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2012. 11. 12 - 14  神崎川源流・鎌ヶ岳・雲母峰 




この時期のタケ谷出合付近のモミジがすばらしいという記事を読んで出かけたが、今年は少し早かったのか、最盛期を過ぎていたようだ。それでも黄葉はあちこちで盛んにその美しさを誇っていた。


同行: 単独

2012. 11. 12 甲津畑から杉峠下の飯場跡へ  


コースタイム

1042 甲津畑BS、1104 林道へ、1125 登山口、1215 桜地蔵、1218-40 渋川の橋で昼食、1255 ツルベ谷出合、1308 蓮如上人小屋跡、1410-23 最終水場、1432-36 杉峠、1456 飯場跡

近江鉄道の八日市駅から「ちょこっとバス」に乗り、永源寺支所で乗り換えて、甲津畑まで行く。八日市から甲津畑まで1時間以上乗って、料金はわずか200円。財政難のはずの地方自治体に申し訳ない気持ちになる。

甲津畑からの林道が大きく迂回するので、それをショートカットする山道があるはずだがと、前から気になっていた。それがどこにあるのかがわかり、今回初めてそれを使った。林道に出てすこしすると永源寺グリーランドの前に出たので、やはりかなり時間短縮になった。それよりやはり舗装された林道より気分がよい。この林道はなんども通ったので、通るたびに短く感じるようになる。快晴の青空を背景に色とりどりの秋の樹木が美しく退屈しない。桜地蔵を通り過ぎ、渋川に架かる橋のところで川原に下りて昼食を食べる。日が当たって暖かい。

ツルベ谷出合、蓮如上人の隠れ家、シデの並木を通り過ぎる。道には一面にモミジの葉が敷き詰められている。最後の水場で念のため水汲みをして杉峠に登り着く。いつものように国見岳と御在所山が出迎えてくれる。その姿をカメラに収めただけで飯場跡へと下りていく。




フジキリ谷のモミジ




フジキリ谷のモミジ



杉峠から国見岳(木の間)と御在所山の一部


以前にテントを張った所より少し下にさらに広い場所があったように記憶していたので、足を進める。やはりヘリポートにでもできそうな所があった。右、左、上に水が流れているのも嬉しい。それに、眺めがすばらしい。御在所は手前の稜線の陰に隠れてしまうが、国見岳の二つの高まりはしっかりと見えている。右手には七人山から東雨乞岳への稜線。広場はやや風が強かったので、テントは気持ちだけだが木陰に張る。いつもより早いので、ご飯を炊き終えてから、焚き火の前で暖まりながらが、鍋物の具をつまみに酒を飲む。風の具合がちょうどよく、新聞紙を忘れてきたのに焚き火を作るのに苦労しない。二度目の鍋材料をいれてから食事をする。

18:00にすべてを終えてしまう。5℃。シュラフの中で翌日の天気予報を聞く。前日に聞いていたのと同じで、午後から崩れ始めるとのことだった。


2012. 11. 13 小峠、根の平峠経由で上水晶谷へ


コースタイム

0725 飯場跡、0816 小峠分岐、0845-48 小峠、0922-1110 神崎川上水晶谷出合、1135-43 タケ谷出合、1222-26 根の平峠、1233 杉峠方面への分岐、1315 上水晶谷徒渉、1332 テント場

この日に予定したゴールはコースタイムで2時間もかからない上水晶谷出合。これまでの全山行の中でもっともゆったりとした1日かもしれない。10分もしないで御池鉱山旧跡という看板。明治末期の最盛期には300人余りが銀や銅を採掘し、神社や小学校もあったと説明がある。10段余りの石段が残っていたので、上に登ってみると、広場のようになっており、小学校でもあった所かと想像をふくらませる。何度も通り過ぎていたが、ここに入ったのは始めて。赤や黄のモミジの中を、キツツキのドラミングを聞きながら、のんびりと下っていく。

やがて、徒渉地点にでた。ここから小峠を越えて上水晶谷に出ることもできる。小峠をこれまで何度か歩いているが、なんらかの間違いをしていたので、もう一度歩いてみることにする。前回こちら側から登ったときはやや左手の支沢に入って稜線に出たので、少し修正すれば、ドンピシャリで小峠に出るだろうと考えた。沢に入る前に右手の尾根にテープが見えたので、沢の左岸の尾根に入ってみる。これを詰めればP872との稜線に乗り上げるはずだ。少し人の歩いた形跡もあり、ひょっとしたら沢筋ではなく、これが最も使われているコースかもしれない。ザックがアセビなどに邪魔されるが、危ない所はない。最後にちょっと左手へトラバースする所には赤テープもあった。小峠まで30分。前回の沢を詰めたときは25分だったので、時間はすこしかかったが、気分的には楽だった。峠を越えて反対側へ少し下りるとロープがかかっている。途中の赤いマーキングのあるところまで下りると歩きやすくなる。下から登るときは左の沢へ、左の沢へと進めばよいことを確認したのでもう大丈夫だろう。神崎川に出たが、期待していたようなモミジの饗宴はなかった。靴を濡らさずに対岸へ渡ることはできそうにないので、靴を脱いで徒渉する。流れは深くもないし、冷たくもない。

すぐにテントを張り、コーヒー休憩をしたあと、天気が悪くならないうちにと早めの昼食を済ませてしまう。食後、もう一度徒渉し、左岸をタケ谷へと下っていく。地図で見る限り、右岸を下っても問題なさそうなので、そのうち一度試してみよう。タケ谷出合では、もう一度靴を脱ぎ、右岸に渡る。ここから根の平峠への道は歩いたことがないので、一度歩いておきたかった。途中で3人グループと出会う。「はじめて人に出会いました」となんとなく嬉しそうにしておられた。「こちらもそうです」と答える。プラプラ歩いて40分で根の平峠に着く。ここも千種街道の重要なポイントで、昔は人も住んでいたという。峠のすぐ下に水が得られるので、この辺りでテントを張ってみるのも面白そうだ。




上水晶谷出合でのテントサイト




タケ谷出合にモミジはほとんどなかった


すぐに引き返して、分岐点で左折して上水晶谷へと向かう。なだらかな道の周りはモミジの林で、ここら辺りが今回もっともよかった所だろう。道から外れて美しい樹のそばまで行ったりと優雅な時間を楽しむ。上水晶谷を渡るところで2人連れとすれ違う。正規のルートを通らず、出合の方へ足の向くまま、気の向くままに歩く。やがて知らない間に踏み跡に合流し、出合のテント場に着く。ちょうど雨がパラパラと降り始めた時だった。




根の平峠と上水晶谷の間で





根の平峠と上水晶谷の間で


すぐにやんだかと思うとまた降り出したりする。時間が早いので、持ってきた本を読んで過ごす。昼食が早かったので、クラッカーにチーズ、レタス、コンビーフなどをはさんで中食とする。食べやすいが、ボロボロと粉がこぼれるのが難点。そのうち、寒くなってきたので、また焚き火をおこす。紙を持ってこなかったが、ホオノキの枯葉が十分に役に立つ。その暖かさをつまみに冷酒を飲む。かなりの太さの枝が燃え始め、手がかからなくなったと思ったら、やや強めの雨が降り始めた。夕食は、これも初めての試みで、卵を2個使ってベーコンエッグが主菜。薄いフライパンの割にはうまくできた。天気予報の放送の前に寝てしまう。出発前の予報では、14日は回復するとのことだったので、あまり気にならなかった。


2012. 11. 14 コクイ谷、沢谷、武平峠、鎌ヶ岳、雲母峰  


コースタイム

0700 上水晶谷出合テント場、0733 コクイ谷へ、0819-34 黒谷一つ手前の沢出合、0843 黒谷出合、0857-0904 武平峠分岐、0930 登山道と合流、0952 沢谷峠、1051 駐車場、1100-40 武平峠、1235-40 鎌ヶ岳(1161)、1252 岳峠(右は水沢峠へ)、1450 雲母峰三角点(881)、1505-15 雲母II峰、1530 林道終点登山口、1650 岳不動、1725 近鉄湯の山温泉駅

この日はコクイ谷を経て下山という予定。この谷も何度目かになるが、前回は下から登っり、クラ谷を沢谷と思いこんでどんどん上まで行ってしまった。引き返してクラ谷と別れて雨乞岳=武平峠の一般道に入り、コクイ谷分岐点の標識を見ながら先に進んだが、そのすぐあとの二股で間違ったらしく、県境尾根に出た。そのまま県境を東に進めば登山道と交わると気楽に進んだが、知らない間に道を通り越して、御在所山の方に入り込んでいた。ほとんど踏まれていないところを尾根伝いに御嶽大権現まで行ってしまった。これらの間違いを確認するのも今回の大きな目的である。

コクイ谷の入口まではなんども歩いている道だが、今回はモミジの色も美しく、静かな林の好ましい印象は際だっている。入口には「道迷いが多いので熟練者以外は入るな」との新しい看板が出ていた。前回も、入ってしばらくは沢通しでなく岸辺の巻道を歩いたが、今回はもっと先まで巻道を歩くように導かれていた。沢の方が楽しいのだが、色々な道を歩いておきたかったので、素直に山道を歩く。かなり進んでから沢に下りる。左手から小さな滝をかけた沢が入っており、「沢谷分岐の滝まで15分」などという立派な案内板が設置されている。ザックを下ろして少しおやつを食べる。小泉氏の本を読んでいたので、周りの岩石にも多少目が行く。丸い大きな花崗岩にはなんの割れ目もないが、すぐ隣の黒い変成岩には無数の割れ目があり、そのような差が山の中での植生に大きく関係すると学んだので、大変興味深い。そこから10分足らずで見覚えのあるクロ谷出合につく。前にぶら下がっていた手作りの標識は消えていたが、岩に赤ペンキでクロ谷と書いてあった。標識がかかっていたアセビの樹はそのままだった。

さらに進むと武平峠への入口に着く。ここには前には見られなかった数多くのマークがつけられており、もう見過ごす人はいないだろう。左から小さな滝が落ちてきており、その右手の尾根に登るようになっている。前回はその取り付きに気がつかず、クラ谷をどんどん遡ってしまった。沢の中間の小尾根を登り切ると大きな滝の落ち口に着く。これが沢谷だ。その後は全く問題のない穏やかな沢。やがて二股になり、どちらかなと見上げると標識と人が目に入った。そこが雨乞岳=武平峠の一般道だった。




小尾根を登ると沢谷に出会う。沢谷の最後が滝となってクラ谷へ落ちている。


そのまま左手に進むとすぐに二股となり、ここが前回に間違った地点であることがすぐに分かった。左の谷に進むのを見過ごして、右の谷あるいは両者の間の尾根で道を探してウロウロした。面倒になりそのまま県境まで登ってしまった。今回は、間違いなく左股を辿っていく。いつまでも沢が続く。先ほどの沢谷がまだまだ続いているのだ。水がなくなるとコルに出た。なんの標識もないが、ここが昭文社のマップに出ている沢谷峠だ。そして、前回に登山道をまたいだ地点がここだった。念のため県境を少し南西方向へ進んでから引き返してきたら、やはり見逃してもおかしくない状況だった。変な角度で登山道と交差するので、いかにも目に入りにくい。しかも、前方の御在所方面への木には赤テープまで貼ってあった。道形はないも同然だが、そのテープで疑うことなく前進したのだ。これですべての疑問が氷解した。

そこから鈴鹿スカイラインまでは1時間の道程。モミジもきれいで、時々鎌ヶ岳の姿も見える。左手からは御在所からの小さな沢がいくつも流れ落ちてくる。やがてトンネル西口に出たが、武平峠はトンネルの上へ10分ほど登ったところにある。ちょうどよい時間になったので昼食をしようとしたが、かなり風がきつい。温泉の方へ数歩下りてザックを開ける。スープを作って、パラパラに砕けるクラッカーを食べる。どうもガスカートリッジが軽いような気がして前夜にコーヒーを飲むのを控えたが、まだ大丈夫だった。手に持った重さより、出かける前の残量と平均消費量からの推算の方を信頼すべきだった。




沢谷峠と武平峠の間で鎌ヶ岳を見上げる


食事が終わってもまだその後の計画はできていない。温泉に下りれば2時間もせずにBSに出ることができる。鎌ヶ岳を経て雲母峰に行くとすると4時間以上はたっぷりかかる。雲がかなり厚いので、今回はピークなしで峠ばかり歩いての3日間になるのも面白いと考えた。立ち上がると明るくなり、日も射してきた。雲母峰は前から気になっていたので、やはりそちらに行くことにする。ここから頂上までは前と同じ程度の見晴らしだったので、立ち止まることもなく鎖場を越えて頂上に立つ。ここではかなりの人達とすれ違い、頂上でも3-4グループが昼食中だった。一応パノラマ写真を撮り、南側へ下りていく。




鎌ヶ岳から綿向山、雨乞岳、イブネの山並み


岳峠から振り返る鎌ヶ岳の斜面は花崗岩の累々とした積み重なりで、なかなか迫力があった。その後、いくつもの分岐があるが、丁寧な標識があり、さすがに一般登山道だ。白ハゲというザレ場を通り過ぎ、前方にだんだん近づく雲母峰を見ながら歩く。ミゾレが降り始め、上の雨具だけつける。P791を巻いてしばらくすると雲母峰の三角点に出る。雲母峰という文字はどこにもない。展望もない。すぐにコルに下り、向かい側の雲母II峰という方へ行く。こちらには、標識やベンチ、それに東側の町並みの展望があった。キララ湖、四日市GCなどがすぐ下に見えている。折角だから腰を下ろして少し休む。




だんだんと近づく雲母峰

最後の下りがあやしげな道と読んでいたので、余りひどければ林道を歩くことも考えていた。しかし、最初のショートカットも2番目のそれも問題なく、多くの人が下から歩いて登っているらしい。これなら初めて道迷いせずに鈴鹿から帰れるかとニッコリしていたが、やはりそうはいかなかった。最後の森の中の道で、右手にずれ、沢に近づいてしまった。25分ほどのロスとなる。岳不動にでたあとは林道歩き。分岐点で地図をいちいち確認する。駅に出るすぐ前は真っ暗の林の中の道で、地図からのイメージとかなり違った。

ポール、オーバーズボン、靴の泥を落として、すっきりしたところで電車の発車の時間となった。四日市で途中下車して、しっかりした夕食を食べる。



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