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2010. 3. 19  霊仙山(1094) 



最初に来た時は、彦根で11時からはじまる法事に間に合わせるため、駆け足で経塚山に登った。目の前の霊仙山に行く時間がなくスキップ。2度目はあまりの雪に阻まれて、四丁横崖で引き返した。3度目の正直で頂上に登っておきたかった。春の残雪を踏みながらと考えていたが、雪は沢筋を除いてほとんどなく、若干淋しい春山となった。


同行: 単独

コースタイ

831 丹生BS、857-906 登山口、948-52 一ノ谷、1015-18 広畑コース入口、1048 三叉路、1200 井戸ヶ洞、1230 源頭、1245-1303 米原小屋、1309 北霊仙山(経塚山;1040)、1330-37 最高峰(1094)、1351-54 三角点峰(1084)、1412 経塚山、1434 お虎ヶ池、1557-1603 山小屋かなや、1612 林道(登山口)、1655 養鱒場BS

5:20にJRに乗って新幹線を使えば、始発のバスに間に合うのだが、やはり億劫になり、出発を1時間遅らせる。その代わりバスがないので、タクシーに乗らねばならない。登山口まで行かず、丹生BSから歩き始める。この20分ほどの村の中を歩くのが、登山のプレリュードとして大切な時間だ。前回のときは、ここからすでに雪があり、道も凍っていたのだが、今回は全くそのような気配はない。川の向こうの家にサンシュユだろうか、黄色い花を一杯つけた木が春を告げている。全国的な晴という予報だったが、霧雨が降っている。紅白のウメがそのような暗い朝を彩っている。





丹生の集落



登山口で用意してきた登山届を出す。前のものは、なんと3月3日のもので、道が分からなくなり、引き返してきたとある。その頃はまだ雪が多かったようだ。その後も何十人と入山しているはずだが、誰も出さないらしい。この日は、一台だけ車が駐車していた。ここで、オーバーズボンとスパッツをつける。林道を歩いていると、かなりの崖崩れがあり、大きな岩や折れた木の幹が転がっている。谷山谷を幾度かわたりながら、谷沿いの道を登っていく。前回は雪に埋もれていたため、神経を尖らせていたためだろう、多くの場所が記憶の中に残っていた。

一ノ谷の出合でザックを下ろし、汗をかき始めたのでバンダナを額に巻き、沢を渡るのに便利なようにポールをとりだす。この谷も大変荒れており、ここから横道への登山道は閉鎖されている。二ノ谷の奥に滝があるが、水量が多く、立派に見える。そのあとの高巻きの道にある杉にはやたらとテープが貼ってあるが、これは鹿の食害を防ぐためのものらしい。そういえば、この日は鹿の姿を一切見なかった。






二の谷



広畑コース入口で、どちらに行くか少し迷った。漆ヶ滝のコースは何度も歩いているので、間違いないし、この日は水量も多そうだったので、元気な漆ヶ滝を見てみたい気もした。しかし、初めての道を歩いてみたい気持ちの方が強く、広畑コースに入る。ここから250mほどの急な登り。雪がある時なら、2歩前進1歩後退というような傾斜が続く。登るにつれ、少し対岸の斜面が見えるほどまで、霧が薄れてきた。30分ほど要して、横道の三差路に着く。一ノ谷の方へは通せんぼのロープが張ってある。ここでザックを下ろし、簡単に中食をとる。





横道



このあと、平坦な道を東に進むと、道端に雪が出始め、ぬかるんだ道となる。気温も急速に下がってきた。例によって手先の感覚がなくなってくる。雪が道を隠すようになってくる。足跡は全くないし、テープなども少ないので、そのうち道を見失う。しかし、藪などはなく、歩くのに不自由はしないので、地図とコンパスを睨みながら、歩いていく。所々で立ち止まってGPSで確かめてみる。登山道の南側にそれているらしい。そのうち、小沢があり、その後漆ヶ滝からの沢に突き当たるはずだからと東進する。やっと沢に出た。どこの沢かは定かでないので、少しウロウロする。登っていくと南西に向かうので、やはりこれは手前の小沢であろうと、引き返す。すると、木の幹に巻かれたテープ、井戸ヶ池への標識、赤テープなどが目に入った。正しい登山道と小沢の交差点だ。これで後の心配はない。この小沢を詰めると、井戸ヶ池、ひょうたん池という別天地があることをあとで知った。そのうち、対岸の阿弥陀ヶ峰と合わせて、テント持ちで訪れてみたい。

漆ヶ滝からの沢にはすぐに着いた。この沢はかなり雪が詰まっている。前回、沢の中を歩いたり、岸のトラバースをしたりしながら登ったが、今回は沢の中を詰める方がやや楽かなという感じ。いずれにせよよく締まっており、ワカンを取り出すまでもない。最後の最後まで沢を辿ると、四丁横崖よりかなり西側に出た。三差路から0:40ほどかかったが、コースタイムは0:45なので、ほとんどロスなしで来たことになる。少し、四丁横崖の方へ行きかけたが、わざわざ確かめるほどでもないので、引き返して頂上へ向かう。尾根道にはかなり霧氷が成長していた。

ガスに包まれた避難小屋の中にはいると、若者が食事中だった。醒ヶ井駅から歩き始め、汗拭き峠を通り越して、今畑に行き、そこから西南尾根で霊仙山に登ったというので、歩くことそのものが好きな人らしい。出かけにまた数人の団体客が到着。経塚山では名古屋弁の夫婦連れと出会った。皆さん、天候が予報と違うことをこぼしておられた。これからはよくなりますよと予言しておいた。以前に来たことのある経塚山はそのまま通り過ぎ、その他の最高峰(1094m)と三角点峰(1084m)には行っていないので、まずは三差路を左折して最高峰に行く。





三差路



小屋がかすかに見える程度に視界が広がってきた。そこから引き返して三角点峰に向かう。この峰の北斜面にはまだ雪がべったりと残っている。戻るにつれてだんだん明るくなってくる。霧氷も一層引き立つようになる。頂上には、三角点だけでなく、立派な道標や霊仙寺などの解説板もある。役小角が開山(681年)したのが始まりと書かれていた。役小角は日本中のあちこちの山に足跡を残している超人だ。見晴もよい。琵琶湖方面は見えないが、経塚山の右手には谷山がすっきりと姿を現した。いくつかのグループが汗拭き峠へ向かっているのが見える。もう、辺りには誰もいない。とくに何時までにどこに下りなければならないという縛りのない登山なので、時間を気にせず、ゆっくりとカルスト地形を楽しむ。





三角点峰へ





霧氷と三角点峰





最高点峰と西南稜




経塚山に戻る頃になると、日射しが射しはじめ、青空が広がってきた。穏やかな春山の気分が何とも言えない。琵琶湖方面も見えるようになってきた。下山路は汗拭き峠経由だ。ぬかるんで歩きにくいことおびただしい。足を踏ん張らざるを得ず、その度に右足首に痛みが走る。小さな池、霊仙神社の鳥居のあるお虎ヶ池を越えて、ちょっとした見晴台に来ると、琵琶湖が完全に見えるようになった。かすかに山本山らしきピラミッドも見えている。お猿岩というところで、冬道が直進していた。10分後に合流する。





青空が広がるのどかな春の高原



「かなや」という立派な山小屋の前の流水で、ポール、靴などについた泥を流してスッキリする。小屋の前にバスの時刻とBSまでの所要時間が書いてあった。ちょうどピッタリのタイミングらしい。少し早足で林道を歩いて、養鱒場BSに発車の10分前に着いた。JRの醒ヶ井駅に着くと、山では見えなかった伊吹山がスッキリと全貌を見せてくれた。ほとんど雪もなく、春になったことを教えてくれる。




  
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