2011. 06. 07 - 10 妙高山・火打山
妙高・火打・焼という頸城三山を縦走し、最終日は焼山から下られる所まで下りて最後の夜を過ごすという計画を立てた。順調に行けば糸魚川に早く出ることができるので、ジオパークの情報収集もしておいた。出発点を赤倉からにするか燕からにするかで迷ったが、燕温泉からの情報が多かったのと、燕は昔何度か行ったことのある懐かしい所なので後者を選ぶ。
同行: 単独
2011. 06. 07 燕温泉から大谷ヒュッテへ |
コースタイム
1440 燕温泉、1537 赤倉温泉源泉、1542 光明滝、1610 湯道分岐、1640 二俣、1745-57 天狗堂、1820 大谷ヒュッテ
やはり列車の車窓風景から始めねばなるまい。長野駅を出て左手車窓は、しばらく飯縄山が主役の座を占めるが、そのうちどっしりとした黒姫山が、そして火打と前山を従えた妙高山がその座を奪うようになる。前山の右手に神奈山が低く見える。妙高高原駅を過ぎて関山駅に近づくと、前山と神奈山を従えた妙高は特徴的な台形となる。その右の火打は雲の中。1499bの容雅山はピラミッド形、1429bの雪の多い大毛無山は幅が広い。
燕温泉は記憶にある姿だがもちろん近代化されている。バスに乗っていた宿の人と話をしながら、歩き始める。「今から登るのか」と驚き、「悪いこと言わないから今夜は温泉に泊まったら」と真剣に言ってくれた。「大谷ヒュッテまでだから」と安心させる。薬師堂を通り過ぎ、黄金の湯という露天風呂に入っている人達を横目に見ながらスキー場の方へと足を進める。正面に見えるのは妙高山北峰か。すぐに少しだけ雪が出てきた。登山口を過ぎても舗装された道が続く。ムラサキヤシオ、オオカメノキ、コイワカガミ。赤倉温泉の源泉のすぐ手前にある雪渓のスノーブリッジはきわめて微妙な幅、厚みだった。川に下りて渡ることも考えたが、なかなか大変そうだ。ブリッジが崩壊しても死ぬことはないだろうと、怖々足を踏み出す。なんとか大丈夫だった。あと数日で崩れるのではなかろうか。
源泉のところで2人の作業員とすれ違う。こちらは温泉の人と違い、気楽に「頂上でテントか」などと言っている。「雪渓が続くが、最後は左手に上がっていく」と教えてくれる。まあまあの滝があらわれる。標識はないが光明滝だろう。上の方に別の滝の一部が見えている。鐘型のイワナシ、サンカヨウ、エンレイソウ。谷の先が広がり始めると湯道分岐。すぐに北地獄谷の雪渓歩きとなる。少し回り込むと妙高が先に見えてくる。やがて二股。右の方の先には消え入りそうな滝が架かっている。左股の入口のピンクテープがこちらに来いと言っている。
少し藪の方を見たが、雪渓以外に歩く所はなさそうだ。地図を見ると、途中で夏道は.左手に入っていくようになっているが、あまり注意もしていなかったので、気がつかず、そのまま雪渓を詰める。夏道は胸突き八丁と言われるジグザグ道だが、それと平行の雪渓を直登するので、かなりの勾配だ。ピッケルとポール1本でちょうどよい案配だ。一度雪渓が終わったあとも、まだ少し藪こぎや雪渓歩きが続き、湯道分岐から1時間20分で天狗堂に飛び出した。コースタイムは1時間。周りを見回すと、前山側に夏道が見えた。どのみち半分は雪に埋まっているのだろうが、多分そちらのほうが楽だったに違いない。
大沢ヒュッテへ下り、また翌日ここまで登り返すことを考えると、このままテントということもあり得たが、ヒュッテの評判がよいので、やはり快適な夜を過ごす方がよいかと、下り始める。道は沢のようになっており、水に苦労することもなさそうだった。途中でヒュッテとその先に野尻湖が見えた。林道に下り立つと、南地獄谷の白煙と硫黄臭。立派な小屋に18時20分に着く。さすがに夏至が近く、ゆったりできる。残っている水でまずコーヒーを淹れる。そのあと水場を求めて少し林道を下りるが見当たらない。一応道を流れる水をすくって持ち帰る。水場は反対側だった。下りてきた時には、水場標識が小屋の方を向いて立っているので気がつかなかった。左の谷の方へ下りていくとすぐに流水があった。硫黄の匂いもせず、そのままでも飲める。夕食は最初の夜の定番になった鍋物。鍋の材料で酒を飲み、最後にうどんを入れる。ごはんは炊かない。半分ガスがかかった妙高を見上げながらの食事。明るい内にすべてをすませることができた。夜は妙高市や赤倉温泉などの光がよく見えた。
燕温泉の黄金の湯近くから妙高山 |
行く手にきわどく残っているスノーブリッジ |
光明滝 |
北地獄谷の雪渓 |
天狗堂 |
大谷ヒュッテ |
2011. 06. 08 大谷ヒュッテから、妙高山を経て、高谷池ヒュッテへ |
コースタイム
0656 大谷ヒュッテ、0727 天狗堂、0741 光善寺池、0839-50 休憩、0921 鎖場、1008-12 妙高南峰(2454b)、1020-1120 北峰(2446b)、1240-55 長助池、1323-25 長助池分岐、1440 トラバースの終点、1515-35 大倉乗越、1558 黒沢池ヒュッテ、1651-53 茶臼山(2171b)、1728 高谷池ヒュッテ
この日は高谷池までなのでゆっくりする。下界はガスがかかっているが、妙高はくっきりと姿をあらわしてくれた。地形がよく理解できていなかったので、当初、見えている二つのピークが南峰と北峰かと思っていたが、勘違い。左手が南峰(2454b)で、右手は北北東に伸びる尾根の小ピーク(2420+b)らしい。北峰(2446b)も見えているのだろうが、南峰ときれいに分かれていない。天狗堂近くの道には前日のような流水はなく、ほとんど乾いた状態。その大きい差に驚く。
天狗堂から15分ほどで光善寺池の水溜まりがあった。ハルリンドウが沢山咲いている。白に近い色合いのダケカンバが青空に向かって伸々と枝を広げている。ムラサキヤシオの蕾、ママコナ類似の花、シロバナノヘビイチゴ、ミネザクラ。そこから1時間登った所で休憩する。ヒュッテを出てから1:40になる。燕温泉からピストンという若者が追いついてきて少し話をする。天狗堂には夏道から登ったと言っていたので、注意すれば見つかったらしい。彼が出てかなりたってから出発する。すこし行くと雪で道が分からなくなっていた。先ほどの若者がすこし前にいる。アイゼンを着けるのに時間をとっていたのだろう。あとについて行くが、どうも自信がもてない。大声で「テープは見える?」と聞くと、前方を指差しているので安心する。やがて鎖場になる。ロープや鎖を使って岩場をよじ登るが、この方がうんと楽だ。岩の間にコメバツガザクラが咲いていた。南峰に着く少し前に稜線にでて、天狗原山、金山、焼山方面が目に入る。ガスが盛んに動いており、いつまで見えるか心配になるが、南峰の頂上ではまだ見えており、影火打、火打も視界に入ってきた。北峰には一人の人影が見える。南峰ではゆっくりせず北峰に向かう。
見えていた人は高谷池ヒュッテの管理人で、大きなカメラを持ち、北峰でチャンスを狙っているという。コーヒーをわかしたので、少しだけお裾分けして、色々と話をする。高谷池への道のことも少し聞いたが、「夏道通りにはいけない所が多い」と言われ、「そうでしょうね」で終わってしまった。気にしていた大倉乗越へのトラバース道のことを聞いておけばよかった。普段は頂上でもっとキョロキョロと周りを見回すが、話をしていたこともあり、ほとんど見回していなかったことに後で気がつく。写真も一枚だけ。ガスがかかっており展望がほとんどなかったためもある。
どうせ一緒に出てもついていけないことは分かりきっているので、彼が出てかなりしてから出発する。来たときと同様の岩場下りから始まる。しばらくすると広大な雪面を下るようになる。先行者の真新しい足跡があるので、ほとんど問題なく歩けるが、テープ類もほとんどないも同然だったので、これがなければ少し時間がかかっただろう。もちろん彼も長助池分岐から大倉乗越へ進んだのだろうと甘く考えて、GPSで確認もせずにどんどん歩いて到着した所が長助池だったので驚いた。ここでGPSを取りだしておく。管理人はここから雪面を直登して大倉乗越へ出たのかなと思ったが、やはり知らない所で無理はできない。見た目には登れそうでも、実際に上に行くとどんどん傾斜がきつくなって往生するケースが多い。まずは分岐まで戻ることにして、GPSを頻繁に見ながら、それらしき所を探る。
分岐の標識は雪の下だったらしいが、夏道の取り付き個所は見つかった。夏道はすぐに終わり、突然50°の傾斜の雪面が行く手を阻む。前方には大倉山から乗越に伸びる長い外輪山の稜線、右下には長助池が望める。ここは危険だから引き返して、長助池かその下でテントを張って撤退しようと考え、実際に4、5歩引き返す。しかし本当にここを突破することはできないかと考え直す。ここさえ渡れば、長助池に下りるにしてもうんと近道になる。軽アイゼンを初めて取りだし、ピッケルで一歩ずつ足場をカッティングし、ゆっくりと進むと、とくに危ないこともなく、10歩ほどで渡りきることができた。少し土の上を歩いたあと、大トラバースに出る。ここから見ると、長助池から乗越に直接突き上げる雪渓はかなりの傾斜に見える。トラバースの終点の見当がつかないので、やはり長助池へ下りることにする。グリセードに適した傾斜だが、荷物が重いので、慎重に一歩ずつ下りていく。少し下りた所でスリップして、滑り始める。すぐ止まるかと気楽にブレードで制動をかけるが駄目。ピックを突き刺すが駄目。最後にピックを打ち込んでやっと止まった。10-15bほどだったろうか。下は傾斜がゆるむことが分かり切っていたので、全然怖いことはなかった。ただ、その時は気がつかなかったが、左腕を大げさに8cm×2cmほどスリ剥いていた(全治2ヶ月以上だった)。立ち上がって、心の中で長助池まで近くなったなと負け惜しみを言いながら、上をもう一度見上げると、トラバースの終点らしき切れ込みが見えた。多少の登りだけど歩けない感じではないので、しつこく再挑戦することにする。
結局45分ほどのトラバースで終点に着く。やはり思った通り夏道だった。しかし、それで終わりではない。またすぐに道がなくなり、藪をくぐったり、雪渓を何本か渡ったり、登ったりする。乗越に着く寸前になって、やっとさきほどの管理人氏の足跡を追えるようになった。乗越に着く。長助池分岐から大倉乗越まで夏時間30分のところを2時間10分もかかった。長助池への往復のロスを含めると予定外の時間がかかった。ザックを下ろし休憩する。目の前に鉄兜のような風貌の妙高山が聳え、左下の長助池の奥には燕温泉方面が静かに横たわっている。こちらの苦労を知らないあくまで穏やかな春の風景だ。
そのあとは、管理人氏の足跡をたどりながら下りていくが、ここも足跡が全くないと苦労する所があったかもしれない。ショウジョウバカマの群落やきれいな水場を通り過ぎ、はるか下に黒沢池ヒュッテが見えると一安心だ。ヒュッテから茶臼山への尾根も雪でベッタリと覆われている。茶臼の右手に火打も顔を出している。ヒュッテは開いていると聞いていたが、まだ閉鎖中だった。水場もすぐには見つからなかった。
そこからの登りは広い雪面なので、足跡はあってないようなもの。初めてなので戸惑うところもあったが、見晴らしのきく所まで登ると、行く手の見当がついた。下に広々とした黒沢池湿地帯が広がっており、行く手に黒沢山が聳えていた。登るにつれ、三田原山の稜線の奥に妙高山が頭を覗かせるようになり、茶臼山ではよりはっきりと双耳峰が望めた。茶臼山から高谷池ヒュッテまではそれほど難しいところはなかった。しかし、すぐそばに来るまでヒュッテの在処は分からなかったので、濃霧の時は見つけにくいかもしれない。
無事の到着を祝ってビールを注文し、管理人氏とここまでの経路について話をする。やはり彼は長助池から直登していた。トラバース道を来たというと驚いていたので、「今の時期は直登が正式のルートか」と聞くと、「今の時期は妙高と火打を繋ぐことは想定されていない」との答だった。この日は15時前には到着と予定していたので、翌日の長距離縦走も問題ないだろうと計画していたが、これだけ遅くなると焼山越えは無理そうだ。火打をピストンしたあと、笹ヶ峰に下山することに決める。小屋のすぐそばにテントを張ってよいとのことで、ベンチ用の木材が解体されて並べてあるところを、調理や食事に利用させて貰う。ウェブサイトで見慣れた三山を目の前にしながら、ゆったりとした時間が流れた。夕日が影火打の左裾に沈んでいった。
南地獄谷の白煙 |
光善寺池の近くから稜線を見上げる |
南峰から金山(手前に三田原山)・火打山 |
辛うじて火打山が見える |
長助池の先に霞む大倉山 |
幅は狭いが急勾配の斜面を横切った後で振り返る |
大倉乗越から鉄兜のような妙高を |
黒沢池ヒュッテと茶臼山の稜線 |
妙高山(左奥)と三田原山 (高黒沢池と茶臼山の中間あたりから) |
高谷池の夕暮れ 焼山・影火打・火打山の揃い踏み |
2011. 06. 09 影火打まで往復し、笹ヶ峰へ下山 |
コースタイム
0705 高谷池ヒュッテ、0723 天狗の庭、0805-14 雷鳥平、0850-0910 火打山(2462b)、0936 影火打(2384b)、0949-56 展望台、1033-56 火打山、1210-1417 高谷池ヒュッテ、1434 トラバース開始、1510-25 雨具着ける、1542 ほぼ夏道、1617 十二曲り上端、1647-57 黒沢橋、1733 笹ヶ峰登山口
頑張れば焼山越えもできたかもしれないが、自然に目が覚めたのが5時だったので、のんびりすることにする。ガスがかかっているが、それほど悪い天気ではない。そのうち好転しそうな様子だ。テントをそのままにしておいて7時に出発する。初めてのルートだし、足跡もそれほどはっきりしていないが、少しテープもあるので、問題なく丘を越え天狗の庭へと導かれる。全面雪で覆われているので、晴れていても火打が池に映る光景は期待できない。色々な鳥の声がする。雷鳥平の先は少し雪面の傾斜が増してくるようだ。再度滑って前日の腕の傷をもう一度擦ると困るのでTシャツの上から長袖を着ておく。少し冷えてきたこともある。火打の頂上では展望は全くない。少し明るくなってきたので、粘ってみたが、ごく近くが見えるようになっただけだった。
影火打は縦走路から外れていて、誰も立ち寄っていないよう。この日は時間があるので、何とか登ってみようと思っていたが、ハイマツが濃いので諦める。ライチョウがウロウロしていた。まだ親鳥同士で歩いている。その先の展望台と言われている所まで行ってみる。まあまあ視界が広がり、天狗原山、金山、焼山はしっかりと見ることができたものの、北アルプスなどは全く駄目。
火打への帰りに少し妙高方面も見える瞬間があった。頂上では、大体往路と同じ程度のガス。下り始めると天狗の庭や黒沢岳方面が見える。小屋にはもう一泊すると言っておいたが、火打で時間を使わなかったので、その日のうちに下山することに変更。これまでの方針に反するのだが、ビールを注文する。昼食をしながらゆっくり休むのでまあよいだろうというのが口実。2時間以上かけて、昼食をし、濡れたものを乾かし、テントを畳む。前日の天気予報では、午後から崩れ、雷もあるとのことなので、適当に切り上げて出発する。
火打からの下山時にすれ違った夫婦が下りてきて、昼食をすませると早々に笹ヶ峰へと下りていかれた。その足跡を辿りながら、黒沢岳のトラバースにかかる。金山、焼山は少しガスに覆われているが、一応天狗原山から火打山までが、やや違った角度で眺められた。これが最後の姿。トラバースはなんと言うことないが、その後の雪道はテープもほとんどなく、この日に往復した夫婦の延べ4人分の足跡が大変助けになった。なくても迷うことはなかっただろうが、時間はかなり余分にかかったに違いない。富士見平の標識は雪の下だし、展望は全くないので、どこが富士見平かの見当がつかずに通り過ぎた。多分、それを過ぎた辺りだろうか、雨が降り出し、いつもより早めに上下の雨具をつける。昨夜の天気予報で覚悟していたためだ。
小屋の人は1800mを過ぎると夏道になると言っておられたが、急坂の始まる1900mでほぼ夏道をたどれるようになった。確かに急坂だ。それが終わるとパッと花の饗宴に早変わり。ムラサキヤシオツツジ、タムシバ、オオカメノキ、シラネアオイ等々。雨もあがっている。暑いのが嫌なので、またTシャツに戻る。十二曲りがはじまり、その後丁寧に12ヶ所を示す標識がつづく。しばらく進むと左手から沢音が大きくなり黒沢橋に着く。
ザックを下ろし、美味しいという評判の水を補給しておく。歩き始めるとすぐにまた雨が降り始めたので、雨具をつける。これまで、どちらかというとノタノタと歩いてきたので、登山口まで2 kmという標識を見た地点から、少し早めに歩こうと決める。ずっと歩きやすいように工夫された木道が敷いてある。途中から雨が激しくなり、雷鳴も続く。稲妻との間隔は4秒以下にはならなかった。何しろ大きな森の中なので、いくら雷が鳴っても能郷白山頂上のような恐怖感は全くない。登山口に着くと、また明るくなってきた。
すぐにキャンプ場だが誰もいない。携帯は通じないが公衆電話があったので、家に電話をして予定の変更を伝えておく。少しウロウロするとテントサイトの場所が分かった。選り取り見取りだ。また雨があるかもしれないので、屋根付き炊事場のそばに陣取る。濡れたものなども辺り一面に広げてから、ゆっくり食事にする。ご飯は2食分を昨夜に炊いておいたので、その残りをすこし温めて、豚の角煮で補強したレトルトの牛丼。
朝の高谷池ヒュッテ」 |
影火打と霞む焼山 (火打山の西側から) |
ライチョウ |
展望台から金山と焼山 |
影火打 |
三田原山 |
高谷池の上から影火打と火打山を振り返る |
笹ヶ峰キャンプ場 |
2011. 06. 10 笹ヶ峰遊歩道の散策 |
コースタイム
0827 キャンプ場、0844-0908 乙見湖、0922 笹ヶ峰牧場、0943-47 清水ヶ池、0957-1002 宇棚の清水、1032 京大ヒュッテ下、1045 キャンプ場
5時に起床し、散歩への出発が8時半となんともゆったりとした朝だ。ガスはあるが天気は悪くなさそう。キャンプ場の中を歩いていると木々の間からいくつかの山が見える。60°に三田原山、220°に天狗山、310°に天狗原山、312°に真っ白な金山。しばらくして「もう起きちゃいかが」とカッコウが鳴く。一応すべてをザックに詰めておいてから、南の乙見湖を目指して遊歩道を歩く。スミレが多く、ミネザクラも咲いている。鳥の声も多い。ヒグラシのような声も聞こえるが、そんな時期だろうか。
乙見湖では西側の展望が開け、薬師岳、赤尾山のうしろに天狗原山、金山、裏金山、老山のうしろに焼山、笹ヶ峰の真後ろに影火打、弥八山で終わる。湖面が静かなので、きれいに山々の影が映っている。残念だが火打や妙高は見えない。
笹ヶ峰牧場の方へ足を向ける。花、せせらぎ、広々とした牧場、池、名水ありで、退屈しない。ぐるりと回るので山の展望も刻々と変わる。牧場の北側に来ると、黒姫山(2053b)、佐渡山(1828b)、戸隠は見えていないだろうがその手前の五地蔵山(1998b)が見え、さらにその右に高妻山(2353b)、乙妻山(2318b)を初めて見ることができた。そして以前から見えていた神道山(785b)がちかくに聳え、その右奥に雪の残る三角形の地蔵山(2073b)。
最後に車道を横切る前後で、遊歩道の雰囲気から一転して踏まれていない怪しげな道を歩くようになったのが不思議だった。いくつかのピンクのテープを頼りに、頭を働かせながらの帰着となった。
妙高高原駅に着き、直江津=糸魚川間の特急券を追加する。昼食に都合のよいだけの時間が残ったので、駅前の蕎麦屋に入る。見た目は少し悪いがよい味だった。途中の杉の原スキー場で沢山の人が山菜採りに熱中していたので、どこかで山菜が買えないかと聞くと、売っていないという。しばらくすると、自分の家で採ってきたと、ウドとイヌドウナの大きな包みを渡してくれた。帰ってすぐに女房殿が調理してくれたが、山菜のよさがにじみ出た味だった。
乙見湖から薬師岳・天狗原山・ 金山・裏金山・老山(手前)・焼山 |
笹ヶ峰牧場から黒姫山 |
清水ヶ池 |
天狗原山・金山・老山・焼山 |