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2019. 07. 17 - 19
 薬師岳・北ノ㑨岳・赤木岳


最後になるかもしれない北アルプスということで3泊3日の山行に出かける。記録を見ると富山の山は1970年の剱岳以来、ほぼ半世紀ぶりということになる。梅田からの夜行バスに乗り、富山に早朝に着き、直行バスで折立まで行く。どちらのバスもよく眠れたので睡眠不足にはならずにすんだ。

同行: 単独


 

2019. 07. 17 薬師岳

コースタイム

0730 折立、0905-15 三角点、1033-43 五光岩ベンチ、1125-1200 太郎平小屋、1215 薬師峠、1302 薬師平入口、1347-1400 薬師岳山荘、1435 避難小屋、1454-1518 薬師岳(2926㍍)、1600 薬師岳山荘

当初は林の中のかなりの勾配の道を歩く。花はゴゼンタチバナ、アカモノ、ツマトリソウが見られる程度。三角点付近で森林限界を越えたらしく、視界が広がる。はっきりしなかったが薬師岳も見えていたと思う。ニッコウキスゲが点在するのびやかな草原。エゾシオガマ、コイワカガミ、チングルマなども次々と出てくる。今回の山行で30種ほどの花を見た。のページにまとめておくが、無精して立ったままでズームで撮ったりしたので写真の出来は悪い。歩道に大きな丸い石が敷き詰められており、かなり歩きにくい。太郎平小屋が見えるころにはガスが出始め、薬師岳の頂上は見えなくなる。小屋について、周りを見回す。ガスが出ていても、水晶から黒部五郎に至る雄大な展望が得られ、大いに満足する。ちょうどよいタイミングなので、小屋での昼食を楽しみにしていた。内容を楽しみというより、変わり映えのしない持参の昼食をとらずに済むという点で。カレーと缶ビールを頼む。


 

三角点のある休憩所

 

太郎兵衛平へ続く石畳の道

 

五光岩ベンチから見る五光岩


 

太郎平小屋が見えてきた

 

太郎平小屋の前から
(左端に黒岳、右に黒部五郎岳)




薬師岳に向かうと花の種類も増えてくる。池塘があり高層湿原的な雰囲気も。薬師峠へ下りつくと、テントサイトとなっており、やや狭い感じだが、眺めはよい。この日は無人だった。トイレや水場も完備している。岩がゴロゴロしている沢を登って薬師平に入って行く。ここで見ただけだったキヌガサソウが数輪咲いていた。雪もかなり残っているが、雪の上を歩くことはほとんどない。薬師平は太郎平からもはっきり分かるくらいの大きさをもつ平地となっていて、花も多くハクサンイチゲ、ミヤマキンバイなども目についた。どの花も群落を作るといった華やかさはない。振り返ると三俣蓮華から黒部五郎、北ノ俣などが並んでいる。しばらく進むと薬師の東南尾根が目に入ってくる。南西方向に下ってくる尾根に着けば小屋かなと漠然と予想していたが、まだしばらく登らなければならなかった。小屋が見えてきても、薬師の頂上がどこなのか判然としない。

小屋に着いたのは14時前だったので、この日のうちに頂上へ行くことにする。手続きをして、不要な荷物を置かせてもらってから、歩き始めるが、すぐに頭に巻いていたタオルを忘れたことに気が付く。もう陽射しもないので、不要かもしれなかったが、なんとなく落ち着かないので小屋に戻って再出発する。正面遠くに見えている建造物は避難小屋で、そこまでザレた尾根が続いている。景色に変化のないこのような尾根はなかなか前へ進んでいる気がしない。避難小屋は単なる石の囲いで、つくりはしっかりしているが扉もなく、数人入れば余裕がないといった大きさだ。ここから東南に延びる尾根に迷い込んだ愛知大学パーティーが13人の大量遭難を出した1963年の事故は、大騒ぎとなったので今でも記憶に残っている。この避難小屋が当時にあれば標識になったかもしれないが、雪に埋もれていて役に立たなかったかもしれない。

避難小屋について、初めて山頂へのルートが明らかになる。まだ少しの稜線歩きが残っている。近くにイワウメの花を見た。北海道の山でよく見かけた花だ。右側を覗き込むとかなりの雪が残っている中央カールが見える。20分ほど稜線を辿って、祠のある頂上に到達する。回り込むと北薬師岳とその手前の金作谷カールが絶妙の配置となっている。残念ながら剱岳や立山は見えない。黒部川の向こうにはその名の通りの赤牛岳が大きい。後立山連峰や黒部五郎方面は雲の中だったが、立ち去りがたく、北海道から来たご夫婦と一緒に20分以上も眺めを楽しむ。やはりアルプスのよい所はこの眺めだろう。楽しさという点では、鈴鹿奥座敷、荒地山、丹生山系の方が上かも知れないが。

下山の途中で雨が降り始め、雨具の上だけを羽織る。ザレ場が終わり、岩のゴロゴロする斜面を下っているとき、スピードが出すぎ、危ないからブレーキをと思う間もなく、濡れた岩で滑って、頭を岩にぶつけて止まる。古光山の時ほどの大げさな怪我ではなかったが、額と膝をかなり痛めた。後ろから来ていた人がタオルでしっかり押さえてとか、ポールを持ってあげると世話をやいてくれ、早足で小屋に行って、小屋番に応急処置をしてもらうように手筈を整えてくれた。タオルは赤く染まっていたが、大した出血でないと安心させてくれる。出発前に忘れたタオルを取りに帰り、頭に巻いていたのがよかった。古光山の時も今回も、額をぶつけているのに眼鏡を割らなかったのは信じられない思いだ。

この日は8人ほどの宿泊で、ゆったりできる。梅雨が明け、夏休みになると大変な混雑になるらしいが、自由人であることの有難みを感じる。


 

薬師峠を東側から。奥に太郎山


 

薬師平から黒部五郎岳、北ノ㑨岳


 

避難小屋への尾根道


 

避難小屋から中央カールを見下ろす


 

赤牛岳をバックに頂上に向かう登山者


 

薬師岳頂上から北薬師岳と金作谷カール




2019. 07. 18 北ノ㑨岳・赤木岳

コースタイム

0540 薬師岳山荘、0610 薬師平入口、0650-54 薬師峠、0720-30 太郎平小屋、0740 太郎山(2373㍍)、0823-28 休憩、0915 神岡新道分岐、0924-55 北ノ俣岳(2661㍍)、1036 赤木岳(2622㍍)、1115-20 北ノ俣岳、1129 神岡新道分岐、1300 太郎平小屋 

この日はもう一日、太郎平に滞在する優雅な予定にしたので、朝もゆっくりでよい。5時前に外に出ると、やや霞んではいたが、薄紅色に染まり始めた雲の下に、ワリモ、鷲羽、槍穂、三俣、丸山、双六、弓折、笠、黒部五郎が視認できた。このうち、三俣、丸山(三俣と双六の間にある2854㍍峰だが、三俣より高いのに名前がほとんど知られていない)、双六(3つの峰の左端が双六)付近がややこしい。笠は頂上部が黒部五郎の左肩越しに見えているだけ。宿に山座同定図が掲示されていたが、丸山の同定が間違っているようだ。

朝食後、北海道のご夫婦と前後しながら出発する。北ノ㑨岳を前方に見ながら下山していく。そのうち黒岳も顔を見せるようになる。薬師平、薬師峠と来た時と同じ道を辿るのだが、前の日に気が付かなかった花もいくつか見つかり、飽きることがない。太郎平小屋に着いて、宿泊の手続きをする。前泊地のリストがあったが、薬師岳山荘というのはなかった。そのような行程を組む人がいないのだろう。できれば赤木岳までと言い残して出発する。




薬師岳山荘前から槍ヶ岳、黒部五郎岳などの大観
(詳細な同定は展望のページに)




薬師平に戻ってきた



そのうち雨になるのだろうが、当面は大丈夫だろうとTシャツ一枚で歩き始める。すぐに薬師沢への道を分ける。出会った多くの人がこの道を通って高天原に向かうようだった。雲の平より人気があるのだろうか。太郎山への分岐にはなにも表示がなかったが、道はちゃんとしていたので、もちろん立ち寄っていく。頂上からは、太郎平小屋のうしろに薬師岳がどっしりと構えており、なかなか悪くない眺めだ。北ノ俣岳は上半分が見えるだけだった。そのあと、広々とした草原と北ノ俣岳の景観をしばらく見続けることになる。のびやかな気分にさせてくれるこのような所で思わず口に出るのが、サウンドオブミュージックの主題歌 "The hills are alive with the sound of music..." だ。岩手の七時雨山の放牧地で同じ気分を味わったことを思いだす(あちらの方がスイスの牧場の雰囲気により近かったが)。北ノ俣岳はとりとめのない山容で、頂上が見えているのかどうかもよく分からない。多分見えていない。1時間ほど歩いたところで一息入れる。二人連れの登山者とすれ違ったとき、ライチョウが一羽ひょこひょこと歩いていた。これほど近くで見たことがなく、若いうす緑の軟らかそうな葉を啄むところを見ることができた。神岡新道の分岐を過ぎて10分ほどで、北ノ俣岳頂上に着いた。




太郎山山頂




北ノ㑨岳を目指して




太郎山山頂




北ノ㑨岳山頂


そろそろ食事休憩と考えていたが、タイミングよく雨が降り始めた。歩いている途中で雨具を着るのは面倒なので助かった。風も強くなり、大きなケルンの陰で食事をする。雲が動き、黒部五郎の頂だけが顔を見せた。初めは山かどうかも解らなかったが、徐々に広い部分が見えるようになった。これから行こうと考えている赤木岳の方も見えてきた。きつい上り下りのない平坦で幅ひろい尾根がこんもりとした赤木岳に続いており、さらにその左手にいくつかの同じような高さのピークが黒部五郎へと続いている。

食事を済ませて、南に進む。見た通りの穏やかな道が赤木岳へと続いている。縦走路は赤木岳を巻いており、とくに踏み跡もない。もちろん道標はない。たいした高低差でないので、藪こぎして高みを目指す。ハイマツやタカネナナカマドがあるが、それほど密集していないので助かる。やや南北に長い頂上部に着くと、なかなかの見晴らしで、北ノ俣と薬師が北側に聳え、反対側には笠ヶ岳が大きい。遮るものがないので、これまでで一番スッキリとした形の笠ヶ岳を見ることができ、ここまで来た値打ちがあった。不審げに見上げながら、この日3組目の二人連れが北ノ㑨の方へ歩いて行った。高い所からは歩きやすそうなラインを読めるので、下りは少し楽だった。二人連れを追うように北ノ㑨に戻る。山口から来たという夫婦連れだった。少し喋っていて、ふと見ると薬師の左肩に剱岳が顔を見せており、感激した。

下るにつれ、それ以外の領域もだんだんガスが切れて、素晴らしいパノラマが広がる。鷲羽と三俣の鞍部の先に大天井岳の山群が霞んではいるがはっきりと認められた。この旅で3度目のライチョウと対面する。初めての親子連れでこどもは3-4匹がよちよち歩いていた。後ろから来ておられた山口のご夫婦もカメラを構えてニコニコ顔だった。太郎平小屋に戻り、豊富な流水で頭、顔、手を洗う。小雨が降っていたが、そとのベンチで生ビールを飲んでゆっくりとする。小屋には外人の登山客のグループのほか、数人がおられただけで、小さいが個室をあてがわれる。だんだん雨が強くなり、散歩に出かけるわけにもいかず、少し時間を持て余す。カメラの花の写真を見て、名前の分かるものと分からないものを選別する作業をする。夕食を終え、この日は一人でゆっくりできると思っていたところへ、遅くついた人がもう一人入ってきた。話をする間もなく、こちらは寝てしまったが、翌朝、色々と山談義を楽しんだ。




赤木岳と黒部五郎岳

 


赤木岳から北ノ㑨岳を




薬師岳の左肩に剱岳(ズーム)
(北ノ㑨岳山頂から)




中央の鞍部の先に大天井岳
(北ノ㑨岳の北、2580㍍付近から)
(詳細な同定は展望のページに)



2019. 07. 19 太郎平から折立へ下山

コースタイム

0700 太郎平小屋、0740 五光岩ベンチ、0850 三角点、1000 折立

予報通り、雨の朝だ。折立を11:10に出る富山行きの直行バスに乗る予定にしていたので、時間はあり余るくらいある。なんの施設もなさそうだったバス停で雨に濡れながら長時間立っているのは嫌だなと7:30頃の出発を考えていたが、同室の人に、乗り遅れるより、濡れる方がよいでしょうと言われ、7:00に出発する。のらりくらりと歩いていると外国人グループのガイドが9:50のバスもありますよと教えてくれる。調べていなかった。急げば間に合わないでもなかったので、スピードを少し上げたが、10分ほどの差で乗りそこなった。キャンプ場の管理事務所のような建物や公衆トイレもあり、雨宿りはできた。だんだん雨も弱まっていき、濡れたのを気にすることなくバスに乗ることができた。富山駅で昼食を食べ、新幹線とサンダーバードを乗り継いで大阪に戻った。



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