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ゆったりと眺望を楽しんだ山頂  



どちらかと言うと、あまり休むことをせずに歩くことが多いが、たまにゆっくりと時を過ごすこともある。そのような時には、このようなゆったりとした山行も好ましいとは思うのだが、やはり先を急ぐような性分はなかなか直らない。ここに取り上げたのは、そのような珍しい山行の記録だ。山頂での展望があまりにもすばらしいので、ついつい長居するというのが多い。もちろん時間に余裕がある場合に限るが。


 

駒ヶ岳(2004. 06. 14)

 駒ヶ岳の名を持つ山は多いが、これは岩手の焼石山系の前衛峰の駒ヶ岳。標高は1130bと高くはないが、展望台としてはとてもよい。頂上に行くまでは経塚山が見える程度だったが、頂上で一気に360°の展望が開け、思わず快哉を叫ぶ。室根山、束稲山、泉ヶ岳、栗駒山、虎毛山、経塚山、東焼石岳、鷲ヶ森山、真昼岳、和賀岳、駒ヶ岳、岩手山、姫神山、早池峰山等々。大体同定が終わった所で、地元の人が登ってきたので、展望談義に花が咲く。経塚山の右の山が焼石か東焼石かが最も気がかりだったが、彼は焼石頂上は見えていないと言下に否定した。経塚山の右が東焼石で、焼石はその陰になっているということだろうということで落ち着いた。



荒沢岳(2011. 10. 27)


 深田百名山に入れて然るべきなのに、200名山に入って、300名山に入っていない不思議な山。それはともかく、新雪が降り、一日停滞した翌日に登った荒沢岳。頂上では、ウロウロしなくても一ヶ所から全方位が眺められる最高の展望台だった。主なものだけで、会津駒ヶ岳、燧ヶ岳、奥白根山、皇海山、平ヶ岳、至仏山、武尊山、富士山、金峰山、八ヶ岳、谷川岳、浅間山、巻機山、苗場山、越後駒ヶ岳。計画では十字峡へ縦走するつもりだったので、同じ道を下ることが念頭になく、コースタイムなどを調べていなかった。ゆっくりしすぎたので、バスに間に合わないかと慌てて下山にかかった。



大源太山(2013. 05. 15)

 エビス大黒の避難小屋で一夜を過ごし、仙ノ倉山、平標山を越える。予報通り、新潟県側はよくないが、関東側は天気が好転している。平標山の家で小屋主の女性と長い時間話をして色々と教えてもらう。この日は苗場スキー場からバスに乗るだけなので、ゆとりがある。大源太山からの展望はすばらしい。東俣の頭と俎ーのあいだに谷川岳もはじめてクッキリと見えた。トマの耳と俎ーのあいだからは燧ヶ岳がチョコッと頭を出している。一通り見終わった頃、三国峠から夫婦連れが登ってこられたが、山座同定に詳しく、至仏山の頂上は見えていないが、右側の稜線が見えているといったマニアックぶりだった。昼食、展望談義で1時間も山頂にいた。



高妻山(2015. 05. 24)

 一不動の無人小屋から出発して、高妻山、乙妻山をピストンする計画で歩き始めたが、五地蔵山から八観音までは30分の人もいるというのに50分以上かかった。たいして疲れているのでもなく、雪も大したことないのに何とも遅い。この日が、加齢による歩行速度の極端な低下を認識した日だった。頂上に着くと、素晴らしい展望が待っていた。これまで名前も聞いたことのない東山、中西山、奥西山といった山々と初対面した。時間を取り過ぎたこともあり、乙妻山まで足を延ばさずに頂上でゆっくりと昼食を作り、2時間近く展望を楽しんだ。



大山(2012. 05. 18)

 白沢から入山し、雁峠と甲武信小屋でテント泊。これまでのテント場ではほとんど一人だったが、甲武信小屋には何十ものテントがひしめいていて、びっくりした。翌朝登った甲武信岳からの展望はそれほどよくなかったが、十文字峠の少し手前の大山では天候もよくなり、360°遮るもののない眺望が楽しめた。北側から奥秩父連峰を眺めるのは初めてだし、北方向は、八ヶ岳、両神山を除いては未踏の山ばかりだ。知らない山に出会うとつい行きたくなるが、この領域にはなかなか来れないかもしれないので、じっくりと眺めた。



剱岳(1970. 10. 20)


 学生時代には5度頂上を踏んでいるが、社会人になってこれが最初で最後の剱岳となった。あまりの好天で、頂上で2時間ほど過ごす。北アルプスから富士山はよく見るが、この日は筑波山が見えたのではないかと同行の茨城県人と延々と議論した。百名山からの山岳展望という、カシミールで調べた山岳展望の本が2冊出版されている。東京新聞のものには、どちらからも見えないとしている。白山書房の本には、剱岳から筑波山が見えているとは書いていないが、筑波山から剱岳は見えるとある。後日調べて、物理的には浅間隠山の左に見えてよいと結論づけたのだが、、、。



鹿島槍ヶ岳(2009. 05. 09)


 3年ぶりに北アに行った。関西の人知れぬ山に入れ込んでいたが、久しぶりのアルプスも悪くないなと再認識した。冷池山荘横でテント泊し、翌朝、鹿島槍南峰に登る。前日に吊尾根から滑落した遭難者を探すためのヘリコプターが飛んでいたが、それ以外はイワヒバリ、イワツバメが飛び交うだけの静かな山頂からの展望を楽しみながらゆっくりと過ごす。南ア、中アは見えなかったが、それでも北アの一級品の山々の眺めを堪能した。その日は、爺岳を越えて、種池小屋のそばで大展望を楽しみながら、一夜を過ごした。



越百山(2012. 09. 28)


 猛烈な笹薮に妨げられ、安平路山までの予定が袴腰で頓挫。引き返してきた翌朝、越百の頂上は絶好の展望日和となり1時間もゆっくりする。かなり暑いので、大きな花崗岩の陰に入って寝ころぶ。青い空、白い岩、緑のハイマツのコンビネーションが絶妙だ。近くにはガンコウラン、チングルマ、アキノキリンソウなどの庭園があり、前日の笹薮と比べると天国のようだ。正面には南駒ヶ岳と仙涯嶺がどっしりと構え、前々日には見えなかった北アルプスが見える。乗鞍、笠、抜戸、穂高はすぐに分かるが、穂高・槍の間は難しく、帰宅後にゆっくりと同定した。左から西穂、奥穂(涸沢)、北穂、南岳(中岳・大喰)、前穂、槍といった順に見えるようだ。




剣山(2010. 10. 19)


 剣山の頂上の展望はすばらしいものだった。東側は平家の馬場で遮られてしまうものの、西側の次郎笈の姿は抜群(写真)。上半分はうすい茶緑のビロードをまとい、それが剣山からの稜線につながっている。下半分は紅葉と緑のスカートをはいていて、実に優雅だ。次郎笈だけではない。口西山、中東山、白髪山、丸石、高ノ瀬、三嶺とこれから辿る山稜が並んでいる。三嶺の右手には石鎚山から東赤石山の連なりが見えていたのも嬉しかった。その右手には、手前の塔丸、矢筈山、津志嶽を経て丸笹山となる。その右の赤帽子山は平家の馬場で遮られる。



Kreuzspitze(2010. 07. 12)


 Tirolを車で巡る旅に出かけ、一日だけ本格的な登山をした。Martin Busch Huetteから徐々に高度を上げ、刻々と変わる周りの山々を堪能する。Kreutzspitze(3455b)の頂上では、文字通り、360°ぐるりと遮るものがない。南側にはSimilaun(3602b)などの国境稜線の山々が連なっている(写真)。北側の正面に見えるのはこの辺りの盟主のWildspitze(3774b)。高さだけでなく、剱岳に似た姿かたちもなかなかのものだ。小屋で購入して持ってきていた同定入りのパノラマ写真を見ながら、ゆっくりと展望を独り占めする。3000b以上の山が100座以上見えているので、豪勢そのものだ。氷河の広がりが淋しいのは、温暖化のためかもしれない。




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