羅臼岳
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森繁久彌作詞、作曲 「知床旅情」
飲んで騒いで丘に登れば
はるかクナシリに白夜はあける
前夜、岩尾別温泉に泊まり、友人と二人で羅臼岳に登る。頂上ではガスに阻まれ、十分の展望が得られない。追いついてきた北見の中年女性としゃべったりしながら、しばらくガスが切れるのを待つ。あきらめて下リ始めると、硫黄岳が顔を見せはじめ、好転の兆し。根室海峡がかすかに見え始める。さらに下るとついに国後島が思いも寄らぬ近さに見えた。羅臼平まで下ると、先ほどの北見の女性が「見えてよかったですね、よかったですね」と言ってくれた。北方領土を一目見たいと願っていたのが通じたらしい。
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七時雨山
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O・ハマーシュタイン作詞、R・ロジャース作曲 「サウンドオブミュージック」
The hills are alive with the sound of music
ななしぐれ高原から七時雨山南峰に登る。北峰まで足を延ばすと豊かな残雪が残っており、そこにある多くの足跡からそちらが主なルートであることが分かった。同じ道を引き返すが、歩いてきた道なのに注意しないと道を見失いそう。今日の一往復でかなり山道の整備に貢献したと思えるくらいだった。緑にあふれた放牧場の上に出たときに、Sound
of Musicの歌が思わず口から出てきた。あの映画の風景にこれほど似た気分のところを日本で見たことがないので忘れられない。
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越後三山
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藤田敏雄作詞、佐藤勝作曲 「若者たち」
君の行く道は 果てしなく遠い
だのになぜ 歯をくいしばり
君は行くのか
そんなにしてまで
この歌は、とくにある特定の山と結びついているわけではない。はっきりしない道が続く藪山をよじ登っているときや、いつまでも頂上に到達しそうにないきつい山道を歩いているときに思わず口から出てくるメロディーだ。左の写真は、八海山から中の岳へ向かう稜線。転倒やねん挫で大変な目にあった。
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尾瀬
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江間章子作詞・中田喜直作曲 「夏の思い出」
夏が来れば思い出す
はるかな尾瀬 とおい空
尾瀬にはなんども入ったが、ミズバショウを見たのは、8月初めに筑波山、田代山、会津駒ヶ岳などを巡り、4日目に、御池から広沢田代まで足を延ばしたときだけかもしれない。もちろん最盛期は過ぎていた。広沢田代では、沢山の種類の花が咲いていたが、中でも駒ヶ岳をバックにキンコウカが一面に広がっていたのがすばらしかった。御池田代でも種類が豊富。左の写真はミズバショウとリュウキンカ。
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平標山
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西堀栄三郎作詞、アメリカ民謡 「雪山讃歌」
山よさよならご機嫌よろしゅう
また来る時にも笑っておくれ
谷川岳から縦走し、最後の夜はエビス大黒の避難小屋。この日は快晴となり、仙ノ倉山、平標小屋、大源太山で、展望とおしゃべりでゆったりする優雅な1日となった。三国山や三国街道という旧街道にも興味があったが、三角山からの道を下る。淡々と下る歩きやすい道だが、花はほとんどない。右手に平標山がかなり長いこと見え続け、「ご機嫌よろしゅう」と声をかける。写真の左下には苗場スキー場のホテル群が見え始めている。
この歌の 「雪崩などは恐れはしない」という部分は問題ありだなと、歌うたびにひっかかる。
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笹ヶ峰
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ベートーベン 「田園交響曲、第4・5楽章」
妙高、火打へ行った後、高谷池から笹ヶ峰へ下山する。富士見平の標識は雪に埋もれていたので、はっきりしないままに通り過ぎるが、その辺りから雨が降り出す。天気予報でも午後から本格的な雨になると言っていた。急坂の始まる1900bでほぼ夏道をたどれるようになった。それが終わるとパッと花の饗宴に早変わり。十二曲りが終わると左手から沢音が大きくなり黒沢橋で美味しい水を飲む。そのあと、雨はかなり激しくなり、雷鳴も続く。「田園」の第4楽章の「雷雨と嵐」が頭の中で響く。誰もいないキャンプ場に着くと、雨が上がり、明るくなってきた。第5楽章の「牧歌 嵐のあとの喜ばしい感謝に満ちた気分」そのものの光景が広がっていた。
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雁峠
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O・ハマーシュタインU作詞、R・ロジャース作曲 「オクラホマ・美しい朝」
Oh, what a beautiful morning,
Oh what a beautiful day
白沢橋から入山し、笠取山を越えて雁峠でテント泊。朝起きると、峠に日が射し始める前から南側の山々が目を覚ましている。雲一つない快晴だ。まずは乾徳から黒金の稜線が目に入る。その右には、北奥千丈岳と国師ヶ岳、そして乾徳の左には南アルプスの峰々。峠に陽が射し始めると、乾徳・黒金の尾根にクッキリと雁峠の影が写っており、愉快だった。両手を挙げると、自分の影が写っていた(はず)。オクラホマの牧場風景とは違うが、美しい朝であることは同じだ。
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野瀬大杣池
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チャイコフスキー 「くるみ割り人形・花の円舞曲」
神戸の丹上山系を歩いていて、野瀬大杣池へ寄り道する。これがよかった。池より数b高いところに腰を下ろし、正面からの太陽の光を受けて輝く湖面を飽きずに眺めた。銀色の小鳥が乱舞しているよう。適度の風が吹いているので、それに合わせて何百もの小鳥が、時には緩やかに、時には激しく動き、数が増えたかと思うと、急に減ってしまったりする。かなり遠い対岸の群れがこちらに押し寄せてくるさまは圧感だった。陽が陰ると、一瞬にしてすべての鳥が姿を消した。最初は「白鳥の湖」を連想したが、それよりは、「くるみ割り人形」の方がピッタリしていた。それも音楽そのものでなく、ディズニーの映画「ファンタジア」での花の精たちの群舞の場面である。
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志久の道
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ヴェルディ 「アイーダ 凱旋行進曲」
グノー 「ファウスト 兵士の合唱」
ベートーベン 「第九交響曲 歓喜の歌」
この写真はやはり丹上山系の古道、志久ノ道だが、この道がとくに上の音楽と結びついているわけではない。このようになだらかで、足元の心配のない所に来ると、つい大声で4拍子の歌が口をついて出る。加齢で難聴になるとともに、音程もおかしくなり、はた迷惑になるので普段は大声で歌うことができない。山ではほとんど人と合わないので、気兼ねなく大声が出せる。大声を出すことは、健康面でも大変重要らしいので、できるだけ歌うことにしている。
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愛宕山
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スメタナ 「わが祖国 モルダウ」
愛宕山という山は数多いが、これは篠山市の愛宕山。龍蔵寺から龍蔵寺川を遡って愛宕山に登る。武庫川の名前は、この川の下流で、福知山線の南矢代駅近くで田松川と合流して、初めて武庫川という名前になるのだが、龍蔵寺川の源流が武庫川の源流と言う人もいるので遡った。実際、勾配が緩んだ所に、武庫川源流という大きな立て札があった。
上の凱旋行進曲と同様、この沢がとくに「モルダウ」と密接に関係しているのではない。沢を登っていて源流近くになると、沢音が小さくなり、いつも「モルダウ」の出だしのフルートのささやきを思い出させるのだ。モルダウが大河になり、同じメロディをフォルテで演奏する所は、大きな川のそばを歩いても思い出すことはない。
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