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手掛かりのない急崖  



一般登山道でない所を歩いていると、よく手掛かりのない急な崖に出会う。どんどん登って行くと、危なくなっても引き返すことができず、そのまま登って行かざるを得ないことになる。最も印象に残った5つのケースを載せる。いずれも落ち着いて写真を取ることができなかったし、急な崖は上から撮っても、下から撮ってもとくの急に見えないので、写真はいずれもはかばかしいものではない。


 

三方ヶ岳(2019. 03. 05)

年に一度は湖北の雪山に行くことにしており、この日は近江塩津から三方ヶ岳を目指した。暖冬で湖西線の窓から見る比良や高島トレイルに雪は少なく、下車した近江塩津でも同じ。下塩津神社から雪の上を歩き、直接尾根道へ入っていくつもりだったが、雪がないとコースを変更する必要がある。沢に沿って登って行ったあと、P354に登るルートがYAMAPにあったので、それを辿ることにする。取付き地点と思われるところで回りを見まわしても、あちこちウロウロしても踏み跡のようなものはない。もとに戻り、西側の方角へよじ登るしかないなと覚悟を決める。歩いた形跡はなく、掴まる木の幹や岩角もほとんどない、滑ると谷底まで止まらないだろう。高所恐怖症ではないが、下を見ないでひたすら上を目指す。あとで地図をゆっくり見ると、平均斜度40°の斜面を50bばかり登っていた。15分以上登ってやっと手が自由になったので斜面の写真を撮る。先ほどの沢の上流部にダムが見えた。ダムの近くまで登ってからP354に登った方が易しかっただろう。



北谷尻谷(2012. 03. 26)


鈴鹿奥座敷のジュルミチ谷から小さな峠を越えて北谷尻谷に出た所でテント泊。翌日、谷を詰めて行ったが、予定していた三股の分岐の手前で、雪がベッタリとついていた西から来る沢に入ってしまった。GPSの電池切れなど、色々なミスが重なった。歩きやすそうな左俣でなく、いかにも急峻そうな右手の沢へ入り込んだのが失敗だった。何とか雪渓はクリヤーしたが、その後の岩場では大変苦労した。岩はちょっと持っただけですぐはがれてくる、逆層のうえ濡れていて滑りやすい、おまけに木の枝や頼れそうな草さえ皆無。へばりつくようにしながら、カタツムリの歩みで左手の木が生えている尾根に移る努力をする。やっと岩場から脱出し、危険度はへったが、楽になったというほどではなく、苦難は続いた。鈴鹿ではこのようなことは珍しくないが、いつもはテントを置いて、軽装で歩くことが多い。今回は重荷を背負ったままだったので大変だった。左の写真はその沢に入る手前の沢。



小峠(2008. 10. 22)

これも鈴鹿の奥座敷。杉峠下のマンガン鉱山飯場跡にテントを張り、あちこちを周遊する。この日は、雨乞岳、七人山、コクイ谷出合を経て、上水晶谷出合に下り立った。ポツポツと雨も降り始めたので、小峠を経由するショートカットの道で帰ることにした。地理院地図にも破線があったので(その後消されている)、楽勝の道かと思っていたが、そうではなかった。最初の二股には赤いテープに導かれ、左股へ進む。次の二股で適当に右の沢に入っていったのが間違いだった。徐々に傾斜が急になり、花崗岩の崩れやすいザレ場になる。登りにくいこと甚だしい。ホールドもスタンスもなかなか見つからない所を、苦労して登っているうちに、左手のストックを落としてしまう。10bほど下で止まったが、取りに下るのは命がけなのであきらめた。地形図のガレ場のマークの所を登っていたらしい。なんとかかんとか、樹林帯に逃げ込むこんで、イブネから下りてくる踏み跡に合流した。



梶岡山(2018. 12. 25)

六甲北有料道路の柳谷ICの北から分かりにくい山道を通って梶岡山を目指す。沢の左岸を登り、途中で右岸に渡る、標高310b付近の小広場に日がさしていたので昼食とする。食後歩き始めてすぐにそれらしき踏み跡が沢に下りていた。沢を渡って少し登るといきなり急登が待っていた。多少の急坂は気にならないが、ここのは半端でなかった。尾根は痩せており、掴まる岩は脆くてすぐはがれ、比較的太い松なども今にも折れそうで、頼りになるものがない状態が長く続く。時間にしたら10分ちょっとだったが、本当に緊張の連続で、小一時間ヒヤヒヤしたような感じだった。高所恐怖症ではないが、ここでは左右の下を見下ろす余裕がなく、ひたすら足元を見つめながら歩いた。こんな道を予想していなかったが、そう言えば、この尾根を登ったというレポートを見たことがなかった。難路が一段落してやっと周りの景色を見る余裕ができた。そのあとも急坂はあったが、普通に歩いて梶岡山の頂上に達した。



柿谷西尾根(2020. 05. 28)


芦屋川の支流の柿谷にはいくつものハイキングコースが整備されているが、コースとして設定されていない所では、ワイルドな歩きを楽しめる。芦有道路の取付き点から少し入って行くとK-1という標識がある。登山道は沢を渡って右手に登って行くが、沢を少し遡った所に赤リボンがあり、そこから左手に入って行くと柿谷西尾根に至るはずと考えた。上を見上げると空が見えていたので、すぐに尾根に出るのかと甘く考えて登り始める。すぐに道はなくなり、蜘蛛の巣と格闘するようになる。かなり厳しい登りとなる。滑り落ちるのを恐れながら進むと、15分ほどで柿谷西尾根に登りつく。




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