2007. 11. 14-16 氷ノ山・鉢伏山・扇ノ山
テントを9月に購入したが、まだ使っていないので、ためし登山に但馬の山に行く。兵庫県の最高峰でもあり、冬に登るための下見の意味もある。氷ノ山ではさすがに何人かの人と出会ったが、鉢伏山、扇ノ山では一人も出会わなかった。
同行: 単独
2007.11.14 氷ノ山 |
コースタイム
1130 福定バス停、1140-1148 東尾根登山口、1217-1245 東尾根避難小屋、1325 一ノ谷水場、1353-1410 神大ヒュッテ、1444-1503 氷ノ山(1510)、1550 氷ノ山越
少し遅いが、8時前に自宅を出発するのが、最も交通機関の連絡がよい。まずまずの天候の中、福知山線、山陰線からの初めての展望を楽しむ。八鹿駅のバス案内所で詳しい時刻表をもらい、いろいろと参考になった。バスは小さな町をいくつか通り過ぎて、ハチ高原に入っていく。福定で下りるとすぐに登山道があるようなことが書いてあったが、谷は数十m下を流れており、下る道などはない。民宿が沢山あるが、今の季節では人影もない。困っていると軽トラックが通りかかったので、聞いてみると東尾根登山口の方へ行くので乗せてやるという。50分の歩きが省略できるので、ありがたく乗せてもらった。林業の現状やスキー場の様子などを聞けたのもよかった。登山口で下りると、反対側に、高丸山、鉢伏山、南峰、高坪山が優雅な姿で横たわっている。2.5万にはない道が東尾根まで続いている。登り登りで、すぐにTシャツ一枚になる。ちょうど半時間した所で、ふと前を見ると避難小屋が目に飛び込んできた。夫婦連れが休憩しており、こちらもよい時間なので駅で買ってきたタコムスで昼食にする。南の方に知らない山々が見える。その後は、枯葉の敷き詰められた雑木林の道を気分良くゆったりと歩く。ブナ、コナラ、リョウブ、ヤマザクラなどにつづいて、ドウダンツツジ、イワウチワらしいものが認められる。一ノ谷の水は豊富で、十分使い物になる。これを利用するつもりで、少し軽くしておいたペットボトルを満タンにする。2Lになったので、下山までは十分すぎる位である。数日前に降った雪がだんだんと増えてくる。やがて到着した神大ヒュッテは中に入れない。南に2分で水場という紹介があったので、ためしに南東の登山道に沿って下ってみる。5分歩いてもなにもなかった。ヒュッテに戻ってくると、上から3才の女の子を連れた若夫婦が下りてきた。親水公園から4時間くらいのコースを全部自分で歩いてきたというのには驚いた。ヒュッテのあとの登りも穏やかなもので、やっと薄日が射し始め、ますます気分がよくなる。千本杉というやや年取った自然杉の木立がある。その辺りから鉢伏山が再度見えるようになるが、もう驚くほど低くなっている。そのあとで、氷ノ山の姿を始めて見た。もうすぐそこである。古生沼という湿原があるが、立ち入り禁止のため登山者が楽しむことはできない。軽トラックのおかげで山頂には、予定より早く着いた。誰もいない。立派な避難小屋に、別棟の水洗のトイレまである。周りの山々をまずは見回すが、これから歩く赤倉山、鉢伏山、扇ノ山くらいしか分からない。あとで調べると、赤倉山の左の三角形は陣鉢山、扇ノ山と大ズッコのツインの右手には、青ヶ丸と仏ノ尾、鉢伏山のうしろに隠れるように瀞川山、そのうしろ遠くに三川山、さらに蘇武岳、東鉢伏山、妙見山と続くらしいことが分かった。南側には三の丸の左肩遠くに三角の三室山。しばらくすると加古川の人が登って来たので、しばし山談義をする。山頂で、日没・日の出を見ることに魅力を感じたが、明日のことも考えて氷ノ山越まで下る。このコルを右に行くと福定親水公園へ、左に行くと、八頭(ヤヅ)郡、若桜(ワカサ)町の舂米(ツクヨネ)となる。明日登るピークは大平(オオナル)頭と、とにかく変わった名前が多い。石仏のそばに一つだけテントの張れるよい場所があった。張り終わってから、ベンチで夕食を作る。今夜は、初めての試みでウナギ丼にしたが、これはこれからも使えそうである。西の空がうっすらと赤く染まり、穏やかな夕暮れである。風もないため、音の全くない世界であった。夜は満天の星空。
ボードー杉
2007.11.15 鉢伏山 |
コースタイム
717 氷ノ山越、747 布滝頭、811 大平頭避難小屋、823-850 ボードー杉往復、901 鞍部、923 高丸山(1070)、1002-1027 鉢伏山(1221)、1112 中央ゲレンデ下、1145 ハチ北バス停
夜中はさすがにかなり寒く、Tシャツ、薄手の長袖シャツ、ボードシャツ、セーター、フリースを着てもまだ寒さに目が覚めるほどであった。携帯で目覚ましをかけていたが、気がつかず、目が覚めるとなんと6時であった。11時間も寝ていた。氷ノ山越まで来ていたので、多少寝坊をしても慌てる必要はない。曇り空で、展望はほとんどないので、頂上に泊まらなくてよかった。食事をし、全部片づけて1時間20分で出発。登山道脇の赤倉山にも登ろうと考えていたが、背丈ほどの笹藪が朝露をたっぷり含んでおり、とてもその気になれなかった。ボードー杉(とてつもなく大きい杉という意味)というのがあるというので、500
mの寄り道をする。周りにも杉はあるが、どれも小杉ばかりで、どうして一本だけ?という感じである。大きさはさほどでもないが、姿形は立派で、立ち寄ってよかった。縦走路へ戻って、歩き始めるとすぐに急降下となる。やがてコルの先の光景が見えてくるが、打ってかわった様相で、カヤトのゆるやかな丘が連なっている。スキー場を右手に見下ろしながら鉢伏山に達する。この頃はほとんど眺望がきかない状態になっていた。高坪山のことも大分調べたが、北ハチに下りる道のことはなにも出ていなかったし、ここにもなんの案内もない。高坪山は諦め、鉢伏の南峰にだけ登っておく。鉢伏山からは、適当に方向を定めてスキー場を下る。整備されたハイキングコースはないようである。
北ハチから、バスを乗り継いで湯村温泉へ行く。田中への乗り継ぎ時間がたっぷりあったので、薬師湯に入り、夢千代日記で有名な温泉町を散歩したあと、食堂でしっかりとした夕食をとる。八鹿でもらったバスの時刻表に、田中から青下に行く町民バスの便もあることが出ていたので、当初の予定を変えて、青下で泊まることにする。バスを降りた所に神社があったので、そこでテントを張らせてもらう。村の人が、今夜は雨のようなので、屋根のある公民館で泊まればよいと勧めてくれたが、雨もまたよかろうとテントを張る。張り終わる頃、予言通りパラパラと降ってきた。食事も終わっているので、ウィスキーを飲んでウトウトとしていると、村の拡声器から「ふるさと」の歌が流れてきた。まだ18時というのに、すでに寝ていたのである。
小代越えから鉢伏山
2007.11.16 扇ノ山 |
コースタイム
510 青下白山神社、554 風穴、639-641 上山高原、722-732 小ズッコ山避難小屋、808 大ズッコ山(1273)、829-850 扇ノ山(1310)、1039-1047 上山(946)、1123 風穴、1148-1230 青下白山神社、1252 田中バス停
夜中はテントを打つ雨の音が途絶えなかったが、たいした降りでないことは想像できた。杉林の中だったので、雨粒の音より、滴の音として聞こえていた。前夜に比べてさすがに暖かく、セーターとフリースが不要であった。そのせいか、よく眠れて、3時前に目が覚めた。時間にゆとりがあったほうがよいので、早めに起床して、ゆっくり食事をする。幸いほぼ雨はやんでいる。真暗闇での出発であるが、田中でなく、青下からなので、気分的にゆとりがある。今日はザックを置いて、小ザックでの往復である。荷物を少なくするため、最初からゴアのズボンとスパッツをつけておく。いつものようにシャツ2枚で出発し、20分ほどで1枚になる。比較的真っ直ぐの道はよいが、ジグザグに登るようになると、曲がり角で必ず立ち止まって、キョロキョロしないと道を見失う。それでも、間違ったのは2度ほどで、ゆっくりとしたペースであるものの、大した苦労はなかった。小1時間登っても、青下の灯がまだ真下に見えている。やがて結構の長さの木道を歩かされるが、これが危なかった。真っ平らな板が苔むしており、場合によっては谷側に傾いている。一歩ずつ慎重にあるく。それを過ぎて小さな沢を渡ると、やっとランプなしで歩けるようになる。上山高原の一角に出たらしく、道も平坦になり、気楽な散歩となる。風が少し出てきて、やや肌寒い。林道に出たところが、上山高原という地点らしい。すぐそばに避難小屋がある。そこから舗装道路を40分近く歩かされ、それを離れるとすぐに小ズッコ山小屋である。小屋に入り、行動食を少し口に入れる。そこからの道も平坦で、これで登山かという感じである。ガスが立ちこめ、ブナの林がすばらしい造形美を見せてくれる。思わず声をあげながら、何度もシャッターを切る。やや雨模様でもあり、温度も下がってきたので、ゴアの雨具を着て、手袋をはめる。やっと登りが始まると、すぐに大ズッコとなる。そこから少し下って登り返すと、あっけなく扇ノ山の頂上に出る。ここにも避難小屋があった。この山旅で9個目である。冬山用なのだろうか。ここの小屋は一番立派で、二階には靴を脱いで上がるようになっている。また少し食事をして、展望もない頂上を早々に引き上げる。上山高原の案内板に、コルから直接上山高原に下りる左馬殿道が紹介されていたので注意して探す。標識はなく、赤いテープが数本巻き付けてある所があった。ほとんど踏まれていないので、万一時間をロスすることになれば、その日のうちに帰れなくなるので、敬遠することにした。誰かが歩いたという記録でも読んでいれば行ったであろうが、なんの知識もなく、霧の中で赤テープを探し探し、歩く気になれなかった。上山高原まで、来た道を忠実に戻り、時間を計算してみる。急げばもう一台前のバスに乗れそうであったが、慌ただしいのも嫌なので、946
mの標高の上山に立ち寄って、予定通りのバスにする。青下からはこの山が目的地になっているようで、小学生がよく来るらしい。なだらかな山頂に立つと、小学生のざわめきが聞こえてくるようであった。上山を下りたあとは、また淡々とした高原の道を戻る。例の危険な木道を過ぎたあとの紅葉がすばらしかった。遙か下の谷まで、色とりどりの樹々が立体的に配置されており、息を呑むような眺めであった。朝歩いたときには、片側が急に落ち込んでいそうなので注意しなければいけないと言い聞かせていた所である。このような景色とは思いもよらなかった。風穴を過ぎると杉の植林地帯となり、ジグザグの下りとなる。朝の暗闇で、どう迷ったかを思い出しながら下る。12時前に青下の神社にもどり、荷物を回収して、ゆっくりとお茶の時間とする。霧雨が降る中、田中に向けて舗装道路を下る。結構急な坂道の連続で、重い荷物を持って登らずに済んだのは幸運であった。田中からバスで湯村温泉に戻る。わずかの乗り継ぎ時間であったが、足湯で足を温め、靴下を代えたので、気持ちよく八鹿駅へのバスに乗った。八鹿駅でも待ち時間が長く、駅前の食堂で鍋焼うどんを食べた。薄ら寒い天候で、珍しくビールに手が出なかった。播但線に乗り、姫路経由で帰宅した。
小ズッコのブナ林