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2008. 11. 12
-14  イブネ・クラシ・銚子ヶ口



先月、色々と不可解な点を残した山旅に終わったので、鈴鹿の奥座敷に、2泊3日で再挑戦して疑問を解くことにした。3日続けて好天候のようなので、急遽出発を決める。前回と同じく一個所に留まり、ゆっくりと楽しむつもり。宿泊は、ある人が鈴鹿のテント場としては3本指に入ると推奨している佐目峠とする。

同行: 単独


2008. 11. 12 永源寺から佐目峠まで

コースタイム

0905 永源寺山上口BS、1005 甲津畑、1055-1100 車止め、1110-30 昼食、1217 ツルベ沢出合、1230-38 蓮如上人遺跡、1339-43 杉峠、1410 佐目峠

前回歩いたので、この日はタクシーを使おうかと考えていたが、朝早く出発できたのと、バスを降りてもタクシー会社が見つからなかったので、もう一度甲津畑まで歩くことにした。2度目なのでやはり短く感じる。甲津畑で、村人に止められ、前日に遭難騒ぎがあって、大変だったことを聞く。信長の馬を繋いだという風格のある松を眺めて、先に進む。逆光のススキを前景に幾重にも重なった山々が連なり、秋の気配を濃厚に感じる。

車止めで登山者カードを出す。3組ほどが日帰りの届けを出していた。この入口からさらに10分ほど歩き、対岸のモミジが眺められる所で昼食とする。この時期になると、やはり陽の当たる場所が恋しくなる。この辺りのモミジの色調は10月に比べて一段とよくなっている。バイクに乗った人が通り過ぎて行った。右岸へ渡ったところに、テントを張れそうな場所があった。しばらくすると先ほどのものを含めて2台のバイクが駐輪していた。古屋敷(ツルベ沢出合)の少し手前で、ペットボトルに1Lだけ水を入れておく。杉峠のすぐ手前にある小屋の所でも十分の水が流れていたし、佐目峠にも十分あったので、結果的には不要だった。杉峠で、国見岳、御在所岳に再会。その左手には、前回は見えなかった桑名、朝日あたりの町並みを見下ろすことができる。佐目峠に向かって登るにつれ、七人山や鎌ヶ岳も見えてくる。

杉峠の頭は、前回のガスの中とちがい、あまりにもあっけらかんとしている。趣に欠けるただの平地のようだ。佐目峠には予定より早く着くことができた。前回見ておいた水場にはほとんど水が流れていなかったので、広場から少し下に降りて、水が豊富で、平らで居心地の良さそうな所をテント場と決める。米を研ぎ、コーヒーを飲み、テントを張るまでは日が当たっていたが、そのうち日陰になってしまった。それでもイブネ方向の斜面がかなりの間、明るかったので、気分的には悪くはない。




佐目峠から国見岳・御在所岳・七人山・鎌ヶ岳


夕食後、満月近いすずやかな月を見ながら、焚き火の前でウィスキーを飲む。至福のひとときを過ごしたあと、18:30にシュラフに。22時ころ外を覗くと、霜が降りたのかと思ったほど、月の光が煌々と辺りを照らしていた。「朝ぼらけ 有明の月とみるまでに 吉野の里に 降れる白雪」の逆である。


2008. 11. 13 小峠、高昌山、銚子

コースタイム

0745 テント場、0824-27 登山道寸前、0847-53 本谷まで降りる、0940-50 小峠入口、1015-20 小峠、1027-30 沢の分岐点、1037-40 上水晶谷出合、1048-55 根の平峠とコクイ谷との三叉路、1103 水晶谷出合、1144-52 登山道、1200-22 小峠、1302 前回行き止まった小沢、1328 高昌山への分岐、1333-48 高昌山(1125b)、1400-14 イブネ北端、1420 クラシ(1145b)、1426 クラシ東端、1430 銚子分岐、1440-45 銚子(1123b)、1514 イブネ(1160b)、1525 佐目峠テント場

起きてみると、もう外は十分明るい。なんと06:25まで寝ていた。残月が山の端に沈もうとしているさわやかな朝である。この日は、前回に佐目峠(難路)という標識の所から登って来た道を逆にたどり、その標識の所へ出る予定である。結構たくさんのテープが貼ってあり、それを辿っていったが、途中で見失う。テープを見失ったのは分かっていたが、そのままNEに下れば自然に登山道にぶつかるので、心配しなかった。GPSで2度ほど、チェックし、2度目のときはほとんど登山道間際であった。しかし、枯れ葉に埋もれた登山道をそのまま跨いだらしく、本谷に出てしまった。しばらく、谷沿いに下った。そのままでも行けそうだったが、癪なので左岸の斜面をはい登り、登山道を探すが、なかなか見つからず、また谷へ降りる。地図でもはっきりと出ている沢の屈曲点に来て、また上へ登って下流方向に進んでいると、知らない間に登山道を歩いており、小峠への分岐点(つまりは本谷の渡渉点)に出た。

さて、前回よくわからなかった小峠への道を探す。前回は道でない所を降りてきたが、降りた地点は多分正しかったような気がしていた。事実、降りてきた沢の入口に赤いテープがあったが、もう少し東側にもテープがあったので、念のため見に行く。やや小ぶりの沢であるが、次の目印がないので、戻って最初の沢を登る。特段問題はないが、途中でいくつもの谷筋が合流するところがあり、よくわからないまま中央へ進んだ。尾根に出る寸前はやはり尋常ではなく、間違ったことが分かったが、前回苦労した反対側のザレ場ほどではなかった。やはりほんの少しずれていたようで、尾根に登りついて少し右手に行くと標識のある小峠に出た。反対側の水晶谷出合へのルートにはトラロープもかかっており、はっきりとしている。とにかくまずは降りてみる。7分で見覚えのある赤布がかかって二股になり、そこから7分で神崎川に出てしまう。前回は、神崎川から尾根道までの登りに50分近くかかったので、信じられないくらいの簡単さである。

水晶谷出合に降り立ったのであるが、根の平峠にも一度行っておこうと対岸を登り始めるが、根の平峠とコクイ谷との三叉路まで来たとき、やはり源流付近のややこしい所をもっとゆっくりと味わおうと考え直し、引き返す。ここから小峠に戻り、イブネに行くのが最初の予定である。赤布がかかって二股まで登る。そこから正規のルートを辿ればすぐに小峠である。峠も見えている。できれば、前回失ったポールを回収できればと欲をだし、正規ルートの右手の尾根を登って行く。もっとしっかりと前回の記録を見ておけばよかった。実は正規のルートである左手の沢に入り、その後の二股で右の方へ入っていってザレ場を登る羽目になったのだった。それを忘れており、尾根にとりついてしまった。最初はどうということなかったが、やがて前と同様の危険な急坂となった。下から見ていると、ザレ場ではなく、岩がゴロゴロしているので、簡単かと思ったが、どの岩も頼りにならず、すぐにはがれ落ちる。ホールドもスタンスもないような所を登るはめになった。どこも緊張を強いられたが、一歩進むのに、本当に身の危険を感じたところが一個所だけあった。やっと草付きにたどり着き、登っていくと薄い踏みあとに出た。神崎川から40分もかかった。イブネへの道に出たらしいが、念のため小峠まで降りる。小峠が左手にあることは間違いない。10分ほどで標識のある峠に出た。小休止して軽食をとりながら、前回の反芻をする。同様にイブネへの尾根道に出たが、そこから小峠への下りで、右手にずれてしまい、小峠を通らないまま、本谷へ降りてしまったという結論に達した。

さて、小峠からイブネへの尾根である。ネットで見ると特段の苦労をしていないようである。どうして前回に道を見失ったのかを確かめるのが楽しみである。確かに、なんの問題もなく尾根筋を辿っていける。小峠から40分後、前回に道を見失った見覚えのある沢に出た。なんと、前に降りてきたときと同じ側(沢の左岸)から沢に出たのである。登りでも下りでも、沢をかすめて道がついていたのである。GPSの経緯と地図を丹念に見ると、基本的には尾根を登っているものの、一瞬小沢の近くを通るようになっていた。つまり、前回見失ったときに、対岸(右岸)ばかりでなく、左岸に道を求めるべきだったのだ。その後は、前に歩いた道だ。前回と違って晴れているので、なんの苦労もない。高昌山との分岐もはっきりしている。高昌山に立ち寄る。コルがテント場によさそうと誰かが書いていたように気持ちのよい所だが、水は近くになさそうだ。高昌山の頂上から、御在所岳、鎌ヶ岳、雨乞岳なども見えたので、立ち寄った値打ちがあった。分岐点にもどり、そのままNWに進むとイブネの北端に出る。

前回のガスの中で見た光景と全く違うのは当然だが、クラシ方面の印象がすばらしい。イブネはガスの中でも好印象をもったが、クラシはなんの特徴もないつまらない山と思っていた。今回は違う。イブネと同様のたおやかな台地が広がっている。地形図を眺めると、イブネ、クラシ、銚子を頂点とする一辺が500mほどの三角形が、50mほどの標高差のところに広がっているのである。阿蘇の草千里ヶ浜と同じくらいであろうか。御池岳、藤原岳、釈迦ヶ岳なども遮るものなく展望できた。クラシに足を延ばし、ついでに少し銚子の方まで行ってみる。銚子への分岐点は、晴れていたので問題なく見つかったが、イブネとクラシを結ぶ最短距離の道から若干ずれた所に標識があった。前回気がつかなかったのもやむを得ない。翌日行く予定の銚子ヶ口方面の眺めもあり、はじめてこの山域の全体像をつかむことができた。佐目峠の近くまで戻り、峠を見下ろすと、アセビが逆光に輝き、幸せな雰囲気を醸し出していた。



イブネの頂上


昨夜のテント地の傾斜がややきつかったので、1bほど移動させる。夕食は、やはり焚き火の前で。ウィスキーが少なくなったので、焚き火の前の酒宴は適当に切り上げて、残りはシュラフの中で飲む。



2008. 11. 14 イブネ、銚子ヶ口から杠葉尾へ

コースタイム

0700 佐目峠、0719 イブネ、0732 銚子分岐、0802 鞍部、0813 P1022、0838-42 舟窪、0903 大峠ノ頭、0918-44 大峠、0950-57 水舟の池、1010 大峠、1016 大岳、1029 銚子ヶ口西峰、1046 中峰、1053-1117 南峰、1130 三角点峰、1133-41 東峰、1149 モノレール上、1239 モノレール下、1245-54 沢で洗顔、1308 瀬戸峠入口、1324 林道分岐、1407 杠葉尾BS

起きると、東の空が朝焼けに染まっている。朝食を終え、テントを畳んで出発したのは7時だった。すぐ上にあるはずの佐目峠への道で、何度も歩いていたのにミスをし、うんと杉峠寄りの登山道に出てしまった。ヒカゲノカズラが多いが、穂が沢山出ているものがある。少し触れると、雲霞のような胞子が辺り一面に飛んでいく。イブネ・クラシを通り過ぎ、銚子もスキップして、北に向かう。すぐに急降下が始まるとは予想していなかった。あわてずに慎重に下る。銚子ヶ口の山塊が近づいてくる。



銚子ヶ口方面の山塊



30分ほどで鞍部につく。コルから先もまだ険しい道が続くが、舟窪の少し手前でやっと穏やかな道となる。舟窪は文字通り窪地になっている。そのあと、南側がそげ落ちた細い稜線を行く。ガレ場の向こうにダイジョウがそびえている。そこが終わるとロープで通せんぼうしてあった。逆方向の人には注意しているが、北進の人にはなんの注意もないのは、やや変な感じがする。少し主稜線からはずれた大峠ノ頭に立ち寄ったあと、すぐに大峠となる。ここもアセビの木が多い。風を避けて小休止する。それまで重なり合っていたダイジョウと綿向山が完全に分離している。

よく踏まれた道を通って水舟の池に降りる。よい雰囲気であるが、ここも余りにも晴れていて面白みに欠ける。大峠に戻り、縦走を続ける。大岳はすぐだったが、登りはかなり急だ。あとは、西峰、中峰、南峰と、どんどんと進む。南峰や東峰での展望がよいので、少し長居する。詳細な山座同定は展望のページに載せる。三角点峰、東峰を過ぎて、今回はモノレール尾根を降りる。東峰から北尾根の方向に下り、左折する北尾根ルートを見送って直進すると、モノレールが見えてくる。もう道をはずす心配はない。モノレールが終わるとすぐに舗装された林道となる。少し下った所の沢で顔や腕を洗う。瀬戸峠にも食指が動いたが、とても時間が足りそうにないので、諦める。その代わり、最終一つ前のバスに乗ることができた。暗くなった停留所で最終バスを待つのでなくてよかった。近くの酒屋でビールと酒を買い、河原でくつろぐ。すぐに日陰になってしまたのが残念だった。バスを永源寺支所で降り、山上口から近江バスに乗って、八日市に戻る。




水舟の池




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