2003. 9. 19 大岳山・鍋割山
前日に東京で仕事があり、この日も夕方から仕事。その間の時間を利用して、懸案の大岳山に登ることにした。新幹線から見る山塊の中でも大変厄介な領域であるが、まずは武甲山、その後に大岳山を手がかりに同定がはかどったという経緯があるから、ここには登っておかねばならないと思っていた。古い昔から、房総沖を通る船が目安にしたというくらい特徴のある山の形をしている。以前に御岳山には登っているので、ケーブルを使うコースはとらないことにした。天気予報は晴れで、暑いということだったので、Tシャツ、短パンに、カメラ、水、昼食、タオルを入れたウェストポーチというスタイルにした。これで過不足なかった。立川のコインロッカーに荷物を預け、このスタイルで五日市線に乗り込んだ。
同行: 単独
コースタイム
0701 五日市、0731 上養沢、0746 日の出山分岐、0758 2度目の日の出山分岐、0829 山道へ、0835 七代(ななよ)の滝、0844-46 天狗岩、0900 天狗腰掛け杉、 0924 見晴所、0925 開講霊神、0934 奥の院への分岐、0943-48 鍋割山(1084)、1001 岩石園への分岐、1023-28 山荘、1040-1101 大岳山(1267)、1113 御岳分岐、馬頭刈(まづかり)尾根方向へ、1124 大岳山荘分岐、1132 丹沢、富士の展望所、1134 白倉分岐、1137 つづら岩分岐、1152-54 水場、1216-26 大滝、1230 舗装道路、1245 大岳鍾乳洞、1300-16 大岳鍾乳洞入口BS
五日市線の武蔵引田駅を過ぎると正面に山が近づいてくる。大岳かと思っていたが、馬頭刈山の可能性が大。その右に見えていた山並みに大岳があるらしいが、はっきりと分らなかった。五日市からのバスには五日市高校までは先生方が乗っておられたが、その後はずっと一人で、申し訳ない気分になる。十里木(ジュウリギ)、軍道(グンドウ)、怒田畑(ヌタバタ)などという風変わりな名前の集落をすぎて、養沢(ヨウザワ)という終点につく。ここから林道歩きであるが、林道といっても仙台近辺のそれとは違い、立派な舗装道路である。七代の滝に向かう途中、いろいろと秋の野草が咲いている。ノギク、ノアザミ、ツリフネソウ、アジサイ、キンミズヒキ、ツユクサ、ミズヒキ、ママコノシリヌグイ、アカソ、ヒキオコシ、ミゾソバ。名前の分らないピンクの花、タツナミソウのような花も。寝不足で歩いていても眠くなってくる。山道に入ってすぐに七代の滝。取り立てていうほどのものでもないが、可愛らしい風情である。
七代の滝
ここから東京の奥入瀬という綾広の滝へ行くコースにも興味が引かれたが、やはり奥の院などの稜線からの展望を優先して、右手の道を選ぶ。分かれ道には完璧な立て札があり、ポンポン山と大違いである。人口の違いであろうか。しかし今日は誰にも会わない。それをよいことに、Tシャツを脱いで、上半身裸で歩く。虻蚊もおらず、風も適当にあるので本当に気持がよい。天狗の腰掛け杉をすぎて、ホタルブクロが一輪。尾根道の両側に立派な杉の木がならび、標識が打ってある。開清霊神の手前で初めて展望が得られた。といっても、御嶽神社とその右手の日の出山、麻生山などが見えた程度である。
御嶽山と日の出山
ミヤマアキノキリンソウが現れる。そのコースを素直に歩いていると奥の院に直接には登らないようになっていた。登るには、頂上まで10分とある寄り道をしなければならない。時間にそれほど余裕がないので省略。時間に追われずに済んだという点で正解であった。鍋割山からも僅かに木々の間から大岳山が覗けるだけで、ほとんど何の展望もない。期待はずれであったが、2時間以上歩いていたので一服し、水分を補給する。そこから35分で山荘に到着する。冷えたビールを売っていたので、思わず手が出る。自家発電で冷やしているのに400円とは安い気がした。展望台からの展望は霞んでいてもう一つ。本当にきれいに晴れたときなら、ビールを飲みながらゆっくりしたいところである。神社のちかくにカメバノヒキオコシの群落。山頂で今日初めて練馬から来たという若者に出会う。まず、眺望を楽しむ。霞んではいるが、一応全部見える。山岳展望図のコピーを持って行ったのではじめから答えの分かっている推理小説のようで味気ないが、やはりその場で山名がわかるのも悪くない。丹沢連峰、大室山、御正体山、富士山、三ツ峠山、雁腹摺山、三頭山、大菩薩嶺、御前山、北奥千丈岳などが並ぶ。大山はなぜか見えなかった。その後、その若者と話をしながら昼食用にもってきたローズネットクッキーなるものを食べる。初めてだが、カロリーメイトなどに比べて大変食べやすい。遙かな富士山をバックにしたススキの穂の間をトンボが乱れ飛び、なかなか去り難がったが、小屋のおばさんに2時間くらいかかると言われたので、早めに切り上げる。
大岳山から御前山
大岳小屋に戻らず、少し鋸山の方へ行ってからUターンする道を選ぶ。先に出た若者を追い越し、12分してからやっと分岐点にくる。その道はあまり歩かれていないのであろうか、短パンにはややつらいものがある。テンニンソウの群落があり、その他キツリフネが見られる。一カ所だけ丹沢、富士が展望できる場所があり、はるか下に集落が2つ、おだやかな光景を作っている。白倉への道、つづら岩への道と順次分かれ、大岳沢へと下っていく。すぐに水場があり、早速のどを潤す。大岳沢を渡るところで今日2人目の登山者が昼食をとっていた。裸のみっともない姿を見せた無礼をわびて通り過ぎる。大滝まで来て少し余裕が見込まれたので、持ってきたおやつを食べるための休憩とする。数段に分かれて落ちている滝で悪くないが、大滝という名はオーバーである。すぐに舗装道路に出て、イヌタデ、ニガナ、オオバコ、ゲンノショウコなどをながめながら、30分で養沢神社のあるBS。また、ビールが売っていたので、汗となった水分を補給する。体も濡れたタオルで拭き、サッパリとする。少し余裕をもって着いたので、気持ちよく締めくくることができた。考えてみると、晴れていたにもかかわらず、一度もはっきりと大岳山をみることなく終わってしまった。このようなのは珍しい。
大滝