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2009. 04. 02 - 03  金糞岳・白倉岳



花の季節もよいらしいが、暑いのはかなわないので、雪のあるときとする。大阪から公共手段だけで、日帰りするには少し無理そうなので、テントを持っていくことにする。最初の予定では、ゆっくり出発して、高山キャンプ場付近で泊まることを考えていた。しかし、ネット情報を調べていると、この時期でもかなりのラッセルがある可能性があると分かり、早めに出発して、少し上まで進んでおくことにする。来てみると、追分どころか、かなり上まで雪はなく、結局小朝の頭まで登ってしまった。

同行: 単独 

  

2009. 04. 02 近江高山から小朝ノ頭まで                


コースタイム

1055 近江高山BS、1120 二股(高山キャンプ場)、1128-43 昼食、1226-53 追分、1326 林道、1418-22 広場、1426-35 連状頭の下の登山口、1512 小朝の頭

米原駅から、かなり雪の残る霊仙山、まったく雪のない伊吹山、そこそこ白い金糞岳が見渡せた。バスの乗客はまた一人だけ。あちこちをグルグルとまわるコミュニティバスのようなものに50分も乗り、最奥の高山につく。

二股までの道には、レンギョウ、ナノハナ、スイセン、サンシュユ、モモ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ツバキ、ユキヤナギなどが咲いており、穏やかな春そのものであるが、風は肌寒いものがある。パトカーが停まり、計画書を出してくれと言う。ちょうど持ってきていたので、手間を取らせなかった。編笠山の登山口に用紙がおいてなかったので、最近は家から持参することにしている。民家のおばあさんが、「山で泊まって、寒くないのか」と声をかけてくる。そして「風が強いので火を焚かないように」と念をおされる。この日は、どのみち焚き火はしないつもりだったが、やはり周りの人は気にしているらしい。やはり、登山の前は、このような静かな集落を通り抜けていくのが楽しい。人々は豊かでないかもしれないが、善良で、優しく親切だ。家も、塀も、田畑も、植木もしっくりしている。いきなり、車で登山口に行ってしまうとこの楽しさがない。

二股のキャンプ場はまだ営業前のはずだが、準備のための人がいた。二股を過ぎた杉林は、風が静まり、薄日も射していた。落ち葉が敷きつめられた穏やかな場所で昼食とする。東俣谷川沿いの道には、ミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、キンキエンゴサク?、ミヤマキケマン、カヤツリグサ科スゲ属のなにか、スミレなどがチラホラとある。3月中旬の山行で、追分までの道でラッセルがきつかったという話を読んでいたが、雪の影もないまま追分に着く。橋から見下ろす川に流れる水のきれいなこと。ペットボトルに汲んでも、ゴミのかけらさえ見えない。合計1.5 Lの水を汲み、ついでに米も研いでおく。テントを張るのによい場所もあるが、あまりにも早すぎる。

そこから林道に向かって一登りする。再び沢山のカタバミを見るが、ピンク色しており、ミヤマカタバミとは違う種類かもしれない。アブラチャンらしき黄色の花が少し遠くに咲いている。30分で林道に出る。ここでも道端にテント一張り分くらいの平地があったが、水もなく、適地ではない。800mを超えたあたりでやっと雪を見るようになる。この辺りの林の中には泊まれそうな平地が少しある。そこから1時間で連状頭下の登山口に出る。ここがマイカーの登山口になっており、広い駐車場がある。周りの景色も広がり、白倉岳の一部が見えているようだ。晴れやかな場所だが、水はないし、雪もない。まだ15時にもなっていないので、迷わず前進する。





駐車場のあたりから見上げる尾根



だんだんと雪が増えてくる。数日前の新雪があるが、誰も歩いていない。初めて金糞と白倉が見えたと思ったら、すぐに小朝の頭に着く。正面に金糞岳が見えるので、なかなかよい。もっとも、山の姿はずんぐりとしたもので、やや魅力に欠ける。ピークに雪を避けてテントを広げる。水を作るのに適した新雪があるのは好都合だ。風が少しあるが、それを避けるすべはない。コーヒーを飲み、飯を炊き、予備の水を作り、少し早いが夕食を終えてしまう。外気温度は−1℃程度。まだ明るいので、持ってきた文庫本を広げる。恒例の足揉みもせずに寝てしまった。やはり寒いので何度か目を覚ます。外に出ると、おおぐま座が目の上に大きく、アルクトゥールス、スピカなども輝いている。





小朝ノ頭から金糞岳




2009. 04. 03  小朝ノ頭から金糞岳・白倉岳・奥山         

コースタイム

650 小朝の頭、707 大朝の頭、809-39 金糞岳(1313)、859-907 コル、922-28 P1270+、942-1002 白倉岳(1271)、1030-35 八草峠分岐、1105-20 五ロウ頭、1200-50 奥山、1422 二股、1447 近江高山BS

朝起きて、外の温度を測ると−5℃程度で、テント内とかわらない。編笠のときはかなり違っていたのに、どうしてだろう。定番となってきた棒ラーメン、餅を主体とした朝食。食べている間に、少し雪を融かして水を補給しておく。一見、きれいな雪だったが、融かすと浮遊物や沈殿物がかなりある。煮沸してテルモスに入れておく。きれいな水も少し残っているので、まずは心配ない。出発準備を終え、ザックを担いだ途端に眼鏡がないことに気づく。前にもテントにたたみ込んでしまったことがあったので、もう一度ザックを開き、テントを取り出したが、なにも出てこない。テントを振ってからパッキングしたときに、飛び出したのかもしれないと周りを見回すと、はたしてブッシュの中に落ちていた。10分遅れてしまったが、遅れて問題になることもないので気楽だ。

雪の上に珍しくウサギの足跡を見る。東北の山では頻繁に見ていたのに、こちらではなかなか見る機会がなかったが、やっとお目にかかった。キツネらしい跡も見える。大した苦労もなく、頂上に達する。目の高さ程度の木々に遮られるので、あちこちに移動しながらの展望となる。透明度はもう一つだが、目を凝らすとあちこちに雪山があることが分かる。簡単に分かるのは、すぐ北のP1277、伊吹、白倉くらいで、あとは地図と首っ引きでないと分からない。写真にもよく写らないだろうから、方角だけメモしておいた。340、345、355、10°に少し遠い三国岳、三周ヶ岳方面の雪山、手前の10°にP1277、35°に特徴のあるツインピーク(蕎麦粒山)、その手前に湧谷山、その奥37、40、45°に遠い能郷白山らしき影、70°に手前の低山、その奥に色々、160°に伊吹、180°に近くの顕著なピーク(高山近辺のP843か)、下山道に考えている花房尾。その奥にちょっと頭を出しているのは、ちょうど2年前に登った己高山らしい。270°に白倉。金糞山頂の水は、北側に流れ落ちた浅又川、八草川は、いずれも揖斐川になる。南側は草野川で、姉川と合流して琵琶湖へ流れるので、伊勢湾と大阪湾に行き着くことになる。十分堪能したのち、白倉に向かう。




金糞岳頂上


入山するまでは、白倉、横山を越えた最後の下りの部分が分かりにくそうなので少し心配だった。しかし、小朝まで上がってしまったので、時間がたっぷりある。トレースは全くないものの、行くべき方向はしっかりと見えている。気がかりな最後の所に雪がないことは明らかなので、大丈夫だろうと前進する。あまり必要を感じなかったのでワカンをつけなかったが、コルまで下りた所で、ズボッと胸まで潜ってしまったので、そこでワカンを取り出す。東俣谷川への下り道などは全く分からない。




金糞岳の下から白倉岳


多少きつい登りというふれ込みだったが、何の苦労もなくピークに達する。そこは白倉岳より心持ち高いピークで、展望もよいので、ふたたび周りを見回す。三国岳、三周ヶ岳方面の空気がやや透明度を増し、形がはっきりと判別できるようになってきた。白倉岳からの展望もほぼ同様。能郷白山がさらにはっきりしてきた。登ってきた中津尾、ブンゲンの尾根、さらにその先の貝月山なども見える。




白倉岳東峰から見た貝月山から伊吹山への稜線





金糞岳を振り返る


八草峠への分岐を過ぎ、五ロウ頭でワカンを脱ぐ。奥山まで来ると、正面に金糞と白倉がデンと座っているので、40分しか歩いていないが、また休憩となる。テントやスパッツを広げて乾かしながら、雪を融かした水でコーヒーを入れる。ドリップ式なので、浮遊物などを漉すことができて良いアイデアだ。あとはもうほとんど水も要らないと、コーヒーのあと、ミルクを作ってクッキーを食べる。時間を計算すると、14:51のバスに乗れそうな感じなので、あまりゆったりせずに下ることにする。




奥山から白倉岳と金糞岳


その後は800mの下りだが、手頃な勾配で、落ち葉のクッションも効いており、大変歩きやすい道だった。実に沢山のテープがぶら下がっており、積雪期にそれほどの人が入るのかと驚く。全く必要がなかったのだが、雪に埋もれていても歩けるだろうかと、GPSを見ながら地図の点線を丁寧にたどる。それでも、ジグザグ道の手前で右折せずに直進してしまった。あるレポートに、間違ってそのまま東俣谷に強引におりたと書いていた所らしい。

キャンプ場に下り立って、バスに間に合うと確信できた。途中の白竜神社の湧き水で喉を潤し、300ccのボトルにもつめて、土産とする。バス停にはピッタリの時間についた。ビールを買うだけの時間の余裕はあったのだが、残念ながらそのような店はなかった。




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