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2008. 7. 1-2
  白山


花の時期の白山登山を考えていたが、公共の交通機関で行こうとするとどうしても混雑期になってしまうので躊躇していた。レンタカーをすれば、2日の日程で十分行けることが分かったので、残雪も残り、花も咲き始めており、しかも梅雨の合間という時期を狙って行くことにした。

同行: 単独

 


2008. 07. 01 砂防新道を経て室堂まで

コースタイ

0915 福井駅、1058-1132 別当出合、1206 中飯場、1307-15 水場、1319 甚の助避難小屋、1340 南竜分岐、1418-30 延命水、1507-33 室堂、1619-1723 御前峰(2702b)、1743 室堂

福井駅では曇り空。しかし、白山に向かうにつれてだんだんと日が射し始める。別山出合に着いた頃には快晴になっていた。前日が山開きだったためか、駐車場には満杯近い車が止まっている。

駐車場から少し登ると、休憩舎があり、下山してきた数グループが休んでいる。途中で買った昼食をここで済ませ、吊り橋を渡って砂防林道へと歩き始める。しばらくの間はブルドーザーの音が止まず、深山という雰囲気ではない。小さなバッタが飛び交う中、ズダヤクシュ、ハクサンチドリ、シラネニンジンなどを見ながら、炎天下を登っていく。不動滝が右手に大きくなり、やがて左手に別当覗が見え始め、オオバミゾホオズキ、ショウジョウバカマ、ミヤマキンポウゲ、コイワカガミなども姿を見せ始める。

甚之助小屋のすぐ下の水場で、顔や頭を洗い、一休みする。雪渓をいくつかトラバースするようになると、リュウキンカ、ミヤマキンポウゲ、ミヤマダイコンソウの群落がでてくる。黒ボコ岩の手前に、延命水という水がチョロチョロと出ている所があるので、休んでいると蛙のような鳴き声がする。雷鳥かと思ったが、あとで調べると白山の雷鳥は絶滅したらしいので、蛙だったのかもしれない。黒ボコ岩をすぎ、弥陀ヶ原に出るが、お花畑にはまだ早い。ナナカマドの花が目についたくらいだ。五葉坂というハイマツの中の道を登っていく。20歩登れば先の景色が広がるだろうという感じだが、いつまでも同じ景色が続いたのは不思議な感じだった。期待するのをやめようと思ったら、室堂に飛び出した。



弥陀ヶ原から白山御前峰

宿泊の手続きを済ませ、宿泊棟に案内される。2、3のグループがすでに奥でおしゃべりをしている。寝床の場所を決め、コーヒーを飲み、米を研いだ後、晴れているうちにと、頂上に登ってみる。

すぐそこに見えているのだが、花の写真を撮りながら登っていると、結構の時間がかかった。タカネザクラ、イワツメクサ、ミツバオウレン、クモマキスミレ、コメバツガザクラ、コイワカガミや、知らないいくつかの花が登山道の脇に咲いていた。頂上からは大汝峰、剣ヶ峰が目の前に立ちはだかっており、翠ヶ池には分厚い氷が半分に割れており、半分は水が見えている。それらの右に三方崩山の荒れた地肌が見えている。反対側の別山は頂上から右側に雲がかかっており、なかなか全貌を見せようとしない。遠望もそれほどよくない。御嶽、乗鞍は分かるが、写真に写りそうにない程度である。頂上におかれた折角の展望板なのに、表示が少しずつずれているのはいただけない。

着いた頃には何人かの人がいたが、やがて誰もいなくなり、一人で岩に寝転がっていると、そのうちウトウトする。虫が耳に入ってきて目が覚め、下山しようとすると、見通しが若干よくなっている。別山の頂上もやっと見えてきた。収穫は、奥三方岳の左奥にある猿ヶ馬場山の左に、明瞭なピラミッドが見えたことである。剱岳である。右に立山連峰も見えている。その右は雲の中だが、薬師岳だけが頭を出しており、そのあとはまた雲となる。グズグズしていた甲斐があった。小屋まで下りたあと、まだうっすらと夕日がさしていたので、戸外のベンチで夕食とする。食後に、小屋の南側に回ると、小高い場所に何人かが集まって、夕暮れの景色を静かに楽しんでいる。しばらくそれに加わってから、宿泊所にもどると、同宿者はすでに寝床の中であった。ウィスキーを飲みながら、翌日のコースを点検してから寝る。



御前峰から大汝峰






御前峰から別山

2006. 07. 02 南竜小屋、別山を経て市ノ瀬まで

コースタイ

0436 室堂、0503-07 御前峰、0536-0634 室堂、0642 エコーラインへ、0724 南竜小屋、0745 赤谷の水場、0829 油坂の頭、1011-37 別山(2399b)、1049 御舎利山、1145-57 チブリ尾根避難小屋、1315-20 最後の水場、1355-1405 細谷川近くの車道、1425-30 市ノ瀬駐車場脇にザックデポ、1455 ゲート、1515 Y字路、1533-38 休憩、1554 別当出合、1606 ザック回収、1800 福井駅

夜中は珍しく一度も目が覚めず、目覚ましで4時に起きる。予定は一応別山から市ノ瀬に下ることにしているが、確定はしていない。まずトイレに行くと、赤くなり始めた空をバックにした御嶽、乗鞍のシルエットがかなり明瞭に見え、これならもう一度頂上に行く値打ちがあるかなと考える。

前日よりは早足で頂上に向かうと、すでに日の出を見終えた人達が下りてくる。やはり御嶽、乗鞍は前日より明瞭だったが、それ以外はあまり芳しくはない。しかし、剱・立山の代わりに、槍・穂が見えた。槍ヶ岳は左右になにもなく、きれいなピラミッドで見えたのが少し意外であるが、多分間違いないであろう。その左にも雲海からかすかに頭を出している黒岳あたりの連峰も見える。

下りで、前日に見逃していたミヤマクロユリを数本見つけたこともあり、再往復した値打ちは十分あった。小屋のすぐ近くの雪道がガチガチに凍っていたので、別山への雪道が少し心配になる。小屋の人に気温を聞くと、6〜7℃、最低気温も氷点下に下がっていないという。放射冷却のせいという説明だが、よくわからない。少し氷があったにしても、頂上往復で出発が遅くなったので、かえってよいかなと、前向きに考える。朝食も、豊富な水がすぐそばにある気持ちのよい戸外で済ませ、6時半すぎに出発する。



クロユリ

五葉坂を過ぎてすぐに左折し、エコーラインへ入っていく。いくつか雪渓を越える。これから向かう油坂のジグザグが見えている。下半分は雪が被っておらず、問題ないが、上半分の斜面は雪で覆われている。南竜小屋への下りで一個所だけトレースがなくなり、急な所を下りたが、下りた所にはちゃんとしたトレースがあったので、単に見失っただけだ。小屋の前にハイカーが一人、のんびりとビールを飲んでいた。「下りてきた雪渓は怖くなかったか」と聞かれ、「全然」と答えたが、下から見上げると確かに急に見える。小屋に入り情報を得ようとしたが、誰もおらず、そのまま赤谷の方へ向かう。

赤谷への下りも凍り付いてなどおらず、問題なかった。ショウジョウバカマなどに加え、サンカヨウ、ゴゼンタチバナ、エンレイソウ、ムカゴトラノオなどの、初出の花が出迎えてくれる。油坂のジグザグのあと、かなりの大きさの雪面を登るが、傾斜はそれほどでないので、ポールを2本でなんとかなる。



油坂の雪面を登り切った所から白山


そのあと、しばらく東側が切れ落ちた稜線歩きとなる。稜線にひびが入っている所もあり、数年後にはここも崩落しているのかなと想像する。

思いもかけなかったのは、ここに実に沢山の種類の花があったことである。ミツバオウレン、バイカオウレン、マイヅルソウ、ムカゴトラノオ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、アオノツガザクラ、ハクサンチドリ、オオカメノキ、ハクサンボウフウ、ニッコウキスゲ、カラマツソウ、ヨツバシオガマ、オンタデ、ハクサンタイゲキ、キヌガサソウ、ミヤマカラマツ、ヒョウタンボク、ヤマラッキョウ、ゴゼンタチバナ、ミヤマハンノキ、コメバツガザクラ、ショウジョウバカマ、ミヤマダイコンソウ、その他知らない花もいくつかあった。お花畑的に一面に咲いているという個所はあまりなかったが、種類の多さは前日以上だった。



ミヤマキンポウゲと別山



ハクサンイチゲと白山



キヌガサソウ


ハクサンタイゲキ



室堂から腰を下ろすことなく、3時間半以上歩いて別山に到着し、ちょうど昼食によい時間となった。小さな社を囲んでいる石組みの中に入り、日差しを避けて、腰を下ろす。

食事後、御舎利山の頂上を経由してチブリ尾根を下りていく。花が少なくなり、目立つのはイワカガミ程度になる。シラビソなどの低い木が出はじめる。チブリ尾根避難小屋は立派な小屋で、まわりの眺めもよいが、水がないのが難点だ。いくつか池はあるが、飲めそうな水ではない。小屋陰に腰を下ろして休んでいると、月山の頂上がガスに隠れはじめた。そのあとも気持ちのよい尾根道の下りで、1時間ちょっとで「最後の水飲み場」となる。登る際の最後であり、下りの場合は、この水飲み場以降は頻繁にきれいな小沢がでてくる。右手から柳谷が近づいてくると間もなく工事用の車道に出る。


市ノ瀬への下山道の案内があり、一旦下りはじめたが、別当出合に行くのなら、車道を使って東に行けば、かなり早く着けるのではないかと、車道まで戻って思案し直す。しかし、道脇の案内板にも地図にも、そのような道は記載されておらず、万一引き返すことにでもなれば大変なので、やはり様子の分かっている市ノ瀬まで行くことにする。ゲートの所にいたおねえさんに聞くと、車道を歩いても構わないし、そのまま別当出合を目指した方が早かったと言っていたが、もう手遅れである。道ばたにザックを隠し、休憩なしで、前日に車で走った道を登り始める。山小屋では2時間かかると脅されたが、駐車場まで1時間半で戻ることができた。やはり、少々うんざりした。


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