トップページへ    地域別索引へ    外国索引へ    アジア索引へ    年次別索引へ



2006. 10. 26 青城山(四川)


仕事で成都に来たので、一日ハイクを試みる。案内なしで、一人でバスに乗り、中国の山を歩くのは始めてで、ある種のチャレンジである。前日にバスの指定券を購入し、当日の朝、バスに乗り込むと、すでにすべての席が塞がっていた。青城山には前山と後山があるが、時間がないので、道教の施設が多い前者だけにする。後山の方はもっと自然が多く、最高峰は2113 mあるというので、これも捨てがたかったが、案内図には登山道の記載がないので、一人で歩くには不安があった。

同行: 単独

コースタイ

1025 山門、1040-1100 月城湖、1135 四望観、1150-1213 上清宮、1225-1305 青城第一峰(老君閣;1260)、1325 朝陽洞、1346-1400 天師洞、1410 天然図画、1435-1445 滴翠亭、1447 山門、1450-1500 建福宮

バスを降りてから、帰りのバスの手配をしようと思っていたが、案内所や切符売り場などはない。片言で聞いても、4時、5時に成都に行くバスがあるらしいことが分かっただけ。なんとかなろうと、歩き始める。大勢の中国人がツアーで来ている。歩き始めて5分ほどですでに休憩している人がいるといった具合で、まことにのんびりしている。月城湖は船でないと渡れないので、切符を買って15分ほど待つ。100人以上が乗ることのできる大きさであるが、ケーブルで引っ張るもので、湖上を音もなく滑っていく。




月城湖の渡し船



渡り終わるとすぐにリフトが待っている。歩いて登る道を教えてもらって歩き始めるが、そんなことをする人は誰もいない。全員がリフト利用である。上の駅に着くまで、リフトの姿も音もなく、鳥の声だけの静かな道である。花はキツリフネがあるくらい。ケーブルの人と合流すると、またにぎやかになる。

上清宮の手前でいくつかのポイントがあり、寄り道するが、そこはまた誰もいない。谷を見下ろす悠然亭などは張道陵さんが修行したところとかで、なかなかよい雰囲気だった。道観は、仏様のかわりに老子像などがあり、「上善若水」とか「神光普照」といった教えが書かれた額が架かっているのが特徴であろうか。線香を焚いたり、お辞儀をしながら拝んだりするところは同じ。老君閣の最上段まで上がるが、周りは曇っていて眺めはすっきりしないし、幽玄な雰囲気もない。霧が出ているのでも、スモッグで曇っているのでもないのは、成都と同じような感じである。少し下った所にあった眺めのよい店で、湯豆腐と野菜炒めとビールを頼み、持っていたパンと一緒に食べる。ビール(大瓶)も含めて600円。途中でも大きな荷物をもったポーターに出会ったが、彼らに気の毒なくらいである。




霞がかかった周りの山の姿



食後は、登ったのとは別のコースを下る。途中の天師洞では、樹齢2000年という大銀杏を見上げる。白髪三千丈の類であろうが、かなりのものである。この樹は建物の間の狭い場所にあるので、最初は見過ごして通り過ぎてしまった。道ばたの売り子に聞いて、もう一度引き返す。あまりにも狭い所にあったので、全体像を眺めることができないのが残念であった。天然図画も気持ちのよい景色であるが、黄山などに比べると興趣に乏しい。



天師洞



ほとんど下りきった山門の手前で名物のお茶を飲む。いくつかの瓶のお茶の香りを嗅いだ後、好みのものを入れてもらう。おいしかったが、昼食代とおなじ料金だったのには驚いた。山門をでて建福宮を参観する。かなりの規模のものである。バスが3時に出るかもしれないと様子を見るが、バスもそれを待つ人の姿もない。早めの時間におりできたので、是非都江堰に寄りたいと思い、道端に座っている若い人に聞く。都江堰までのバス代は5元で、そのうち来るというようなことを言っているらしい。タクシーでもよいようなことをチラリと言うと、自分の車に乗るかという。まあいいだろうと言うと、タクシーでなく普通の車を回してきた。違法だろうといったが、通じない。17キロもあるが、タクシー代はお茶代と同じ40元である。バスで行ったとすると、バスターミナルから、またタクシーかバスに乗って都江堰まで行く必要があるので、結果的に、かなりの時間の節約となった。

なお、都江堰というのは2250年前の洪水対策の土木事業で、現在でも使われているという優れものである。中国人の底力を感じずにはおれなかった。訪問して1年半後の、2008年5月12日に起こった四川大地震の震源地に近く、多大の被害がでたことを何とも言えない気持ちで聞いた。



トップページへ    地域別索引へ    外国索引へ    アジア索引へ    年次別索引へ