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2007. 1. 13
 Zion National Park


Los Angels近郊での仕事が終わり、是非行っておきたかったユタ州南西部の国立公園でのハイキングに向かう。LosからZionまで直行する予定でいたが、異常寒波が来ているというので、安全のため途中のLas Vegasで泊った。翌朝走ってみると、峠道で対向車線がスリップ事故のためか、大渋滞していた。暗くなってから広漠たる砂漠地帯やArizonaの山岳地帯を、凍結に心配しながら走るのでは大変だっただろうから、予定変更したのは大正解だった。


同行: 単独

  


コースタイ


1033-57 Visitor center1108-1128 Grottピクニック場、1202 Refrigerator Canyon入口、1228 West Rim trailとの分岐、1250-1310 テラスで昼食、1347-1404 Angels Landing頂上、1432 テラス、1528-1542 Grott ピクニック場、1548-1607 Weeping Rock 駐車場、1629 Observation Point trailとの分岐、1649 Hidden Canyon入口、1708-1710 Self-standing arch1751 Weeping Rock 駐車場

一泊したため、Zionに着いたのはかなり遅くなってしまった。まず、Visitor Centerに立ち寄って様子を聞く。人気の高いAngels Landingは危ないですよと言う。一応雪対策にワカンを持ってきているがというと、むしろ氷対策が必要と言う。まあ、行けるところまで行こうと、奥に車を走らせる。やがて目的のAngels Landingが見えてくるが、まわりの大きな岩の塊に比べて、貧弱にさえ見える。しかし、この写真の左側の急斜面を登るのだから、たしかに大変だ。




Visitor center近くの景観


Angels Landingが近づいてくる



Grottの駐車場に車を止める。5-6台駐車している。Virgin Riverに沿ってゆっくりと登り始める。日も射しており、春山ののどかさである。Utahの友人に、寒さについて散々脅かされてきたので、予想と大違いである。あとで分かったのであるが、彼はBryce Canyonのことを言っていたのだが、こちらはこれだけ近接しているZionBryce Canyonがそれほど違うとは想像できなかった。何人かの人とすれ違うが、その辺りまで散歩してきたという風情である。背の低い灌木には雪の綿帽子が乗っており、赤茶色の岩の背景とよいコントラストをなしている。やがて道はジグザグに高度を上げはじめ、30分ほどで小さな橋を渡る。北北西へ方向を変え、Refrigerator Canyonという名の狭い渓谷の中に入っていく。ここまで来ると日射がなくなり、涼風が得られるということからつけられた名前である。これはもちろん夏の話であるが、冬だからとくに寒くなることもない。

この先に、スィッチバックが20以上続く有名な急坂がある。岩盤のわずかの縁につけられた道で、写真で見ると恐ろしいようなところである。上から覗き込んでもスィッチバックは見えないほどの急勾配である。しかし、実際に歩く分には、道巾もゆったりとしており、子供でも問題はない。また、スィッチバックが多いといっても折り返しの距離は10-20 m程度の非常に短いものなので汗をかくまでもなく登り切る。Scout Lookoutというやや平坦な所にでる。

ここでWest Rim Trailと別れ、いよいよAngels Landingへと足を進める。中高年のおじさんが一人下りてきて、「どのくらいの数の鎖があるか知っているか」と聞く。「知らないが、きっと沢山でしょうね」と答える。鎖と鎖の間が空いていて、その間でスリップしそうになったので、怖くなって帰ってきたという。少し進むと、なるほどと思われるところがあった。やがて、行く手の様子が見えるところに出て、下界の眺めもよいので、腰をおろして腹ごしらえをする。上から2人連れの若者が下りてきたので様子を聞く。「ここから下とこの上は大違い。急な痩せ尾根はとても危険だった」と、こわばったままの顔で話してくれた。たしかに、そこから見る岩峰は、名前の通り天使しか降り立つことができないような急峻さである。





Scout lookoutから見下ろすBig Bent。右側にOrgan。


Angels Landingへの急峻な稜線



登り始めると、石鎚山でみたような太い鎖がやたらと取り付けられている。氷結の度合いもそれほどではないので、それほどの恐怖心は起こらない。しかし、両側は300-400 mほど垂直に切れ落ちているので、高所恐怖症の人には無理であろう。勾配もかなりのものなので、鎖を両手で握って体を引き上げるような場面もいくつかあった。勾配がそれほどでない所では、鎖が設置されていないので、少しでも氷が着いているとかえって危ない。どんどんと高度をあげ、頂上にはさほどの時間をかけずに到着する。




頂上の近くで歩いてきた所を見下ろすが、下は見えない。



展望は、これまでの登りで見えていたものと同じであるが、さすがに落ち着いて見渡すと気分が違う。まずは、正面のGreat White Throneをはじめとする、周りの山々のものすごく大きな岩の質量に圧倒される。目の真下と言ってよいほどの角度で見えるVirgin Riverや車道の小さいこと(水平距離では250 m離れているだけなのに、高度差は450 m)、歩いてきた稜線の急峻さにも改めて驚かされる。それにしても、風もなく、長閑である。気温は8℃もある。十分楽しんだあと、小さなスリップも禁物と自分に言い聞かせて下り始める。すぐに若いカップルと出会う。この2人は元気そのもので、怖がっている様子は全くない。結局この日、天使となったのは人だけのようである。

無事、一度もスリップせずにScout lookoutに戻ると、ハイカーの姿がうんと目につくようになった。どこに行ってもそうであるが、各自のスタイルで、色々な楽しみ方をしている。何十人もの人と出会いながら、駐車場に戻る。このコースはスリルを楽しみたい人にはよいかもしれないが、ハイキングそのものを楽しみたいという人には、他にもよいところが沢山ありそうである。





Angel Landingの頂上からの眺望


まだ少し時間があったので、もう少し歩こうと、Weeping Rockの駐車場へと車を進める。ここからはいくつかの登山道がでているが、Weeping Rock Trailは氷が落下する危険があるので、立ち入り禁止になっている。Observation Point Trailというのは5時間コースでとても無理。Hidden Canyon Trailというのが手頃なので、それに決める。

いきなり、かなりの登りである。Weeping Rockが絶えず見えているが、水も流れていないので、ただの大きな岩盤にすぎない。あっという間に、Angels Landingは背後にあるCathedral Mountainの稜線の下になり、全く目立たない存在となる。20分してObservation Point Trailとの分岐点となる。そちらの方は、行って戻った一人の足跡がついているだけである。どこまで行ったかは分からないが、雪もかなり深く、ひょっとすると最後まで行っていないのではと想像する。Hidden Canyonの方へはかなりの人が歩いている。二人連れが帰ってきたので、「面白かったか」と聞く。それほどでもない様子である。多少滑りやすい所もあるが、すぐにCanyonの入口に着く。しばらく進むと、このあとの道は管理されていないという標識があった。10 mほどの巾の両側に200 m近い岩壁がそそり立っているので、たしかに見ものではある。名前の通り、どこから眺めても覗くことのできない存在だ。雪に埋もれているというほどでもないので、もう少し足を進めてみる。際限がないなと思い始めた頃、アーチ状の岩(Self-standing arch)がでてきた。5mほどの高さのこぢんまりしたものである。よい潮時と思って引き返すことにする。

Trail Head
に戻ったときにはもう誰もいない。暗くなったが、車道の終点であるTemple of Sinawavaまで行ってから引き返す。10分ほど車を走らせてから、高度計を駐車場に忘れたことに気づく。戻ってヘッドランプをつけて探すが、結局見あたらなかった。温度計もついていたので結構重宝していたのであるが、翌日のBryce Canyonで使えなくなっったのは残念だった。 




両側が岩に囲まれたHidden Canyon


Cathedral mountainの残照




Route9を通って、Mount Carmelに予約していたモーテルに行く。かなりの険しい山道で、時間ほどかかった。あまりの暗さに、途中で車を停めて、空を見上げる。星座が分からないくらいの満天の星を久しぶりに堪能する。モーテルで、もうすぐレストランが閉まると聞き、初めてCaliforniaと時差があることに気がついた。山から下りたのが17時前なのに誰もいないのが不思議だったが、実際には18時前だった。満ち足りた一日となった。



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