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2012. 06. 29
- 07. 01 果無山脈 



6月のテント山行に中ア南部を計画していたが、梅雨入りが早く、機会を逃してしまった。越百岳から安平路山の藪こぎの日に雨が降るとたまらないと思った。より無理のない果無山脈を次善の策としたが、その後ずっと長野より近畿南部の方が雨が多かったので、中アの方がよかったかもしれない。なんとか降水確率が60、40、40の3日が続いたので出かけたが、結果的には40、70、60といった天候になってしまった。


同行: 単独

 

2012. 06. 29 丹生ヤマセミの郷へ  

コースタイム

1111-1135 紀伊田辺駅、1310 ヤマセミの郷BS、1430 テント場、1453 稲荷神社、1506 登山口、1530 ヤマセミの郷

紀伊田辺駅からバスに乗ると、正面に見えてくるのが高尾山。奇絶峡を過ぎ、どんどんと高度を上げていく。虎ヶ峰が大きくなり、その裾をトンネルで抜けると龍神村。十津川への分岐点を過ぎたので、やや慌てて下車のボタンを押したが、もう少し先の西BSで乗り換えてくれと言われた。そのときに地図などが入った袋とペットボトルを座席に置いたまま下車してしまう。乗り換えたバスでそれに気づく。バスは丹生の川沿いに上っていくが、途中で道路事情が悪いため乗用車に乗り換える。ヤマセミの郷BSで下車して、ヤマセミの郷を見下ろしながらバス会社に忘れ物を聞いてみるが、まだ届けられていないとのこと。しかし、間もなく見つかったから最終バスで届けてあげると言ってくれた。ないとどうしようもないということではないが、やはり詳細地図がないと落ち着かないので、助かった。バス停まで取りに行くと、同じ乗用車が地図だけを運んで来てくれた。まあ忘れ物がなくても走っているのだろうとは思うが、申し訳ない気分になる。

最終バスまでにたっぷりの時間があったので、旧学校の校庭にテントを張ったあと、まわりの散歩にでかける。橋から見上げると斜面があちこちで崩壊している。下流の工事はその後始末なのだろう。橋を渡った所が、正式のキャンプ場でバンガローなどもある。南南東に見えるのが和田の森らしい。600bの高低差があるので、少し登り甲斐がありそうだ。吊り橋が出てきて、そばの案内図には、頂上に稲荷神社があること、眺望は最高との記述があったので、そちらに進む。かなりの登りを終えると確かに神社が出てきた。非常にささやかな祠と倒れそうな鳥居があるだけだった。そこから引き返すつもりだったが、先へ進むかなりしっかりした踏み跡があったので、辿ってみる。獣よけの柵がある畑に降り立った。人家もポツポツとあるが人の姿は見えない。道路に出てもどちらに進めばよいのか分からない。キンシバイやホタルブクロを見ながら左手に登っていくと、驚いたことに果無山脈の登山口に出た。そこから引き返し、翌日歩くつもりだった道を下っていく。

時間があるので温泉に入れて貰う。せっかくのよい温泉なのに、すぐそばの河原で護岸工事をしていて、うるさいこと限りない。ゆっくりできずに切り上げ、食事の準備をする。食前酒を静かになった河原で飲み、管理人とボイラーの話をする。温泉施設の加温燃料を重油から木質チップに切り替える取り組みの一環らしい。田辺市から半額の補助があるが、トラブル続きで困っており、とくに湿気が多くなるとスムースに供給できないという。メーカーのモルモットみたいな立場だと嘆いておられた。容易に想像できる状況だ。

忘れ物を引き取りにバス停まで行って、食事を終え、管理棟に行く。テレビの天気予報とニュースを見てから、静かになった温泉で烏の行水。




小学校の校庭跡がテント場



2012. 06. 30 ヤマセミの郷からブナの平へ

コースタイム

0605 ヤマセミの郷、0627 小森登山口、0740 和田の森(1049b)、0824 林道へ、0838-49 雨具をつける、0858-0900 安堵山(1184b)、0953 黒尾山(1235b)、1023 冷水山(1262b)、1057-1207 水場、1220 カヤノダン(1178b)、1309 公門崩(クモンツエ)の頭(1155b)、1333 筑前タワ、1403 ミョウガタワ、1506 ブナの平(1121b)、1518 テント場


前日、偶然来てしまった所から登り始める。畑に囲まれた草付きの斜面で標識がなければとても登山道とは思えないような始まり。すぐに納得できる登山道となる。和田の森までは植林の道がかなり続く。登山口から40分で道が東から東北に変わった。かなり歩いたつもりだったが、地図を見ると距離的には半分も来ていない。その後は傾斜がゆるみ、左手にヒノキの植林、右手はアセビなどの自然林といった道になる。頂上までは30分ちょっとだった。頂上で止まる理由もとくになかったので歩き続ける。林道がそばを走っており、ときどきそちらに追いやられるが、気をつけているとすぐに山道に戻ることができる。林内にはなにも彩りがないが、林道にはミヤマシキミ、コアジシ、ノリウツギなども見受けられる。ときどきガスの先に北側の見晴らしもあるものの、山々を区別できるような状態ではない。多分P1212、牛廻山1206、P1145あたりが見えているのだろう。その右奥遠くにもう一つのピークが見え、さらに奥にもかすかな山並み。尻尾が長いうす茶色の小動物が先を横切った。イタチの類だろう。




北側に山並みが連なる



雨が降り始めたのでズボンの雨具だけつけ、ついでに簡単な中食。やがて安堵山。ここも立ち止まる理由がない。下りていくと資材置き場の広場につく。ここは完全に北側が開けているが、すっかりガスが広がってしまった。P1160bも林道で巻かずに登っておく。ママコナがあったので、立ち寄った値打ちがあった。そして林道登山口と書かれた林道の交差点。南側の林道は完全に舗装されている。ここから登る人も多いようで、そのための舗装だろうか。林業用にはもったいない。南側が開けていて、4〜5重の山並みが連なっているが、もちろん名前は分からない。林道と平行についた山道をあがっていく。いくつかのピークが出てくるが、山名標識がないので黒尾山でないと知れる。それほどここには標識が多い。風に飛ばされないようなものが一つあれば十分なのに、自分たちの名前を残したいハイキングクラブが多いようだ。果たして、地理院地図にも山名が出ていないマイナーな山である黒尾山にも6個もの標識。

ここを下り始めると前方に冷水山が姿を現した。130bほど高いので、さすがに高く見える。今回いくつものピークを越えたが、山の姿を見たのはこれが唯一。途中で林道めがけて大きな崖崩れが起こっており、それにネットをかぶせるのに大変な労力を払っているところがあった。冷水山の山頂にも山名標識のコレクション以外に見るものはない。テントを張るのに十分なスペースがある。




黒尾山の下りで見た冷水山



冷水山(標識の展示場)



先に進みながら、いくつかの案を考える。@ 予定通り水場で水汲みをしてブナの平で幕営、A 水は手持ちのものでなんとかしてブナの平、B そのまま水のある観音堂まで下りてしまう(結果論で言えばどれも可能だった)。時間もあるし、翌日にすでに山から下りているというのも残念なので、一応予定通りの@を選択する。水場標識はすぐに見つかった。ここには片道10分と書いてあったが、HPを見るとかなり足の早い人でも往復40分かかったとあったので、覚悟して荷物を下ろす。杉の木の下でペットボトルを用意していると、ますます雨脚が強くなり、ときどきドサッと水の塊が落ちてくるような状況になった。水汲みにいくのをやめてここでコッフェルに落ちてくるのを待つ方が賢いかなと思った。まあ水場を見ておくのも悪くないと、下り始めるが、しばらくして道をはずし、あやしくなる。諦めて戻っていくと、踏み跡にでたのでもう一度下り始める。いつまでも着かない。延々とトラバースをしたのち、やっと沢に出る。これだけの雨なのに、水流はない。うんと下には流れが見えているが、ジグザグの道を辿るには、いかにも遠回りになりそうなので、すぐ下の二つの沢の合流点まで下りてみる。依然として流れはない。沢沿いにさらに下りるのは危なそうなので引き返す。溜まり水があったので、念のためそれを汲んでおく。レトルトの加温、歯磨き後の口すすぎ、汚れものの洗浄には使えるので、ないよりうんとましだ。帰りは道迷いもなかったが、20分かかった。尾根に戻ってから雨の中で、少しカロリー補給をしておく。


その後、カヤノダン、公門崩の頭、筑前タワ、ミョウガタワと丁寧に名前がつけられた所を通過していく。真っ黒の大きなカエルに驚いた。ウシガエルという大変美味なものらしい。ブナの木が増え始め、霧に煙った林の幻想的な光景が続く。これは雨の山のよさの一つだ。暑くないのもありがたいことの一つ。欠点はよい展望がないことと、テントの中が濡れてしまうこと程度だろうから、どちらがよいとも言えない程度の差だろう。ブナの平の標識に着く。ここでテントを張った人もいたようだが、それほど広々としているわけでもない。地図上には平坦地が描かれているのでどこかなと、先へ足を進める。大した傾斜でもない道を下りながら、適地を探すが意外にないものだ。杉の枝葉が落ちているので寝心地は悪くなさそうだが、平坦地がない。これならもう一度頂上に引き返して狭い所にテントを張るかと考え始めたとき、ちょうどよい場所がみつかった。頂上から10分以上歩いていた。弱くなったりきつくなったりしたいた雨も、この頃はかなり強く、この日の夕食はすべてテント内での調理となる。ただでさえベトベトしているのにますます湿度が上昇。それにしてもザックの中は誠に不十分な防水だ。もっと工夫する必要がある。シュラフなども買い物用のポリ袋に入れて、きつく縛っていたのにかなり濡れていた。その後も強くなったり弱くなったりが続く。




雨のブナ林


緑も生き生きと



2012. 07 . 01 ブナの平から十津川温泉へ

コースタイム

0701 ブナの平テント場、 0720 石地切山(いしじりきやま、1140b)、0740 果無山(1114b)、0752 果無峠(1050b)、0816 観音堂、0908 登山口、1013 十津川温泉BS

目覚ましなしで5時に起床。18℃なので、最近のテント泊の中では珍しく快適な温度だ。起きたときは小雨だったが、やがて大降りになる。なんとか雨の合い間に出発できればよいなと考えていたが、7時に出たときは幸いかなり小降りになっていた。すべてをテント内で始末し、外に出たときは靴を履き、テントとポールを収納するだけにしておく。

1時間もしないうちに石地力山、果無山を経て果無峠につく。ここからは熊野古道の小辺路となり、道はよくなる。といっても多くの所に石畳が敷かれており、雨に濡れているので、できるだけ避けて歩く。観音堂で、今回初めての人とすれ違う。古道を歩くという外国の若者。十津川ではテントが張れず、宿に泊まらざるを得なかったと悔しそうにしていた。観音堂の堂内には小さな観音像など3体の石像が並んでいた。周辺でテントを張ることもできただろう。水もふんだんにある。



果無峠で小辺路と合流


その後、山口茶屋跡、天水田跡などを眺めながら足を進め、舗装道路に降り立つ。一段とはげしくなった雨の中、果無の集落を通り過ぎると再び山道となる。最後に右手に下りて柳本橋から温泉に出るのがよいことは分かっていたのだが、昴の郷という標識しか目につかなかった。雨の中で地図を見る気にもなれず、そちらに下りてしまう。再度の舗装道路に出て、右に行けばよいとは思ったが、やや上り坂になっていたので、左手に進み、十津川に合流する寸前の西川にかかる吊り橋を渡って左岸に渡る。大した距離の差ではないのだが、思っていたコース取りができなかったのが、やや癪だった。

バス停で時刻を確かめたあと、置き傘が沢山あったので、一本借用し、目の前の公衆浴場「庵の湯」に入る。長い階段を下りた河原に近い所にある。温泉感謝デーとかで、入浴料は無料でだった。ゆっくりと湯に浸かってすっきりする。食事できるドライブインがあると教えてもらう。バス待合所にザックを置いたままで、ドライブインに行き、昼食をとる。その後、日本で高速道を使わない一番長い路線バス(大和八木=新宮間の167 km)の約半分を経験する。十津川流域では、2011年9月の台風12号による紀伊半島豪雨で土砂崩れがあり、至る所で重機が活動していた。バスは谷瀬の吊り橋で20分停車し、見物する機会を与えてくれた。




谷瀬の吊り橋




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