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くらやみ登山  



愛読している川崎精雄氏の山行では、よく夜に歩いておられる。羨ましいと思っていたが、とうとうそのような精力的な山歩きができずに終わった。数少ない例を掲載する。


 

熊野岳から山形市 (2003. 10. 08)

十三夜の月が美しく、空も晴れ渡っているので、かねて目論んでいた夜間登山を試みる。刈田岳駐車場に着くと、上山の光が見える。月光の明るさは十分で、終始ライトをつけることなく歩くことができた。お釜の見えるところまで来ると仙台の明かりが眩しい。熊野への道は途中からゴツゴツの道になるが、困ることもない。熊野の頂上まで来ると今度は山形の光が、仙台と比べてうんと近いところに見える。温度計を見るとほぼ0℃だった。半分くらいまで下った辺りでガスが出はじめ、熊野も刈田も仙台も見えなくなる。しかし、月は暈がかかったものの、まだライトが必要な暗さにまではならなかった。刈田岳駐車場を20時40分に出て、熊野岳を往復し、1時間ちょっとで駐車場に帰着した。

 

富士山から御殿場 (1960. 07. 20)

伊豆南端の蓮台寺での合宿が終わり、伊豆半島を縦断する。梨本−浄連の滝の間(15 km)はバスの便がなく、一部はヒッチハイクができたが、かなりの部分を歩いて修善寺へ。寺を見物したのち、沼津へ行き、食料を買い込む。御殿場についてから懐中電灯を買うという位の準備不足で、2人の友人と富士登山に挑む。タクシーに乗り、馬返し(1.5合目)まで行ってもらい、歩き始めたのが21:50だった。昼間の疲れもあり、眠くて仕方がない。休憩のため道端に座ると、星が今まで見たことのないような数でびっくりしてしまう。しばらくするとスーッと寝てしまう。互いに起こし合いながら、そして一般の登山客に追い越されながら、やっとのことで頂上近くに着いたのが09:30頃。高山病の気配が濃厚で辛かった。



弥彦山 (2004. 01. 27)


新潟市内である10時からの会合の前夜に弥彦温泉に泊まり、弥彦登山を計画する。前夜に乗り換えの吉田駅で朝食を仕入れておいた。翌朝、小雪が舞っているが、それほど気温は低くない。上下はゴアテックスで、セーターはなし、ザックもなしで、ウェストポーチに小さなキャンティーンとオーバーミトンを入れ、念のためワカンを腰につけて出る。弥彦神社を通り抜けると真っ暗な世界になる。ヘッドランプをつけて、登山口を見落とさないように気配りながら歩く。登山口からすぐに登りになり、雪道は多少踏まれているので楽である。06:20になるとヘッドランプを消してもなんとか歩けるようになる。小鳥の声がかすかに聞こえる。06:43に尾根道に飛び出し、頂上からまっすぐ下る尾根が見える。時間があればその尾根を下りることも面白そうと思ったが、この日は無理である。フラッシュをつけて写真を撮ると、雪が大きく反射して写り、幻想的な写真になる。



湯の山温泉(2008. 10. 22)

鈴鹿の国見峠から藤内小屋を経て湯の山温泉に下る。蒼滝と表示に導かれ階段を下りて行く。薄暗くなってきた蒼滝に着く。予想以上に立派なもので、しばらく見とれる。最終バスの時間まで30分ある。滝の所に「工事中のため通り抜けできません」という看板が立っていたが、何とかなるだろう大きな岩がゴロゴロしている沢の中を下る。やがてダムの所で行き詰まった。暗い所で地図を見ると右岸に道が書いてあるので、一度崖をよじ登りはじめたが、とても登れそうにない。引き返すことにしたが、闇がせまるのと競争だ。滝から階段を上がるときには、もうほとんど見えない。三叉路の標識をみると、蒼滝不動がすぐそばにあることが分かった。そこまで行くと街灯もついていたので、ホッとする。温泉街へ下りていく道には街灯もポツポツとあるので、真っ暗になったのはほんの3ヶ所程度。携帯電話の明かりで、簡単にしのぐことができた。



譲葉山 (2007. 04. 12)

六甲全山縦走で須磨から宝塚まで歩く。途中で日が暮れることは想定内のこと。大平山を過ぎ、大谷乗越まで来るとかなり暗くなってきた。この前後は多少道が悪いので、暗くなる前に通り過ぎたいと思っていたが、薄明りのあるうちに通ることができたのはよかった。岩原山登山口の辺りで光の弱いヘッドランプをつける。林の外では、ランプなしでも微かに見えるが、林の中ではランプがあっても十分でなく、ストックで探りながら歩く。急に速度が落ち、足の緊張度も高まる。塩尾寺の車道に出ると、これでもう目を凝らさなくても済むとホッとした。



花之江河 (2005. 04. 20)


宮之浦岳に登るべく、前夜は淀川小屋に泊まった。予定より30分早く03:15に目が覚める。予報通りの雨である。大した量ではないが、水を汲みに行くのに少し濡れてしまう。食事をし、ゆっくり片付けていると、予定した出発時刻04:45になってしまう。ヘッドランプを頼りに歩き始める。そのうち雨だけでなくガスも出始めて、足元しか見えなくなる。しかし、好都合だったのは決して道を踏み外す心配がなかったことである。少し外れると密集した藪に突入するので、それを避ければ登山道に戻るのである。その点非常に気が楽だった。歩き始めて40分でランプを消す。まだまだ暗いが、全体を見渡すのにランプがない方がよい。少しすると森林限界を越えたのか、木が低くなってくる。小花之江河、花之江河ともまだ暗い上にガスが立ちこめ、木の影がぼんやり見えるだけ。花もないであろうから、晴れていてもそれほど変わらないかと諦める。黒味分れを過ぎると風が強くなり、雨が真横から吹きつけるようになった。




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