トップページへ      地域別索引へ      関東索引へ       年次別索引へ


2011. 12. 20-22  女峰山 


前年の秋に仙台に行った帰りに宇都宮で1泊し、女峰、帝釈、小真名子、大真名子、太郎、山王帽子、刈込湖、湯本へと縦走する計画を立てた。ちょうど台風がきたので急遽取りやめにした心残りの場所。紅葉の時の縦走もすばらしいだろうが、雪の時もよかろうということで、例年の桐生訪問にひっかけて計画する。

同行: 単独

                                                          

2011. 12. 20 東照宮散策                                 

コースタイ

1331-57 東武日光、1407 西参道、1425-45 旅館、1455 二荒山神社前、1510 行者堂、1520 白糸滝、1545 北野神社、1550 開山堂、1600 日光東照宮美術館前、1615 大猷院(たいゆういん)、1625 旅館

初めて東武で日光入り。下今市に近づく頃、日光の山々がもっともよく見え、男体山、大真名子、小真名子、女峰山、赤薙山がきれいに並ぶ。その右に丸山があるが、こちらからだと正に名前通りに見えるのでその名前が納得できる。日光に近づくと女峰が大谷川の先に立派に見えるので、下車してから霧降大橋まで歩いてみる。女峰から赤薙にかけての荒々しい斜面が間近に迫ってくる。ここからは小真名子がほとんど隠れんばかりになっている。




日光の霧降大橋から見る大真名子山、女峰山、赤薙山(左から)



駅から東照宮まで歩いてもよいのだが、翌々日の帰りのバスの便の見当をつけるため、バスに乗る。ちょうど世界遺産めぐりというやや遠回りのバスがきたので、さらに好都合とそれに乗る。西参道で下り、駅に行くには複数の路線が通る総合会館前から乗る方が便利であることを確かめてから宿に向かう。15時前だったが部屋に入れてもらえたので、荷物を置いて散歩に出る。

翌朝のコースの下見とこれまで歩いていない東照宮の裏の史跡一帯を見てみることにする。家光の廟所である大猷院を横目に、役行者ゆかりの行者堂に向かう。登山口を確認したあと、多くのハイカーの出発点である滝尾神社、白糸滝に寄り、北野神社の石像や開山堂の落ち着いた赤色などを見て歩く。なかなかよかった。美術館にも寄りたかったが、閉館時刻が16時とあり駄目だった。人の気配がない神域を歩く頃にはかなり冷えてきた。宿で610mの標高はそれほど高いものでないが、冬型の気圧配置で全国的に冷えているらしい。20時の外気温は−3℃。とくに山時間にセットしたわけでもないが21時前には寝ていた。





白糸の滝




2011. 12. 20 東照宮から女峰山、唐沢小屋           

コースタイ

724 旅館、747-55 行者堂、820 林道、830 殺生禁断境石、1013-30 白樺金剛、1100 田母沢左岸尾根分岐、1124 八風、1145-49 七滝遙拝石(黒岩)、1317-50 中食休憩、1417-52 唐沢小屋、1616-23 女峰山(2483)、1656 唐沢小屋

朝の気温は−6℃。朝食を済ませてから出かける。予定の行動だったが、朝食をとらずに早出しておれば帝釈山まで行けたかなとあとで少し悔やむ。前日に下調べをしておいたので、迷うことなく行者堂まで進み、そこでダウンを脱いで2枚となる。ポールを取り出し、登山届を出したのち山道へと入っていく。林道に一旦出るが、すぐに殺生禁断境石となる。重そうな石だ。林道もない時代に持ち込むのは大変だったろうが、これほどのものを建てる必要が理解できなかった。霜柱が大変発達しており、冬の寒さを物語っている。登るかと思うと平坦道になり、また少し登って平坦になるという繰り返し。平坦といっても、後ろを振り返ると少しずつ登っていることが分かる。笹原に出るとまず赤薙が顔を出し、すぐに女峰も見える。やがて両方が見えるが、木があるので完全には姿を見せない。うしろに日光の町を経て、鶏鳴山、鳴虫山、笹目倉山などが見えているのだろうか。そのうしろにもう一列の山並みが見えているが、それが限界。

稚児ヶ墓に気づかずに通り過ぎ、白樺金剛の標識の所で休憩する。なにか金剛像でもあるのかと見回したが、なにもなく小さな卒塔婆がおいてあるだけだった。左手に男体山の下半分が見えるようになった。坂を登り切った所に道標があったが、田母沢左岸尾根分岐だろう。そちらの方にも一つだけ赤テープが下がっていた。少し右折して北北西に進む。岩が目立ち始めると八風だ。周りに木がなくなり見晴らしがよいのだが、日光方面はかなり霞んできている。地図では黒岩とある七滝遙拝石という黒い岩がある鞍部につく。調べが行き届かなかったので、実際の黒岩ピークは巻いてしまった

それはともかく、ここは雲竜渓谷を見下ろす好展望台だ。いくつもの氷瀑がかかっている。七滝、大滝、黒岩滝、大鹿滝、雲竜瀑などがあるはずだが、どれがどれかは分からない。見えている3つの滝はすべてが七滝らしい。夏の写真を見ると細々とした水流があるだけ。半世紀ほど前に凍結した雲竜瀑を見に行ったことがあるが、ここからはおそらく雲竜瀑は見えていないだろう。上には前女峰から赤薙への稜線があるはずだが、重いガスに包まれて見えない。

ここまでは一人のトレースがあったが、そこから上では消えてしまった。遙拝岩で引き返したらしい。雪に覆われているとはいえ、どこに道があるかははっきりとしている。遙拝岩からの登りは笹の上に雪が着いていて大変登りにくかった。しかしアイゼンを取り出すこともなく登り切るとその後は楽になった。もう一度渓谷を見下ろせる所にヒマラヤのチョルテンに見られるような色とりどりの小旗が張られていた。注意していたのに箱石金剛や竜巻山などが分からないうちに、緩やかな北向きの下りになった。すでにP2224を通り過ぎたらしい。指先も冷たくなり、少し休憩して指を温めながらテルモスのお茶を飲む。手袋を外すと指先に血が通うようで、むしろ暖かい。出発しようと手袋を重ねるが、うまく指が入らず手間取る。風がないので助かっているが、冬の手袋問題は何とかしないといけない。歩き始めるとすぐに唐沢小屋が遠くに見えた。あと2分歩いておれば、休憩無しになったかもしれない。この辺りから前女峰への脇道もあるらしいが、それも見つからなかった。その後ちょっとしたガレ場があったが、雪は軟らかいので問題ない。小屋には誰もいない。しっかりとした造りなので安心する。


ザックから荷物をとりだし、整理してから頂上を目指す。ガレ場を過ぎてしばらくすると日が射し始め、青空も見えてきた。喜び勇んで頂上に着くが、やはりガスがかかっており遠望はきかなかった。帝釈山方面、一里ヶ曽根方面、唐沢小屋方面が100mほど見えるだけだった。好展望の頂上なのに残念。時間が遅く、帝釈山はおろか三角点に行く余裕もなかった。暗くなる前にガレ場を通過しておきたい。なんとか眼鏡なしでも行く手が見える時間に下りてきた。林の中は一層暗くなるが、辛うじてランプを取り出さずに戻れた。小屋に着くと、玄関に登山服の上下がぶら下がっているように見え、出るときにはなかったのにといぶかりながら近づくと、暗がりに人が立っているのだった。「小屋泊まりですか」「テントを張るつもり」「その方が暖かいでしょうね」「こんなに暗くて怖くなかったですか」「いや自分の足跡を辿るだけなので」といった会話をかわす。小屋の中に入ったときにはヘッドランプを取り出すのに必要な明るさもなくなっていた。




女峰山山頂




山頂から帝釈山への稜線を望む



風がないので助かっているが、この時点で外気温は−10℃。これは翌朝も同じ(小屋の内外とも)だった。暖かいキムチ鍋とお酒で暖まったあと、シュラフに入るが、さすがに寒い。どんどんと重ね着をして、最終的には上半身7枚、下半身5枚、プラスかなりの数の使い捨てカイロでなんとか安眠できた。どういうわけかいつものウィスキーを体が受け付けず、若干眠りに落ちるのに手間取る。


2011. 12. 22 唐沢小屋から東照宮へ               

コースタイ

610 唐沢小屋、749-59 七滝遙拝石、813 八風、844-57 白樺金剛、932 稚児ヶ墓、1000 殺生禁断境石、1007 林道、1028 行者堂、1046 旅館、1051-52 総合会館前BS

1時頃に外に出ると満天の星空で、翌日まっすぐ下りるのが惜しくなった。4時に目が覚めてしまった。早ければ早いほどよいので、そのまま起床とする。星空は曇り空に変わっている。前日にドリップコーヒーを飲み、そのあと床においたままにしておいたのが大失敗。それをとるのが大苦労となった。湯を沸かしてから上からかけて融かしたが、コーヒー色のシミが床に残ってすぐに凍ってしまった。鍋物もきっちりとぬぐっておかなかったので、やはり湯をかけないととれない。ボンベ、ライター、電池類、水などはシュラフの中に入れておいたので無事だった。この日の朝食はパンとスープだけの簡単なものにしたので時間をとらない。この方式は今後も使えるかもしれない。

明るくなるまで少しグズグズしていたが、することもなくなったので、ヘッドランプをつけて出発する。下のガレ場に着く頃には明るくなっているかと思っていたが、予想外に近かったのでまだ暗かった。雪がないので足跡がなく、暗いうえに眼鏡がないので遠くを見通せない。しかしなんとか無事渡りきることができ、ほどなくランプを消す。前日に休んだ付近で男体山(8合目以下)、大真名子、小真名子が浮かび上がってきた。そして初めて白根山を認めることができた。もっともこれも頂上は雲の中だが、真っ白さは群を抜いていて間違いようがない。帝釈、女峰も樹間から見える。竜巻山を巻き終わった所で上に着ていたフリースを脱ぐ。それでもまだ薄手のダウンジャケットを着たまま。この日もどういうわけか箱石金剛を見つけることができなかった。前女峰が見えるようになってしばらくすると遙拝石への下りとなる。登りの時の苦労はなく、なんということもなく遙拝石に下り着く。前日よりはガスが少なく、赤い帯を巻いた前女峰が聳えているのが見えるだけでなく、一里ヶ曽根から赤薙山への稜線も迫ってくる。目の前のガレ場は赤薙山の大鹿落としというらしい。ここから5分で登れる黒岩のピークからは雲竜瀑の方も見えるということをあとで知り、パスしたことを後悔した。






遙拝石から見る前女峰山と七滝の一部



八風の上まで来て、はじめて男体山の頂上を見る。日光方面もよく見える。名前の通り風が冷たく、長居できなかった。
前日休んだ白樺金剛で荷物を下ろして中食をとる。その後は1ピッチで日光市内まで下りる。1250m辺りまで下って来たときに、かなり前方がはっきりしてきたので写真を撮っておき、帰宅後に地図と照らし合わせながら同定作業をした。大変むつかしいが、左から石尊、鶏鳴、笹目倉、鳴虫、石裂、六郎地、三ノ宿、横根、夕日、地蔵、薬師あたりまでが見えていて、右端にある丹勢山が茶の木、半月、袈裟丸、社山を隠していたようだ。見上げるより見下ろす方が、同定は難しい。水場標識の手前ですぐ左手に沢が見えたので、分岐から寄り道して沢をのぞき込んでみたが、雪が覆っており水が流れているかどうかは確認できなかった。すぐ近くであることだけは間違いない。今回は稚児ヶ墓もすぐ分かった。行者堂を過ぎると急に冷気が迫ってくるような感触におそわれた。山中より日光の町中の方が寒い可能性もありそうだ。

宿で荷物を引き取って、総合会館前バス停からバスに乗り、バスの中でシャツと靴だけ替えておく。東武日光で特急券と弁当を購入し、下今市までの8分でズボンを替え、荷物をできるだけ整理する。下今市で特急に乗り換えるときも、両手に荷物を抱えながら飛び乗るという感じ。弁当を食べたのち、洗面所で髭をそり、頭の毛をなでつけている内に栃木に到着し、両毛線に乗り換える。桐生での仕事のあとも、忙しい乗り継ぎや新幹線の遅れなどで、さんざん苦労し、家に着いた時には日付けが替わっていた。



トップページへ      地域別索引へ      関東索引へ       年次別索引へ