2008. 1. 30 蓬莱峡・小笠峠・船坂峠
女房殿の謡の新年会が宝塚のホテルであり、天気が悪そうなのに、和服で出席するという。レンタカーをして送迎することにした。送迎の間、近場で行きたかった所を歩くことにし、色々と検討したが、座頭谷−大平山−小笠峠−船坂峠−船坂というコースを設定した。
同行: 単独
コースタイム
1043 駐車場、1100 四段堰堤の上、1136-1210 養蜂場、1235 全山縦走路、1239 大平山の車道、1253 縦走炉から離れて右折、1318 登山道に戻る、1327 大谷乗越、1346 小笠峠(オガサ)下の三叉路、1402-1412 清渓橋、1414 登山道へ、1450-1500 船坂峠、1540 船坂、1557-1618 蓬莱峡BS(ウロウロを含め)、1630-1644 蓬莱峡、1705 駐車場
知るべ岩BSの近くに広いスペースがあるので、そこに駐車する。そこには粗大ゴミが山積していたが、ここだけでなく、この日歩いた車道はどこも惨憺たるものであった。天気予報より少し早く、小雪が舞い始めていたので、セーターを着たまま歩き始める。どなたかがネットで万里の長城のようと表現していた、山中にそぐわない奇妙な橋を渡り、座頭谷へと入っていく。四段の堰堤を越えると谷の核心部となり、花崗岩の柱が林立している。成因は違うのであろうが、Bryce
Canyonのスケールを100万分の1(?)にしたような感じである。間近で見ると、なかなか見応えのある景観である。やがて林の中に入る。すぐに沢が細くなり、水がなくなる。リョウブ、ユズリハ、アセビといった六甲の定番の木々の間を登るとまもなく、養蜂場に出た。
座頭谷
休憩場などもあったが、一応紐がかけてあったので、脇のベンチに腰掛けさせて貰い、昼食とする。お茶を沸かして、JRの駅で買ってきた弁当を食べる。養蜂場の人が出てきて、休憩場を使ってよいからと言ってくれたが、雪がもっとひどくなれば使わせて貰らいますと礼を言う。四段堰堤でセーターを脱ぎ、シャツ2枚のままで歩いてきたが、食事を終えるころにはかなり冷えてきた。また、脱ぐのも面倒なので、そのまま出発する。しばらく車道歩きの後、25000分の1の地形図に棚越と名前が付いている点線の道に入る。途中から道がなくなってしまうが、スギの植林の中を登って、全山縦走路に出る。東に4分進むと大平山の車道という地点であった。ここで、初めてハイカーとすれ違う。電波塔に占拠されている大平山山頂はスキップして、しばらく車道を歩いてから、大谷乗越への道に入る。これは全山縦走路(近畿自然歩道)の一部で、県道82号線と交わる大谷乗越まで立派な登山道が続いているのであるが、25000分の1では点線が途中で大きく右に折れて、小笠峠の方へ下りる道が書いてある。前から一度歩いてみたかったので、この点線をたどることにする。
分岐点では道がしっかりしていたが、標識がないこのような道にはいつも苦労が待っている。案の定、ここも途中から道がなくなってしまった。南東方向に、100mほどの標高差を下れば、どこかで82号線に出るが、ガスがかかっているので見当がつかない。地図で想像するより急な斜面で、闇雲に下りるのは危ないと考え、引き返すことにした。道はないが、適当に北東方向を目指す。結局25分ウロウロしたあと、分岐点の少し下に出た。
大谷乗越に下り立ってから、小笹峠の方へ車道をクネクネと下る。予定より少し時間がかかったが、やむを得ない。小笠峠を越え、小天狗山を正面に見ながら三叉路に出る。県道16号線に出たのだ。七曲りというコースで船坂峠に出ることにしていたので、さらに車道を1kmほど歩く。芦有ドライブウェイの宝殿インターに向かう仁川に沿った道で、そこそこ車も走っている。目的としていた登り口が見あたらないまま、小さな沢にかかった清渓橋に出る。ここで、道は大きくカーブしているので、どこにいるかははっきりしている。かなり強くなってきた雪の中で、地図を広げて再検討する。25000分の1の地形図と全山縦走マップに異なる道が記載されている。間違いなく、どちらの登山道も通り過ぎている。船坂峠に出られないとすると、駐車場まで戻るのに、ヒッチハイクで宝塚に出るしか方法がない。念のためもう一度登山口を探そうと、来た道を引き返す。
何も案内はなかったが、細い登山道が見つかった。注意しながら歩いてきたのであるが、うしろ方向に登山道がついていたので、気が付かなかったらしい。見上げると少し上に立札もある。そこまで登ると「きけん。入らないで」と書いてあるのが読み取れる。崖崩れでもあるのかなと思ったが、本当に通れないなら「立入禁止」と書くだろうと考え、前に進む。しばらくは結構よい道であったが、そのうちなくなってしまう。上方に空が開けているので、そこまで登ればよいのだからと、雪が積もった笹をかき分けながら、沢沿いに登る。やがて、笹の背丈が高くなり、本格的な藪こぎになる。これが「きけん」の理由だったらしい。しかし、間もなく踏みあとのしっかりとした山道になり、尾根に出た。しかし、たどり着いた尾根は縦走路ではなかった。右方向に進んで行くといきなり船坂峠に出た。あとで丹念に25000を見ても、どこを歩いたのかが分からない。峠には、昨年4月に全山縦走したとき、見かけた朽ちかた標識がこの日は立派なものが2つもあった。お湯を沸かしてもよかったが、水で喉を潤し、ドラヤキを頬張る。やはり、雪の中ではバーナーを使うのも面倒になる。テルモスを使うべきだ。気温が低いせいか、藪こぎをしたのにあまりズボンは濡れていない。しかし、念のためここからスパッツだけつけて、船坂への道を下る。280
mの高度差しかないので、40分で集落にでた。
船坂峠
バスで戻るつもりだったが、かなり待ち時間が長いので、歩いて蓬莱峡まで行くことにする。雪がだんだん霙に変わってきたので、ズボンを濡らしてしまう。面倒がらずにオーバーズボンを履けばよかったと悔やむ。雪を被った木々を眺めながらの下りなので飽きない。蓬莱峡BSまでくると、下に降りる道がある。知るべ岩まで下りてから蓬莱峡へ行くことを考えていたが、ここから直接行ければうんと近道だと考え、そこから降りる。蓬莱峡という観光地へ行くためだけのBSなのに、なんの案内もないのは少し不思議だ。途中、なにか左手に人工物があったがやり過ごし、今度はどんどんと登っていく。やがて、飛び出したところには「宝塚唐櫃線」という標識があった。なんと、先ほど通り過ぎた道である。もう一度BSまで戻る。
通りすぎようとしたが、やはり蓬莱峡に行けないのは変だと思い直し、また同じ道を下る。先ほどチラッと見ただけの建造物の方へ行くと、古い列車の車両が並べてある。そのすぐ右手方向に蓬莱峡が見える。そこを通り過ぎると、右後方への道があった。その道が正解で、太多田川の本流を渡ると屏風岩の広場にでた。うっすらと雪を被り、暗い夕暮れの岩々は、黒沢明の「隠し砦の三悪人」の舞台に採用されただけあって、なかなかの趣がある。写真を撮ったり、すこし登ってみたりする。その後も、なかなかはっきりしないまま、川沿いに下る。車に戻り、ヒーターを全開にしてズボンを乾かせた。
蓬莱峡
昼食時間を除けば6時間にも満たない小ハイキングであったが、結構の充実感があった。なにより、道がはっきりしない所だらけで、頭をフル回転しながら歩いたのがその原因だろう。今年初めての雪であり、景色にも色々と変化もあったのもよかった。