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2008. 12. 4 - 5
 小金沢連嶺

東京での仕事のあと、21:00の「あずさ」で塩山まで行き、自炊宿にとまる。翌朝一番バスで大菩薩嶺に向かう。東北新幹線からかすかに見えるので、前から関心をもっていた領域である。

同行: 単独


2008.12.4 裂石から湯ノ沢峠まで

コースタイム

728 塩山駅南口BS、755-800 裂石BS、804-813 雲峰寺、840 千石茶屋跡、952-1014 上日川峠、1035 福ちゃん荘、1040 富士見小屋、1113-23 大菩薩峠、1140-42 熊沢山、1150 石丸峠、1200 天狗棚山(1957)、1211 狼平、1300-20 小金沢山、1344-49 P1985?、1358-1400 牛奥ノ雁ヶ腹摺山(1995)、1435 川胡桃沢ノ頭、1506 黒岳(1988)、1523-37 白屋ノ丸、1612 湯ノ沢峠

夜遅く着いたが、宿の人が駅まで迎えにきてくれ、温泉に入ってすぐ寝る。自炊の宿なので、朝は手持ちのもので済ませる。バスは、塩山駅からでなく、町屋交差点の近くから乗る。そのおかげで雪をかぶった赤石、悪沢を見ることができた。バスの中から後を振り返ると、南アが少しずつ数を増やしていき、嬉しくなる。

裂石BSではハイカーが一人だけ降りたが、別の方向へ行ったらしく、その後は会わなかった。この日は余裕があるので、雲峰寺に立ち寄っていく。8世紀に行基菩薩が開山したというので、由緒あるものらしい。重要文化財という本堂にはそれほどの感銘を受けなかったが、新薬師寺に行ったすぐあとなのでやむを得ない。立派なサクラの木がよかった。武田家の軍旗などもあるらしいが、見ずに階段を下りた。

舗装道路を登っていくと前方に朝日に照らされた大菩薩嶺がゆったりと横たわっている。後方は、霞んできたものの、赤石などがまだ見えている。1時間ほどすると、展望のよい所にでた。塩ノ山を取り囲む塩山市が広がり、その後に赤石、悪沢、塩見、白根三山、鳳凰、甲斐駒が見える。上日川峠の長兵衛山荘で夕食用にキノコでも買いたいと思っていたが、店は閉じられていた。ここからは仙丈も見えた。車が2台停まっていた。1999年11月に女房殿とここから歩き始めたことを思い出しながら、初めて腰を下ろし、少しだけ腹を満たしておく。

富士見小屋をすぎてしばらくすると、氷で道が滑りやすくなってきた。以前にすばらしい富士の姿をみた場所を記憶していたが、この日は見えなかった。峠の寸前で氷がびっしりと着いており、最後の一歩を踏み出すのに難儀した。峠では4人のグループが休憩を終えて、大菩薩嶺の方へ出発するところだった。早速展望を楽しむ。前に来たときほどの透明度はないが、塩見、白根、仙丈、駒が辛うじて見える。奥多摩側はさすがにもう少しはっきりと見える。

このあと、氷道が続きそうなので、ポールを取り出して、熊沢山に向かう。この登りはかなりのものだ。軽アイゼンを持ってきていたので、着けようかと思ったが、なんとかポールを頼りに登り切った。手袋も欲しくなったが、面倒なので出さなかった。頂上を越えた反対側は春のような雰囲気で、氷は全くない。ただぬかるみがひどい。その後もずっと、上りと下りで様相が全然違うのが面白かった。氷道が上りになるので、助かる。天狗棚山への上りは雪で、それを越えるとジャリ道である。




狼平から天狗棚山を振り返る


狼平は笹と雪のミックス。小金沢への上りは堅雪で、最後の1/3は氷といった調子が続く。小金沢山の頂上でも、奥多摩方面やこれから進む黒岳などの展望が得られた。ここからの下りはササ藪が目立つ。鹿の糞や爪痕が頻繁に見られる。そのあと、牛奥ノ雁ヶ腹摺山というこれまで登った山で最も長い名前(14文字)のピークになる。そこからは黒岳の右手に富士の7合目あたりから上がやっと顔を出してくれた。さすがに高い。目を左右に動かしているだけでは駄目で、上下にも動かさないと気がつかないほどである。雁ヶ腹摺山のある檜ノ木尾根も目の前に迫ってきた。




牛奥の雁ヶ腹摺り山から黒岳、富士山


下り道で前方の川胡桃沢の頭を見ると暗い雪の斜面であるが、コルまで降りて振り返ると、牛奥のカヤトの南斜面が明るい。このような対照が面白い縦走路である。白根三山から甲斐駒までがうっすらと見えている。黒岳の頂上は展望がないので、少し先の白屋の丸まで休憩を延ばす。富士がますます高く見える。雲の中に三つ峠がかすかに見え、その手前にこれから進む大蔵高丸、ハマイバ、大谷ヶ丸などがのっぺりと並んでいる。南アはますます影が薄くなってきた。その手前に棚横手山、P1490、源次郎山などが見えているようである。うっかりと下に降りていき、道でない所を歩いていたので、もう一度休憩場所まで戻って軌道修正する。

峠への下りのササが夕日に赤く染まっているのが寂しさを強調している。かなりぬかるみがひどい。立派な角をつけたシカが二頭、前を走っていったが、いつもの鳴き声は聞かなかった。湯ノ沢峠につき、少し右手に降りると小屋があった。見かけは古いが、中は立派なものだった。電気がつくし、布団が沢山積んである。机、椅子、スリッパまであるのは感激もの。近くの駐車場には、近づくと電灯が自動的につくトイレまである。水場も近い。外には焚き火用の場所もある。柴は適当にあったが、太い木はかなり湿気ていた。食事も終わったので、1時間ほどで焚き火を消し、小屋に戻った。シュラフには19:00に入る。小屋の中の温度は4℃。敷布団は借りたが、どの程度の寒さかを確かめるため、掛け布団は使わずシュラフだけで寝た。3枚のシャツに厚手のセーターでも寒く、上からゴアのヤッケを着込んだ。雨で濡れていたら、少し足りなかったかもしれない。22:00頃に目が覚めて外に出ると、星の輝きがすばらしかった。しかし、一部の空は雲が出ていたので、あまり期待を持たずに小屋に戻った。



2008.12.4 湯ノ沢峠から初狩まで

コースタイム

615 湯ノ沢峠、708 大蔵高丸(1781)、733 ハマイバ丸、804 天下石、822-35 米背負のタル、855-57 大谷ヶ丸(1644)、950 笹子駅への分岐、956 鎮西ヶ池、1004 三叉路、1008-15 滝子山(1610)、1020 二等三角点、1057 檜平、1228 林道、1310 初狩駅

ゆっくりするつもりだったが、4時過ぎに目が覚めたので、食事や後片づけをゆっくりすればよいと思い、そのまま起きてしまう。3℃と昨晩と余り違わない。まずは、お茶を沸かし、それで暖まりながら朝食の準備をする。食事、トイレ、掃除をすませても、まだ暗かった。ランプを付けて6:00に出発する。峠に出たとき小雨が降り始めたので、引き返して小屋で雨具やスパッツを着けているうちに、ランプなしでも歩けるようになった。雨はその後も大したことなかったが、尾根筋では風があり、結構寒かったので、どのみちヤッケは欲しかった所だ。いつもなら3枚も着ていると、少し歩くとすぐに暑くなるが、この日はかなり歩いても、そんなことはなかった。この辺り一帯はお花畑になるらしく、道の両側にロープが張ってあり、延々と続く。これは嬉しくない。山でテレビ塔などに出くわして、興ざめという人が多いが、個人的には、むしろこのようなロープや不要な丸太の階段などの方が興ざめだ。

この日は軽アイゼンを着けてみようと考えていたので、30分ほどして氷道が続いたところで装着する。やはりうんと楽になる。アイゼンなしでは水平な所でも滑って歩きにくいが、着けるとかなりの勾配の氷道を直登しても全く神経を使わずに済む。大蔵高丸やを越えて南側斜面になるともちろん氷はなくなるが、アイゼンをそのままにしておく。ぬかるみになっているので、登山道を痛めるということもないし、下りでもアイゼンは驚くほどのメリットがある。滑るのを恐れて、丁寧に足を踏み出さないといけない所も、小走りに駆け下ることができる。ハマイバ(破魔射場)の標識に到着する。その少し南に10mばかり高い地点があるが、どうしてそこを頂上としないのだろう。これとは別に、5分ほど進んだところに、手書きのハマイバ丸という標識があり、大きなケルンがあった。それぞれ理由があるのだろう。2時間歩いて米背負のタルに着いたので、ザックを下ろして軽い食事をする。西側はガスが濃いが、東側は多少遠くが見える。

大谷ヶ丸では、北側の登りでも、もう雪も氷もない。大谷ヶ丸を直進すると曲沢峠へ降りるが、少し戻って東に進み、滝子山を目指す。この稜線もずいぶんと気持ちのよい所だった。風の音がするが、それがかえって静けさを強調するようであり、周りが見えない悪天候も嫌いではない。氷もなくなり、ぬかるみも落ち着いてきた。滝子山の手前で再び曲沢峠への道を分ける。そのあと鎮西ヶ池がある。鎮西八郎為朝と妻の白縫姫が隠れ住んだ所という。数日滞在したくらいなら分かるが、こんなに不便な所で住むことはできないだろう。そのあと、三叉路となり、右手(西)に少し登ると頂上となる。25000の点線は直接最高点に到達するように書いてあるが、今はそうではない。

滝子山は、好展望のピークらしいが、ガスの中でなにも見えない。引き返し、三叉路を過ぎてしばらくすると三角点がある。檜平で少しだけ、鶴ヶ鳥屋山、高川山、その他を望むことができた。1000m辺りで道が急に曲がり、ジグザグに斜面を降りていくが、このあとの単調な道が結構長かった。今回のように縦走してきた場合には悪くないが、初狩から日帰りで滝子山だけをピストンするのはあまりよいコースとはいえない。初狩駅の入口が分からずに南側に回り込んでしまい、一台早い列車に乗るチャンスを逸し、予定の列車に乗ることになった。初狩には食堂もないので、甲府で特急に乗り換える時間に食事をした。

乗った特急は珍しく塩尻を通過するので、上諏訪で下車する。その際に財布を忘れたことに気が付いた。切符、現金、カードがなくなり、帰ることができなくなったので焦った。特急内に忘れたことはほぼ間違いないので、各駅停車の車掌に松本に連絡してもらえないかと頼んだが、結局無理だった。松本駅まで行って駅で聞くと、無事届いていたのでホッとした。結局、予定より1時間遅れになり、帰宅は21:30を過ぎてしまった。




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