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2012. 10. 27  雌阿寒岳・阿寒富士
 



釧路での用件のあと、屈斜路湖のそばでテント泊する。その翌日は旧友と藻琴山に登る。その後、阿寒湖まで来て、オンネトーキャンプ場で一夜を過ごす。日帰りで雌阿寒岳と阿寒富士に登ったのち、夕方の飛行機で帰宅。

同行: 単独

  

コースタイ

550 オンネトーキャンプ場、646 雌阿寒温泉登山口、748-58 五合目、854-920 雌阿寒岳(1499)、743 阿寒富士分岐のコル、1007-24 阿寒富士(1476)、1157 オンネトー登山口

04:30に起床、2℃。ガスボンベの代わりに持ってきた固形燃料が使えなくなり、朝は阿寒湖温泉で買ってきたパンと缶コーヒーで済ませる。

雌阿寒温泉登山口から登り、オンネトーに下るコース。前日に話を聞くと管理人氏は、まず朝の元気なうちに雌阿寒温泉登山口まで歩く方を勧めるという。その意見に従って、明るくなるのを待って歩き始める。樹齢150〜200年というアカエゾマツの原生林を誇る道だが、たしかに見事なものだ。スックと伸びた太い幹がずらりと並ぶさまは美林の名に恥じない。それ以外にも、トドマツ、ナナカマド、ハリギリ(落ち葉)、種々のカエデ、コシアブラ(下から見上げると白く透き通ってみえる)、シャクナゲ、大きな葉のフキ(ラワンブキ?)などが次々とあらわれる。少し下り始めたかと思うと雌阿寒温泉が見えてきた。小さな湿原の中の木道を通って駐車場に出る。登山口でカードに記入し、すぐに登り始める。

等間隔ではないが、ほぼ10分おきに1合目から9合目までの標識が出てくる。エゾマツ、アカエゾマツをはじめ、イソツツジ、ダケカンバなどの樹林帯がつづく。3合目あたりで早くも森林限界を越えたような雰囲気となる。道の両側を覆う背の高いハイマツが主となる。高山の稜線上などでは、地面を這うような低い樹形だが、分布域下限の亜高山帯に接するあたりでは、樹高2メートル程度の灌木状になるらしいが、まさにこの程度の大きさだ。まだ標高950mにもなっていないのに、すでにハイマツ帯に足を踏み入れていることになる。そして視界も開け、正面に雌阿寒らしい大きな山塊が望まれるようになる。やがて後方に十勝、トムラウシ、大雪などの雪山を見るようになる。雲一つない展望日和だ。そして雄阿寒岳もすっきりとした姿を見せ始める。

オンネトーから2時間歩いたので5合目で一休みする。おやつを口にし、大展望を楽しむ。オンネトーも下に見えている。7合目あたりから周りは火山特有の山肌となり、ハイマツも低い樹形のなじみの姿となる。8合目を過ぎるとハイマツも消え、枯れたガンコウランが見えるだけとなる。九合目のすぐ先で火口壁に出る。突然現れた火口の姿に思わず声がでる。黄褐色に近い赤沼がすぐ下に見える。火口壁の先に阿寒富士が頭を覗かせている。白煙も何本か上がっており、変化に富んでいる景観は見飽きない。左手に目を向けると、阿寒湖の上に聳える雄阿寒岳が美しい。左奥にかすかに見えているのは斜里岳だろう。そして、白湯山、剣ヶ峰、フレベツ岳が火口原の上にポコポコと盛り上がっており、やはり大きな白煙が立ち上っている。1999年に来たときは、火山活動が活発で登山禁止だったので雄阿寒岳だけに登った。そのときは、6月の末で高山植物こそはるかに多かったが、今回のような強い印象はない。展望が物足りなかったこともあるが、やはりこのような火山性景観に乏しかったことが大きな原因だろう。頂上まで行って、改めて360°の展望を楽しむ。雲がかかっているのは知床方面だけで、あとは全部見えている。全部を同定するのは大変だろう。阿寒富士の方向の火口には青沼も見えている。風もない好天の土曜日でもあり、数グループの人に出会う。阿寒湖の方から登ってきた人も多いようだ。中食を口にして、阿寒富士の方へ下り始める。




赤沼と火口壁。後に阿寒富士




雄阿寒岳の左奥は斜里岳だろう。右手前に剣ヶ峰、さらに右にフレベツ岳





阿寒富士と青沼




メアカンフスマの枯葉


メアカンフスマと思われる枯葉が砂礫の上に沢山見られた。薄い黄褐色の海藻のような形をしている。8合目まで下りてきて振り返ると、これまで下に見えていた噴煙がはるか高い所から真っ青の空に向かって力強く立ち上っていた。阿寒富士とのコル近くにはハイマツが島状に点在していたのが面白かった。大きいものは大きいが、1m程度のものも多い。そしてどちら側の斜面でもコルから少し高くなると存在できないようだ。




9合目から遠くに十勝、トムラウシ、大雪の雪山。右が雌阿寒岳の頂上部。




阿寒富士に登り始めて雌阿寒を振り返る。島状のハイマツが点々と。


阿寒富士は誠にその名にふさわしい山だ。形もそうだが、急な斜面につけられたジグザグの道といい、その斜面を埋め尽くしたスコリアといいまさに富士山そっくりだ。この山がなければ雄阿寒岳がその名を貰っていただろう。スコリアの粒子は磨り減った様子もなく生き生きとしているので、ここにはほとんどの人が登ってこないのかと思ったが、そうでもない。全部で4-5人の人とすれ違った。数十回のターンののち、頂上付近のゆるやかな斜面となり、すぐに頂上となる。頂上からは雌阿寒岳が大きい。頂上から少し西に進んだところからオンネトーが見下ろせた。


コルへ下り、左折してオンネトーを目指す。7合目でコケモモの変色したのを一つだけ見る。ハイマツの背の高いのが現れ、5合目あたりでエゾマツ、シラビソなどの森林になり、4合目でシャクナゲ、3合目でゴゼンタチバナ、2合目でハリギリと、ちょうど野中温泉ルートを逆にしたような律儀さで植生が変化する。3合目から下は傾斜もゆるやか、雰囲気も最高の歩きやすい道が続く。いつもはそろそろはるか下の方に谷とか人家とかが見え、急斜面を下る頃だが、そのようなものはなにもなく、そのまま気楽な道が登山口まで続いたのには驚いた(一ヶ所だけ数十段の丸太の階段があった)。

登山口には朝には2台だった車が10台に増えていた。早かったので野中温泉まで車を進め、そこの温泉に入る。含食塩含石膏硫化水素泉で周りには白い湯ノ花があちこちにあるが、湯そのものは透明に近く、意外だった。話を聞くと、毎日丁寧に掃除をしているからで、白く濁った温泉は邪道だと専門家は言っているとの話だった。邪道でもよいから白い湯の方が温泉らしくて好きだ。そのあと、モミジに彩られた滝など、いろいろと寄り道しながらのんびりと空港に向かったが、それでも大幅に時間を持て余した。





太郎湖から流れ出た阿寒川にかかる滝



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