峠、荒川峠を越え、見下ろす琵琶湖の姿も刻々と変わる。琵琶湖大橋が見えるようになり、三上山のピラミッドもその奥に見える。烏谷山の頂上直下の巻道に山名標識が二つもあり、興味のない人ならこれで烏谷山に登ったものとして、通り過ぎるだろう。標識を過ぎてすぐの所から尾根伝いに数分で三角点のある頂上に行けるというのに。その上、武奈、堂満、釈迦、琵琶湖、打見、蓬莱と連なる展望もすばらしい。標識にまどわされず、是非頂上まで足を延ばしていただきたい。
あちこちにある地蔵像 |
釈迦ヶ岳の手前に堂満岳(烏谷山から) |
烏谷山を過ぎた所で、イワツツジやショウジョウバカマを見る。葛川越のすぐあとで比良岳の標識を見る。これも頂上ではなくその手前で、登山道は頂上に向かわずに巻いていくようになっている。やはり地形図の頂上を踏んでおきたいので、高みへと登る。踏み跡はないが、すぐに疎林に囲まれた広々とした気持ちのよい頂上に着く。打見山に向かって南へ下りていくが、なかなかしっかりとした登山道に出合わない。かなりウロウロしたが、20分ほどしてやっとしっかりとした道に出る。そこを辿ると木戸峠の標識のある所に出たが、木戸峠という文字を見ず、その下の左はクロトノハゲ・木戸・志賀駅方面という文字が目に入り、木戸峠は左に進めばよいと思いこんでしまった。右は打見山・蓬莱山となっていたが、どちらからでも行けるのだろうと安易に左側の道を選ぶ。あとで地図を見るとかなりの大回りをしてしまった。少し崩れた所などを通り、着いた所がクロトノハゲ。まあここに来たのも悪くはないと慰めたが、すぐ近くに見えていたロープウェイの駅がなかなか近づかないようなコースだった。やっと駅の下の広場についてザックを下ろす。蓬莱山のスキーゲレンデが目の前にある。駅の所が打見山なので、とにかくそこまで登る。スキーシーズンでもないのにかなりの観光客がロープウェイで上がってくるだけあって、眺めはすこぶるよい。京都方面の山々もかなりはっきりしてきた。自販機があったので喉の渇きを抑えるためコーラを買い、ザックの所に戻って昼食とする。
あまり登られていない比良岳の頂上 |
打見山の園地から蓬莱山を見上げる |
食後、蓬莱山に向かってスキー場のゲレンデを登る。やたらと鹿のフンが落ちている。この頂上も展望はよいが、一ヶ所からは360°は見渡せないほどの広さがある。これから進む南側の様子もはじめて知ることができた。小女郎ヶ池も見えたが、縦走路からかなり離れているようだったので今回はパスかなと思いながら足を進める。遠くに二つのコブが見えたので、頂上にいた若い女性に聞くと権現山と霊仙山という。そんなに遠いとは思わなかったので、そこまで行くのは無理かと思ってしまう。下りながら考えると比叡山だ。途中でグライダーを飛ばしている夫婦がいたので、立ち話をする。やはり見えているのは比叡ということで安心する。小女郎ヶ池も道からすぐなので行った方がよいと強く勧められる。小女郎峠にザックを置き、下っていくと3分で到着する。ここは来てよかった。比良のなかで最も高い地点にあるらしいが、大きさもかなりのものだ。静かな雰囲気がなんともいえない。立ち去りがたい気持ちを振り切って戻る。
蓬莱山からこれから歩く縦走路 (遠くに比叡) |
小女郎池 |
花をいっぱいつけたアセビをはじめて見る。ホッケ山に着くともう権現山はすぐそばに見える。権現山につくと霊仙山が下に見えるようになった。コルらしき所に着くがなんの標識もない。これまで要所要所には必ず標識があったので、まだ分岐点ではないのかと思ってしまった。道がはっきりしていて霊仙山を向いている左手の道へ入っていった。やがて道は東南にずれ始め、下山道に入ってしまったことがはっきりしたが、そのまま下ってしまう。最後のピークをミスしたのは残念だが、そこそこの時間になっていたので、まあよしとする。
ホッケ山から権現山を見下ろす
何種類かのスミレ、ミヤマカタバミ、ヤマザクラを見ているうちに車道に出る。小さな字で権現山・打見山と書いてある。すぐしたで霊仙山からの道が合流してくるが、そこには何も案内はなかった。バスの時間に少し間に合わないかなと思いながら栗原BSまで歩いたが、果たして5分前に出ていた。時刻表を確かめてから歩き始めたのを見ていた親切な人が、車の中から声をかけてくれた。駅まで買い物に行くという夫婦で乗っていけと言ってくださる。喜んで甘えさせてもらう。歩いても大したことはないと思っていたが、駅までかなりあるという話だった。あとで地図で調べるとBSから駅まで3.5kmもあった。おかげで1時間は早く帰ることができた。